お問い合わせ・資料
6分で読了

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.72】
働く人のライフバリューを上げる

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.72】
働く人のライフバリューを上げる

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読み手のみなさんにとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

会社が生み出しているものは、商品だけではない

企業経営の話になると、売る商材やサービスがヒットするか、ビジネスモデルに優位性があるかという議論に目がいきがちです。

もちろん、顧客に価値を提供し、利益を生み出すことは会社にとって欠かせません。

 

一方で、会社が生み出しているものは商品やサービスだけではないと思います。

 

そこで働く人が、どのような時間を過ごし、どのような人間関係を築き、どのように成長したか。

これも企業が社会に生み出す大切な価値です。

 

人生の中で、働いている時間は決して短くありません。その時間に張り合いがあり、仲間と力を合わせ、自分の存在が誰かの役に立っていると感じられるなら、人生全体の価値、「ライフバリュー」は大きく高まります。

成果だけを見ていると、組織の土壌を失う

ヒット商品が生まれると、発案した一人の功績として語られがちです。しかし実際には、顧客の声を拾った人、実現方法を考えた人、品質を守った人、販売した人など、多くの関わりの中から成果は生まれています。

 

成果が個人に注目される組織では、成功した人だけが注目され、うまくいかなかった人は居場所がなくなってしまいます。そうなると人は失敗を避け、無難な提案を選び、率直な意見を言わず、チャレンジしなくなっていきます。

 

商材や売上は数字で見えやすく、責任者も特定しやすい一方、信頼、相談のしやすさ、学び合う習慣は、成果が表れるまでに時間がかかり、誰の貢献かも切り分けにくいものです。そのため企業は、目に見える果実を管理しながら、果実を生み続ける土壌への投資を後回しにしがちです。

 

関係の質は、成果と別の話ではなく、次の成果を生み出すための土壌です。

イキイキ働くとは、いつも明るいことではない

イキイキ働くとは、いつも明るいことではない

「イキイキ働く」という言葉は、ともすると全員が明るく、前向きで、忙しく動き続ける状態のように受け取られます。しかし、それでは元気であることを強制する組織になりかねません。

 

私が考えるイキイキした状態とは、

自分の仕事の意味が分かり、力を発揮でき、仲間とのつながりを感じながら、自ら関わることができる状態です。

 

自己決定理論では、人が健全に動機づけられるためには、自分で選んでいるという「自律性」、力を発揮できる「有能感」、人とつながっている「関係性」が重要だとされています(参考文献【1】)。

 

 また、ボストン大学経営学部・組織行動論のカーン教授は、仕事への深い関与には、意味を感じられること、安心して自分を表現できること、関わるための心身の余力が必要だと論じました(参考文献【2】)。

 

つまり、本人に意欲を求める前に、人が意欲を持ちやすい仕事と関係性を設計することが経営の役割だと思います。

人への投資を、事業の仕組みに変える

働く幸福を大切にする経営は、福利厚生を増やすことでも、仲良しの組織をつくることでもありません。経営課題と人の状態を結びつけて考える必要があります。

 

たとえば、率直に話せないために顧客の問題が共有されない、部門間の信頼が弱いために対応が遅れる、失敗が許されないために新しい提案が出ない。こうした構造を見つけ、会議、権限、評価、仕事の進め方まで変えていくことが大切です。

 

人の状態、行動の変化、業務プロセス、事業成果を順番につないで測れば、組織づくりは抽象的な活動ではなくなります。

 

「社員が幸せなら業績が上がる」と単純化せず、

人が力を発揮することで学習と改善が増え、顧客価値につながる因果関係を見ることが必要です。

 

自然の中で、人と仕事の関係を結び直す

自然の中で、人と仕事の関係を結び直す

私たちのアウトドア研修では、参加者が自然の中で協力し、役職や部門を越えて一つのことに取り組みます。普段の会議室では見えにくい人柄や強みが表れ、相手との関係を捉え直すきっかけになります。

 

また、キャンピングオフィスでは、働く空間に自然の要素や余白を取り入れ、人が話しやすく、考えやすい環境をつくります。自然環境での体験が、反すう思考の低下など心理面に影響を与えることを示した研究もあります(参考文献【3】)。

 

自然に触れればすべてが解決するわけではありませんが、人が本来持っている感覚や関係性を取り戻す入口にはなり得ると思います。

 

会社は、商品を生み出す場所であると同時に、人の人生の一部を形づくる場所で、経営はその責任も負っています。働く人のライフバリューが高まり、その人たちの力から新しい顧客価値が生まれ、利益が再び人と未来に投資される。私たちは、その循環をつくる企業を増やしていきたいと思います。

参考文献・参考情報

【1】Deci, E. L. & Ryan, R. M.(2000)“The ‘What’ and ‘Why’ of Goal Pursuits: Human Needs and the Self-Determination of Behavior.” Psychological Inquiry, Vol.11, No.4, pp.227–268. DOI: 10.1207/S15327965PLI1104_01. 自律性、有能感、関係性が、人の主体的な意欲を支えることを示した自己決定理論の研究。

【2】Kahn, W. A.(1990)“Psychological Conditions of Personal Engagement and Disengagement at Work.” Academy of Management Journal, Vol.33, No.4, pp.692–724. DOI: 10.2307/256287. 仕事への深い関与には、仕事の意味、心理的な安心、心身の余力が重要であると論じた研究。

【3】Bratman, G. N., Hamilton, J. P., Hahn, K. S., Daily, G. C. & Gross, J. J.(2015)“Nature Experience Reduces Rumination and Subgenual Prefrontal Cortex Activation.” Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol.112, No.28, pp.8567–8572. DOI: 10.1073/pnas.1510459112. 自然環境で過ごすことが、否定的な考えを繰り返す反すう思考の低下につながることを示した研究。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

この記事をシェア
お役立ち資料 お問い合わせ