創業ストーリー Our Story
進むべき道はどちらにあるのか。
迷ったときに、いつも大切にしている指針があります。
それは物事の本質を見極めて進むということ。
私たちスノーピークビジネスソリューションズは
自然とテクノロジーの両軸で、
「自然と、仕事が、うまくいく」働き方の提案をしています。
はじまりは、心の通う支援を掲げるITコンサルティング会社。
のちに、「自然と人、人と人とをつなぎ、人間性を回復する」という
スノーピークのミッションに共鳴し、新たな道へと踏み出しました。
いま、私たちの取組みは、分野や地域を問わず多くの方へ支持を拡げつつあります。
ここにたどり着くまでには、迷うたびに踏みとどまって、
「なぜ」「なんのため」「どうやって」を考え抜き、
たえず本質を追求しながら、手探りで進んできた日々がありました。
はじまりは、
シンプルなシステムから
日本がバブル景気に沸いていた1986年。追い風吹く証券会社から、ハードウェア機器の製造販売を行うメーカーへ転身し、仕事に打ち込む男がいました。弊社会長の村瀬です。工場に出向き、お客様と対話をして現場の課題を吸い上げ、改善の提案をする日々。お客様に確かな価値を提供し、信頼関係を築いていけることに喜びを感じていました。
ただ、会社はハードウェアの販売に特化していたため、ハードウェアを活用するためのシステムを合わせて提案することはできませんでした。しかし、興味を持ってくれたお客様の期待に応えたいと、システムに詳しい友人と一緒に在庫管理のシステムを開発。お客様に試してもらったところ、とても喜ばれた上に「こんな機能を追加できないか」と、次々と新たな相談を受けるようになったのです。
元々のシステムは非常にシンプルなものでしたが、まず現場で使ってみて、課題をお客様と共に考え改善を繰り返すことで、より使いやすいシステムへ成長させることができました。この共創のプロセスがもたらしたのは、システムの定着だけではありません。人間関係が良くなり、仕事もうまくまわるようになるなど、さまざまな効果を目にしたことが、次のアクションにつながります。
現場が本当に求めているシステム開発を行えば、より多くの企業の役に立つことができる。そう確信した村瀬は、1999年、起業を決意しました。
テクノロジーを生かす、
良好な人間関係
起ち上げたシステム会社の思想は、他とは一線を画すものでした。ITはあくまで手段であり道具に過ぎず、それを生かす「人」がいて、道具に命を吹き込むことができる。大切なのは何よりも「人」である。そんな想いが「心の通うITで企業と人の健全な成長を支援する」というミッションに込められました。そして、お客様と共につくり、成長させていく「共創開発®」のスタイルを確立。良好な人間関係を築き、心を通わせることで仕事もうまくまわっていくという信念が、いまも私たちの事業の根幹を支えています。
揺るぎない想いは少しずつ事業領域を拡大していきます。当初は製造現場へのシステム提案が主軸でしたが、2013年頃にはオフィスへのIT導入、クラウド活用の支援などを手がけるようになりました。クラウドを導入することで、柔軟な働き方を実現し、クリエイティビティを発揮できる組織にする。あるいは、コミュニケーションを活発化させて、良好な人間関係をつくる。そういった働き方を提案するのであれば、まずは私たちがそのモデルとなるような組織でなくてはなりません。
そこで、取り組んだのがチームビルディングです。全員が顔を合わせる毎日の「昼礼」、社員同士が全員1対1でランチに行く「One to Oneランチミーティング」、会社のビジョンを共有し方向性を確認する「ビジョンシェアリングデイ」など、数々の施策を通じてコミュニケーションの質を高めていきました。
キャンプが気づかせてくれた、
これからの働き方
私たちがキャンプの魅力に気づいたのもこの頃です。コミュニケーション活性化のために、定期的に社員研修旅行やイベントを行っていましたが、「今度、キャンプをしてみたらどうだろう。みんなで一緒にキャンプをすれば、社員同士の距離が自然と縮まるのでは?」。そう思い立ったことがはじまりでした。
クラウドを活用した、時間や場所にとらわれない働き方をお客様に提案している企業として、キャンプでのリモートワークを体験してみようと思ったのも、理由の一つです。
まず、村瀬がオフィスから遠く離れた自然環境の中で一週間、キャンプをしながら、仕事を行いました。2015年の春のことです。キャンプ中に入社式があり、雄大な山々をバックにオンラインで新入社員に訓示を述べました。今でこそリモート参加は珍しくありませんが、当時はまだ異例のこと。「入社式に社長がキャンプ!?」(当時村瀬が社長)と、新入社員は驚いたかもしれませんが、自由な働き方を提案している会社なのだというメッセージは伝わったでしょう。
この経験は、キャンプの要素を取り入れた働き方に大きな可能性を感じるきっかけとなりました。自然の中では五感が研ぎ澄まされ、創造力を発揮しながら仕事ができる。その効果を体感することができたのです。同時に、新しいテクノロジーを使って企業の成長を支援しつつも、その成長が自然環境にマイナスになってはならない。そんな思いを強くすることにもつながりました。
デザイン、機能、ストーリーに優れた
スノーピーク製品
実は、この一週間のキャンプの前に大きな出会いがありました。必要なキャンプ道具を揃えようと、村瀬が近所の量販店を訪れたときのことです。数あるキャンプ道具の中で、圧倒的な存在感を放つ製品が目に飛び込んできました。刻まれたブランド名は、スノーピーク。その洗練されたデザインは独自の世界観をつくっていました。
実際にキャンプで使用してみると、優れた機能性にも驚かされました。スノーピークとはどんな会社なのだろう?興味が湧いて調べるうちに、山井太社長(以下、山井社長)が語る会社や製品の裏にあるストーリーに引き込まれていったのです。
何よりスノーピークが掲げるミッション「自然と人、人と人をつなぎ、人間性を回復する」には共感を覚えました。私たちは、ITを健全に活用するためには、そこにかかわる人と人との関係性が重要であり、人間と自然との共生が大切だと考えています。業種は違ってもスノーピークの考え方に深く感銘するのは、当然のことでした。
村瀬がキャンプから戻ると、今度は全社でキャンプをしながら仕事をしました。もちろん、キャンプ道具はすべてスノーピークです。そして気づいたのは、キャンプにはチームビルディング、クリエイティビティ、ビジョンシェア、クラウドリテラシー、モラルの醸成、BCP対策といった、仕事がうまくいくために必要な要素がすべてつまっているということでした。
スノーピークビジネスソリューションズの誕生
キャンプとスノーピークの魅力を知ったことで、村瀬はあることをひらめきます。「スノーピークのキャンプ道具ならアウトドアだけでなく、オフィスでも使えるのではないか。キャンプ要素を取り入れたオフィスというアイデアが広まれば、人や組織がもっと心豊かに働ける環境につながるのではないか」と。ちょうど、名古屋にサテライトオフィスをつくる計画があり、実践の環境は整っていました。
そう決心すると、いてもたってもいられません。スノーピークのキャンプ道具をビジネスシーンに取り入れる「キャンピングオフィス」というアイデアを、山井社長に直接会って伝えたい。思いはどんどん募るばかりです。
そこで、まず山井社長が登壇する講演会に足を運んで挨拶をし、その後スノーピークが開催するユーザーイベント「Snow Peak Way」に会社のメンバー数名で参加しました。山井社長と焚火トークで交流を深め、アイデアを伝える熱いメールを送り、本社にも訪問しました。
そこからは急展開です。「合弁会社を設立しないか」。山井社長からの予想外な提案にとまどいましたが、私たちの想いが伝わったことがうれしく、この取り組みを前に進めるためにはスノーピークと本気で一緒にやるべきだろうと考え、会社設立を決断しました。このとき、山井社長にはキャンプによる人間性の回復はビジネスにこそ必要だという思いがあり、自然とテクノロジーを融合した新しい働き方の未来が見えていたのでしょう。
真に豊かな世界、
美しい地球の未来を創る
2016年、私たちはスノーピークビジネスソリューションズとして第一歩を踏み出しました。ビジネスシーンに自然を取り入れた新しい働き方を提案する、前例のない挑戦がはじまったのです。そして、サービスをよりスケールアップしていこうという山井社長からの提案を受け、2019年にはスノーピークの完全子会社となり、次なる未来に向けて舵を切りました。
自然の力とテクノロジーの両方を使って組織の健全な成長を支援する。私たちは、これまでにない価値を提供する唯一無二の会社となりました。テクノロジーの進化はすさまじく、その活用はこれからのビジネスに欠かせません。しかし、テクノロジーを健全に活用にするには個々の人間性と組織の良好な人間関係が求められます。そのためには、人間性を回復させる自然の壮大な力が必要なのです。
私たちはいま、企業の成長支援はもちろん、パブリックマインドをもって行政や地域とも連携しながら山積する社会課題に向き合っています。自然とテクノロジーの両軸があれば、さまざまな課題にアプローチすることができます。誰もが人間らしく働ける組織づくり、幸せに生きられる地域づくりといった、社会をより良い方向に変えていける事業に携われることは、何よりの喜びです。
私たちの挑戦は、まだはじまったばかりです。これからも本質を追求し、最善を考え抜き、一歩また一歩と次を見つめて進んでいきます。真に豊かな世界、美しい地球の未来を創るために。