エントランスから目に入るのは、オフィスに置かれたグリーンとラウンジシェル。心地よい鳥のさえずりのBGM、自然の香り…。その場にいるだけでストレスが軽減されそうなこちらは、web電話帳などのクラウドサービスを展開する株式会社PHONE APPLI様の本社オフィス。「CaMP」と名付けられたオフィスには、PHONE APPLI様が事業展開をする上で大切にしている想いが詰まっていました。
お客様:
株式会社PHONE APPLI マーケティング本部 部長 北村 隆博 様
取材:
スノーピークビジネスソリューションズ
コミュニケーションを変革するITツールでシェアNo.1
−−−PHONE APPLIさんの事業内容について教えてください。
株式会社PHONE APPLIは、『「働く」を変える。「生きかた」が変わる。』をタグラインに、コミュニケーションをアップデートするIT ツールをつくっている会社です。
代表的な製品としてWeb電話帳というクラウドサービスがあります。これは、社員の携帯電話に登録されている連絡先、エクセルで管理された内線番号、紙ベースで管理された座席表といった、ばらばらの連絡先をクラウドで安全に一元管理できるサービスです。Web電話帳には、名刺管理、着信のポップアップ、オフィス内での居場所の可視化、感謝や称賛をおくり合う機能などを付帯することができ、テレワーク時代にふさわしいコミュニケーションツールになっています。
Web電話帳はマイクロソフトやグーグル、セールスフォースといったグローバルでトップをいくコミュニケーションベンダーと連携しており、現在、大手企業を含め190万人以上のユーザーにご利用いただいています。
大きな転換期を迎え、働き方改革に取り組む
−−−2017年から働き方改革に取り組み、その一環としてオフィス移転をしたとのことですが、その背景を教えてください。
2016年から2017年は私たちの会社にとって大きな転換期でした。一つは事業構造の転換です。元々はサービスのライセンスを購入していただき保守を請け負うオンプレミスのビジネスをしていましたが、2016年頃にはオンプレミスからクラウドへと移行していくことになりました。
当時、課題としていたのはコミュニケーションの問題です。私たちは2008年に小さなITメーカーとして創業しましたが、2016年には社員が100名近くまで増え、組織内でさまざまな軋轢が生じるようになっていました。
私たち自身、働き方改革を推進するためのITツールをつくっている会社ですので、これらの変化、問題に向き合うためにさまざまな取り組みをおこないました。その一環としてオフィスの移転リニューアルを実施しました。
働き方改革に重要なルール、ツール、プレイス
−−−働き方改革はどのように進めていったのでしょうか?
これまで多くの企業の働き方改革に携わっていく中で、オフィスを変えるだけでは働き方は変わらないと感じており、ルール、ツール、プレイスの3つを順番に変えていくことが必要だと考えました。
まずは社内のルール改革から。コミュニケーションとモチベーションが向上するような社内ルールを設け、社員の声を聞きながら、ルールをブラッシュアップさせていきました。次はITツールの導入。Microsoft Teamsやシスコシステムズのビデオ会議システムなど、コミュニケーションを円滑にするためのツールを導入しました。そして最後に、ルール、ツールを生かしパフォーマンスを出して働ける場所として、オフィスの移転リニューアルに着手しました。
オフィスのリニューアルに向けては、「最高の自然と日本一のIT環境を組み合わせたオフィス」というコンセプトを打ち出しました。たくさんの企業のオフィスを見てきて、オフィスに自然を多く取り入れ、快適に働ける環境を整えている企業は成長していると感じていたからです。
また、私たちには「コミュニケーション改革で働き方をアップデートする」というビジョンがあり、アップデートしつづけることができるオフィスという観点から、変化に強いキャンプギアを採用したオフィスを構想しました。
自然を取り入れたオフィスでパフォーマンスが向上
−−−どのようにオフィスに自然やキャンプギアを取り入れていますか?
キャンプギアを配置するだけではなく、植物や自然の音響、香りなどを使って、心地よい空間をつくりました。植物はエントランスから見て、緑視率が25%になるように配置しています。音響はオフィスにいても一日の流れが感じられるように朝昼晩と変化していきます。
エントランス入ってすぐの「Park」と名付けたスペースは、スノーピークのテーブルとチェアを配置したフリーアドレスの席。焚火台もあり、ローチェアでカジュアルに話せるので、雑談が生まれる場所にもなっています。
その奥にはラウンジシェル(テント)を立て、中にはラックソット(ソファ)を置いています。モニターも配置しているので、打ち合わせやミーティングで使うことが多くなっています。社員が体調を崩したときなどに休むことのできる休養室としての機能も果たしています。
今のオフィスになってから、カジュアルに立ち話をしたり、「ちょっといいですか」と声をかけあったりするコミュニケーションが増えて、社員のパフォーマンスも向上しました。スーツを着ている社員が減り、服装がカジュアルになったという目に見える変化もありました。
移転後も社員の声をもとに、オフィスをアップデート
−−−社内での評判はいかがでしたか?
オフィスを移転してからしばらくして、社員にアンケートをとりました。その結果、一番評価が高かったのは営業部門で、今のオフィスになってから「相談がしやすくなった」「パフォーマンスが上がった」という声が上がりました。
一方で管理部門と技術部門では、オフィス移転によるパフォーマンスの改善はそれほど大きく見られませんでした。というのも、とくに技術部門はフリーアドレスよりも、長時間座っても疲れないイス、大きなディスプレイ、隣の席に技術に詳しい先輩がいるといった環境の方がパフォーマンスを発揮できることがわかったのです。
このアンケートを踏まえて、開発エンジニアがもっともパフォーマンスを発揮できる技術部門専用の席をつくりました。また、ゆっくりくつろげる空間が意外と少なかったため、ローチェアやラウンジクッション、ビーズクッションなどを置いた「Field」というスペースも新たに設けました。
「Withコロナ」時代のオフィスづくりと、健康経営への取り組み
−−−今後の課題や取り組んでいきたいことがあれば教えてください。
私たちが目指す「オフィスのかたち」は、移転したころから基本的には変わっていないのですが、「Withコロナ」の時代になり在宅で働く社員が増えたため、オフィスと在宅の両面で、働く環境に対する社員の満足度を上げていく施策をしていきたいと考えています。その時流に応じて、センターオフィスは今のままでいいのかといった、働き方に合った「オフィスのかたち」をこれからも日々追い求めていきたいと思います。
さらに、最近注力しているのは、ウェルビーイングの考え方を取り入れた健康経営への取り組みです。弊社は、健康経営を実践している優良法人を認定する経済産業省の「ホワイト500」に3年連続で認定をいただくことができました。働き方改革で社員のパフォーマンスを上げていくことも大切ですが、これからは社員の健康やコンディションにも目を向け、働く人を幸せにするというウェルビーイングへのアプローチにも取り組んでいきたいと考えています。
−−−PHONE APPLI様、取材のご協力ありがとうございました!