国内外に熱烈なファンを持つ自動車メーカー、株式会社SUBARU様。
今回、新入社員研修の中で初の試みとして、CAMPING OFFICE IBARAKI・SHIZU(茨城・静)にてアウトドア環境で1泊2日の研修を実施されました。スノーピークビジネスソリューションズは、新入社員約280名、先輩社員約20名が参加する新入社員研修にイベントコンサルティングサービスを提供。焚火を囲んでの語らいには、それぞれの想いが飛び出し、会社や同期とより良い関係を結ぶ大切な時間となったようです。
お客様:株式会社SUBARU
人事部採用育成グループ 青木 拓郎 様、奥谷 昂平 様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 古川 草馬)
航空機メーカーとしてのDNAを、クルマの安全性能に継承して
---SUBARUさんの事業概要を教えてください。
SUBARUは1917年、中島飛行機が設立されて以来、「人を中心としたモノづくり」に取り組んできました。
現在、社員約1万8千名で、自動車事業と航空宇宙事業の2事業を展開し、自動車事業ではSUVを中心に、SUBARUらしいと評されるさまざまなクルマを世に送り出しています。SUBARUは、水平対向エンジンやシンメトリカルAWDを強みとし、運転支援システム「アイサイト」に代表される安全技術に磨きをかけ、EVにも力を入れています。
SUBARUの世界観を肌で感じ、強い共感体験を持たせたい
---新入社員研修の概要とアウトドア環境での研修を導入した背景を教えてください。
現在、人事部採用育成グループは社員の半数を占める間接部門の人財育成を担い、各種の研修やキャリアプランの設計・実施を行っています。今回は、2024年度の新入社員約540名のうち間接部門の約280名に対し、約2週間にわたって新入社員研修を行いました。社員の内訳は約6割は技術本部のエンジニアで、他は生産技術や部品調達、事務系の職務に就く社員です。
研修内容は毎年更新し、今年は「社会人へと意識を切り替え、主体性を持って行動できる人財を目指す」「失敗を恐れずチャレンジできる精神を育む」の2点を研修の目的に定めました。手法としては昨年行った1週目にインプットを、2週目にアウトプットを行う形が良かったのでそれを踏襲しつつ、今年はもう一段ステップアップしてSUBARUへの共感づくりも大事にしたいと検討を重ねてきました。
どうしたら強烈な共感体験を生み出せるのか。そう考えていたとき、ふと注目したのが、SUBARUのお客様はキャンプをする方が多いという点です。実際のお客様の世界観を肌で感じながら、会社への共感を生み出せる場としてアウトドアが思い浮かびました。
新入社員研修は同期が一堂に集まる貴重な機会です。今年度の新入社員の皆さんは、コロナ禍で人とのつながりが希薄になった世代でもあり、配属前に関係を築きながら各自の力をアウトプットする場として、アウトドアが良いのではないか。環境変化の激しい時代でもあることから、研修自体も室内から屋外へと環境を変えることも効果的ではないか。こうした考えから、研修プログラムの最後に初のアウトドア環境での研修を組み入れることにしました。
アウトドアへの知見と大規模イベントでの実績を信頼
---スノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)に依頼した決め手は?
SPBSさんのウェブサイトを拝見し、多くの企業様がアウトドア環境での研修を実施されていること、開催可能な場所もさまざまあることを知ったのが問い合わせのきっかけです。他社も検討しましたが、キャンプ場でのライフスタイルとSUBARUのお客様の世界観は共通する部分がありますし、この規模で行う研修となるとタープの設営や焚火の準備、動線の確保など、安全な運営に対し確実性が求められるため、実績のあるSPBSさんに依頼することにしました。
我々人事部の担当者はキャンプの経験がほぼないため、他の事例などもご紹介いただき、豊富な知見に基づいて安全なレイアウトや快適な動線などをご提案いただきました。実際の研修は、参加者が約300名と大人数のためタープなどはあらかじめ準備いただきました。
さらに、担当者は事前に行った打合せの際にタープの設営など、キャンプ体験をさせていただきました。その際、アウトドアやキャンプの魅力に気づき、アウトドア環境での研修の大きな可能性を感じられたことは今後の業務にとっても収穫でした。
心の扉を開いて、自分の言葉で語り合える関係性を醸成
---当日の皆さんの様子や研修後の成果を教えてください。
当日は思い描いた通りの空間を作っていただき、本当に感動しました。ちょうど桜も咲いていて、弊社のクルマも大自然によく映え、そのシーンは強く心に刻まれました。
新入社員と一緒にバスに乗ってキャンプ場に入った時も、車内からスノーピークのロゴのついたタープが美しく並ぶ景色が見えた瞬間、「ウォー」「すごいっ!」という歓声が上がり、ワクワク感が一気に広がったのがわかりました。正直、研修最後のプログラムで移動もあったので、皆さん少し疲れていたと思います。しかし、あの風景を見た瞬間にガラリと雰囲気が変わり、早くタープを見に行きたいとバスを降りる足取りも軽やかでした。
研修の中でも特に印象的だったのは、焚火トークです。やはり会議室でのグループワークでは少し畏まった発言になっていたのですが、夜、アウトドアで焚火を囲んで話すというシチュエーションによって、心のハードルも下がり、自分の言葉で話している姿が印象的でした。また、飲み会のときのようなラフな内容ではなく、とてもまじめに中身のある内容を本音で話し合えていたことも焚火トークの良さの1つであると感じました。そこでは心理的安全性が担保されていて、この仲間なら普段は場に出していいか不安になるようなことも含めて話せるという気持ちが醸成されたのだと思います。
研修後、新入社員からは「困った時にすぐに相談できる関係性ができた」「環境を変えて内省することで自分の課題を把握でき、配属後スムーズに動けた」「自分のキャリアを意識して毎日取り組めている」といった声が届いています。アウトドアであの濃い時間を共にした仲間とは、おそらく従来の研修では生まれなかった関係が築けたはずです。5 年後 10年後に、部門を横断して解決したいという課題を持ったとき、「あの焚火トークで話した彼/彼女に聞いてみよう」と思える絆が生まれたのではないかと期待しています。
高いプロ意識と楽しく働く姿は、新入社員の心にも響いた
---SPBSのサポートで印象に残っているのは?
天候に合わせて予定より早く焚火を焚くことになったんですが、迅速に対応いただいて助かりました。何より火をつけるときの手際の良さと言ったら、さすがプロだと感じました。新入社員たちもその姿を見ながら状況に合わせて主体的に動いていて、わずかな時間の間に成長を感じました。
やはりSPBSチームはプロ意識が高く、我々が研修に集中できる環境づくりを徹底してくれました。そのためSPBSさんに安全な運営は全て任せておけば大丈夫という信頼感がありました。
加えて、今回の研修にはSPBSさんのほか静ヒルズカントリークラブさん、研修会社さんも参加し、異なる立場から研修を運営するため一体となって業務に当たるわけですが、「一緒に楽しくやりましょう」というムードをSPBSさんが率先して作ってくださり、そこにも感銘を受けました。何より仕事に楽しく取り組むその姿は、新入社員にも非常にポジティブな影響を与えるもので、とても感謝しています。現場で環境だけでなく、雰囲気づくりまでリードしてくださるのは想像もしていなかったことで、SPBSさんならではの付加価値だと感じています。
経験やミッションの共有など、アウトドアの効果を活かせる研修を
---今後の展望について教えてください。
通常、新入社員研修では人事が考えた内容を社員の方に実施いただく形になるのですが、今回の研修の主役は間違いなく新入社員の皆さんでした。互いに心を解放して横のつながりを持つこともでき、きっと記憶に残るものになったと思います。
こうした成果を踏まえ、SUBARUを選んで入社してくれた皆さんに、「SUBARUが好きだ」というマインドをスタートから持ち続けていただくためにも、来年度も会社への共感をテーマに、さらにブラッシュアップした研修を展開できればと考えています。
また、アウトドアの効果を体感したことで、入社5年目10年目といった社員にはより濃密な研修プログラムが提供できるのではないか、とも考えるようになりました。それぞれが経験を積み重ねてきた年次でアウトドア環境での研修を行えば、各自の経験や課題を共有し、もっとSUBARUを良くしていこうという情熱や次のステップへの活力が醸成できるのではないでしょうか。部門を越えた仲間づくりができ、ともにミッションに挑もうという動きも生まれるかもしれません。今後もターゲットや内容を検討し、アウトドアの効果を最大限活用できる研修を検討していきたいですね。
---SUBARU様、取材のご協力ありがとうございました!