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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.70】
関係の質だけでは組織は変わらない。成果につなげる組織開発の考え方

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.70】
関係の質だけでは組織は変わらない。成果につなげる組織開発の考え方

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読み手のみなさんにとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

分かっていても、取り組めない理由

「組織では関係の質が大切です」と言われて、反対する経営者はほとんどいないと思います。それでも、実際の経営課題として優先順位を上げることは簡単ではありません。


売上、利益、人材不足、離職、事業変革など、目の前には具体的で緊急性の高い課題があります。その中で関係の質は、重要ではあっても成果との距離が遠く、効果も測りにくいテーマに見えます。

 

また、過去にチームビルディング研修を実施したものの、当日は盛り上がっても職場に戻ると何も変わらなかった、という経験を持つ企業やチームもあると思います。「仲良くなるだけでは業績は上がらない」という感覚は、ある意味では正しいです。

 

関係の質は、組織変革の十分条件ではありません。ただし、関係の質が良くなければ、組織は良い方向へ変わらない。ここを分けて考えることが大切です。

関係の質がなければ、変革が動き出さない

新しい戦略や制度をつくっても、現場が疑問や懸念を言えなければ、実行段階で問題が常に付きまとうかたちになります。部門間の信頼がなければ、必要な情報が共有されません。失敗を責められる空気があれば、挑戦よりも自己防衛が優先されます。

 

組織行動学の研究では、メンバーが失敗や疑問、異なる意見を安心して表明できる環境が、学習や改善の行動を促進することが示されています。こうした状態は「心理的安全性」と呼ばれ、変化の激しい時代において組織が学び続けるための重要な基盤とされています(参考文献【1】)。

 

組織が変わるためには、正解のない状況で試し、失敗から学び、率直に修正する必要があります。

その出発点が、関係の質です。

 

ただし、良い関係とは、衝突がないことでも、互いに優しくすることでもありません。言いにくい事実を伝え、異なる意見を出し、必要な対立をより良い意思決定に変えられる関係こそ、成果につながる良い関係だと思います。

関係性を業績につなげる5つのステップ

関係性を業績につなげる5つのステップ

関係性への取り組みを業績へつなげるには、関係を良くすること自体を目的にしないことが重要です。また、そのための基本設計には5つのステップがあります。

 

ステップ1:売上低下、意思決定の遅れ、部門間連携、離職など、解決したい経営課題を明確にする
ステップ2:課題を生んでいる組織行動を見る(情報が上がらない、相談が遅い、会議で異論が出ない、責任の所在が曖昧など)
ステップ3:行動の背景にある関係性を捉え直す
ステップ4:率直に話せる関係をつくり、会議、1on1、役割分担、意思決定ルールなどの日常業務を変える
ステップ5:提案件数、部門連携案件数、離職率などの指標で変化を確かめる

 

経営課題、組織行動、関係性、業務の仕組み、成果指標を一本の線でつなぐ。これが、関係の質を業績へ結びつける基本設計です。

体験で気づき、対話で意味づけ、職場で実装する

スノーピークビジネスソリューションズのアウトドア研修では、自然の中での協働体験を通じて、普段は見えにくいチームの関係性や行動特性を表に出します。タープ設営のような正解が一つではない活動では、誰が指示を出すのか、誰が周囲を見るのか、誰の意見が聞かれていないのかが、自然に現れます。

 

しかし、体験だけでは組織は変わりません。私たちが大切にしているのは、体験を振り返り、職場の課題と結びつけ、具体的な行動へ昇華することです。心理学者クルト・レヴィンが示したように、人の行動は本人と環境の相互作用によって生まれます(参考文献【2】)。

 

意識だけでなく、日常の環境や仕事の進め方も変える必要があります。

 

オフィス空間をデザインするキャンピングオフィスも同様です。自然やキャンプギアを取り入れた空間は、会話の距離を縮め、普段とは異なる発想や対話を生みます。植物を取り入れた職場環境が、職場満足度や集中、生産性に良い影響を与える可能性を示した研究もあります(参考文献【3】)。

 

ただ空間を変えるのではなく、その空間でどのような対話や協働を生み出すかまで設計することが重要です。

 

私たちが目指す組織活性化

私たちが目指す組織活性化

私たちが目指しているのは、一度の研修で人を変えることでも、仲の良い職場をつくることでもありません。

 

自然の中で関係をほぐし、協働体験によって自分たちの姿に気づき、

対話を通じて意味づけし、職場の行動と仕組みを変えていく。

 

さらに、その変化を継続的に観察し、必要に応じてマネージャーやチームに伴走する。こうした一連のプロセスを、私たちは組織活性化として捉えています。

 

関係の質だけでは組織は変わりません。けれど、関係の質がなければ、本音も情報も挑戦も生まれず、変革は動き出しません。

だからこそ、関係性をゴールにするのではなく、関係性を出発点として、組織の協働力と成果を高めていく。それが、私たちがこれからさらに磨いていきたい組織開発のアプローチです。

参考文献・参考情報

【1】Edmondson, A. C.(1999)“Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams.” Administrative Science Quarterly, 44(2), pp.350–383. チーム内で失敗や疑問、異なる意見を率直に表明できる「心理的安全性」と、情報共有、支援要請、振り返りなどの学習行動との関係を検証した研究

【2】Lewin, K.(1951)Field Theory in Social Science: Selected Theoretical Papers. New York: Harper & Brothers. 人の行動は、本人の性格や意欲だけで決まるのではなく、その人を取り巻く環境との相互作用によって生まれるという考え方を示した文献

【3】Nieuwenhuis, M., Knight, C., Postmes, T., & Haslam, S. A.(2014)“The Relative Benefits of Green Versus Lean Office Space: Three Field Experiments.” Journal of Experimental Psychology: Applied, 20(3), pp.199–214. 植物などの自然的要素を取り入れた職場と、装飾を抑えた簡素な職場を比較し、職場環境が従業員の満足度、集中、知覚される空気の質、生産性などに与える影響を検証した研究

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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