
日本のものづくりの現場を支える、特殊専門商社
---日鋼YPK商事さんの事業内容とチャックセンターの役割について教えてください。
私たち日鋼YPK商事は、特殊な産業機械全般の販売を主軸とする機械専門商社です。プラスチックの原材料から完成品までを製造する樹脂機械や成形機の販売、自動車部品や鉄道部品などを製造する金属加工機械やチャック装置の販売、さらに親会社であるJSW(日本製鋼所)に向けた部品の調達事業などを展開し、製造現場を支える設備や装置、部品を全国に提供しています。例えば、私たちの設備・部品が一つでもなければクルマの製造はできず、ものづくりに大きな役割を果たしていると自負しています。
その中でチャックセンターは、金属加工に欠かせない「チャック装置」を保管・出荷する拠点です。チャック装置は鉄など加工対象物を機械で削る際に、対象物を掴んで回転させる重要な役割を担っています。本センターは製造業の現場を陰で支える、まさに物流の心臓部ともいえる存在で、迅速かつ確実に全国へ製品をお届けすることを使命としています。

属人化により、非効率な作業やミスが発生
---システムの導入前は、どのような課題がありましたか?
導入前の倉庫業務には、大きく二つの課題がありました。一つは作業負荷の高さです。製品は主に網パレットで保管されており、出し入れの際は持ち上げるしかありません。ただ、製品の重量は平均15kg、重いもので30kg以上あります。腰や腕に負担がかかり、作業者の負担は相当なものでした。
もう一つは在庫管理の属人化です。製品の保管場所は、担当の「倉庫番」が頭の中で全て把握しており、その人に頼って作業をしていました。当然、倉庫番が休むと保管場所がわからなくなりますし、品物が積まれて置かれてしまうと探すのに時間がかかっていました。また、棚卸しも人が手作業で数えて1点ずつ確認していたため、時には2日かかることもありました。すべて人がチェックしていたため、出し間違いや送り間違いといったミスも発生していました。
こうした状況を改善するために、まず網パレットから平置きパレットへの変更が計画されました。その際、在庫管理の問題も解決したいと検討していたところ、スノーピークビジネスソリューションズ(以下SPBS)さんのシステムをご提案いただき、採用することにしました。

誰でも作業できる環境へ。作業の精度、スピードがアップ
---実際に導入して、どのような変化がありましたか?
平置きパレットへの変更と同時に、スノーピークビジネスソリューションズさんのロケーション管理システム(倉庫管理システム)を導入しましたが、一番の変化は、誰でも作業できる環境が整ったことです。
製品にバーコードを付与することで番地情報として管理。どこにどの製品が何個あるかが一目瞭然で把握できるため、誰でもスピーディーに出荷作業を行えるようになりました。これによって倉庫番への依存が解消され、結果として人材の「多能工化」が進み、人員配置も柔軟になりました。
非効率だった棚卸し作業は、約2時間に短縮。バーコードスキャンと人間の目視によるダブルチェックで出し間違いが激減し、棚卸しの差異もほぼゼロになりました。非常に作業がラクになって助かっています。

顧客に寄り添ったカスタマイズと丁寧な運用支援
---導入以来、長年ご愛用いただいています。その理由を教えてください。
2016年の導入以来、大きなトラブルもなく、とても使いやすいという点に尽きます。弊社システムのアップデートの際には改修に来ていただき、サポートも万全です。
ただ、導入初期にはご苦労もおかけしました。当社の担当者が変わったため、誰も状況がわからなくなってしまい、いざテストしてみると上位システムとの連携に問題があることがわかりました。改修は大変な作業だったと思いますが、SPBSの担当者の方は粘り強くご対応くださいました。
上位システムからのデータ取り込みに関する問題やハンディターミナルの操作性に関する細かい要望にも対応し、こちらの要望にぴったり寄り添う形でカスタムしていただきました。そのため、弊社の現場に最適化された使いやすいシステムへと仕上がっています。

お客様の信頼に応えるために、さらなる効率化も視野に
---今後の展望について教えてください。
現状のシステムは十分に機能しており、使い勝手も良いため、とても満足しています。その上で、さらなる効率化に取り組むとすれば、例えばチャック装置本体だけでなく、ネジなど細かな部品の管理方法の改善です。小さな部品はバーコードを貼るのが難しいため、別の管理方法を検討していく必要があるでしょう。
将来的に出荷量が大幅に増えた場合には、ピッキング時に棚のランプが光って場所を案内してくれる機能や、RFタグを活用した棚卸自動化なども検討内容に入るかもしれません。いずれにせよお客様の信頼に応えるためにも、より正確でスピーディーに、誰もが効率的に作業ができるよう努めていきたいと思っています。
---日鋼YPK商事様、取材のご協力ありがとうございました!