名古屋市守山区に位置する金城学院大学様は、2026年度から7学部12学科体制へと大規模な再編を迎えられます。新たに5つの学科が開設され、プロジェクト活動・学科連携教育・キャリア教育など、学生の主体性を育む改革が本格化しています。
その象徴となる拠点として誕生したのが、N1棟3階に開設された クリエイティブベースキャンプ です。本施設は、2026年度に新設される経営学部およびデザイン工学部の学習活動を支援するために整備された、これまでの教室の概念を覆すアクティブラーニング空間です。
クリエイティブベースキャンプは、大きくメインエリアとミーティングルームの2つで構成されています。
その中心となるメインエリアには、芝生や植栽を取り入れた心地よい環境と、スノーピークのテーブルとチェアを組み合わせたキャンピングオフィスを導入いただきました。空間全体を自由にレイアウトできる可変性と、自然を感じられる開放感が相まって、学生が自ら動き、対話し、創造を深める学びのスタイルが生まれています。
隣接するミーティングルームは、落ち着いた環境に合わせた什器を備えた少人数向けの場として設えられています。メインエリアと連動しながら、議論やゼミなどに活用されています。
これら2つの空間が連動することで、学生・教職員・地域・企業など多様な人々が交わる“創造拠点”としての役割を果たし始めています。
お客様:金城学院大学
デザイン工学部 情報デザイン学科 教授 岩崎 公弥子 様
経営学部 経営学科 教授 都築 徹 様
事務局 田口 亮雅 様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ CAMPING OFFICE事業部 勝間 翔平)
主体性を育てる学びへと舵を切った大学改革
---大学として今回の改革や位置づけについて教えてください。
岩崎教授:
2026年度からの大規模再編に向け、大学として“学びの質そのもの”を見直す必要がありました。特に、プロジェクト活動・学科連携教育・キャリア教育の3つを軸に、学生が自ら考え、動き、他者と協働する学びのスタイルを育てていきたいと考えています。
従来のように、先生が前に立って話し、学生が聞く構造だけでは、主体性や協働性は十分に育ちません。社会に出れば、多様な価値観の人と共同で課題に向き合う力が求められます。だからこそ、学びの環境そのものを変えることが、教育改革の重要な要素になっていました。
ゼミでの実感から始まった学びの場づくり
---クリエイティブベースキャンプの構想はどのように生まれたのですか。
都築教授:
私自身、ゼミ活動でスノーピークのテーブルとチェアを使い、屋外での学びも長く実践してきました。その中で、自然に近い環境に身を置くと学生の表情が変わり、よく話し、よく動き、アイデアが生まれやすくなることを実感していました。
この感覚を大学の中でも再現できれば、学生たちの主体性や創造性をもっと引き出せるのではないか。そう感じていたタイミングで、N1棟3階に活用可能なスペースが生まれ、空間づくりを提案しました。
学生が「ここだと話しやすい」「ワクワクする」と自然に感じられる——そんな“場の力”を大切にしています。
主体性を引き出すための空間設計の考え方
---空間設計の際、特に意識された点はどこですか。
都築教授:
まず大切にしたのは “見せる・見られる空間” をつくることです。ガラス張りにしたことで、活動が自然と開かれ、外からも「何かが起きている」と感じられるようになりました。これが、学生にとっても職員にとっても、行動を促す仕掛けになっています。
次に意識したのは、学生が座る場所を自分で選べるということです。芝生の上で議論したり、テーブルを囲んだり、少し離れた場所で個人作業をしたり。状況に応じて場を選ぶ行為そのものが、主体性のトレーニングになります。
テーブルやチェアを自分たちで動かすことが当たり前になり、空間を“使う”だけでなく“つくる”側にまわるという意識の変化も生まれています。
空間が変わることで生まれた学生の行動変化
---実際に活用が始まってから、学生にどのような変化が見られましたか。
都築教授:
まず、この空間に入った瞬間に学生の雰囲気が変わります。緊張がほぐれ、表情が柔らかくなり、対話が始まりやすい。
芝生に座って話すことで、立場や役割に関係なく、フラットな対話が生まれやすくなります。
テーブルを動かす場面では「意外と軽い」「この向きも良さそう」と学生同士の会話が始まり、アイスブレイクが自然に発生します。レイアウト変更という行動自体が、コミュニケーションのきっかけになっています。
高校生向け授業でも、最初から積極的に動いて展示をつくったり、芝生に座って話したりと、非常に前向きな姿勢が見られました。
学びが教室を越えて広がっていく場面
---授業以外での使われ方について印象的な事例はありますか?
田口さん:
就活生が「家だと集中しづらい」と言って、ここでエントリーシートを書いていたのが印象的でした。緊張しやすい面談の練習も、ここだと気持ちがほぐれるようで、学生同士でロールプレイをしている姿も見られます。
都築教授:
芝生エリアを使った学生企画のギャラリー展示では、イーゼルを並べ、来場者と対話しながら作品紹介をしていました。展示の“場をつくる”ところから自発的に動いていたのがとても良かったです。
学科や立場を越えて広がるこれからの活用
---2026年度以降、どのように活用が広がることを期待されていますか?
岩崎教授:
大学の内外をつなぐ拠点として、この空間がますます活用されることを期待しています。高等学校・地域・企業と連携したプロジェクトの実践場所として大きな可能性を感じています。初対面でも自然と会話が生まれる環境なので、協働が進めやすいですね。
都築教授:
学科の特性によって、活用の幅はさらに広がると感じています。
たとえば、「災害シミュレーションにも使えるのでは」という教員の声があったり、展示やものづくり、プロジェクト型学習など、学科ごとに特色をいかした活用イメージが自然と広がっています。
こうした発想が教員側から生まれてくること自体、この空間の可能性を実感するポイントだと思います。
学びの文化を育てていく場としての役割
---空間がもたらす価値の本質を、どのように感じておられますか。
岩崎教授:
学生と教職員が自然に混ざり合い、同じ目線の高さで語り合えること。これがこの空間の一番の価値です。ここで生まれた関係性や学び方は、大学全体の“文化の土壌”になっていくと感じています。
都築教授:
学生も教職員も“場を自分たちで動かす”経験を通じて、学びを受け身ではなく自分でつくり出すものとして捉えるようになってきています。これがこの空間の最大の成果だと思います。

