介護・福祉事業として、高齢者施設や障がい者向け施設を運営し、フランチャイズ事業を全国展開している株式会社3eee様。「遊び心と生きがいの調和~ Innovation for Life ~」を企業理念に掲げ、業界ならではの課題と向き合い積極的に働き方改革の推進をされているその想いと、パートナー企業として実現していきたい社会課題への取り組みについてお話していただきました。
お客様:株式会社3eee 代表取締役 田中 紀雄 様
取 材:スノーピークビジネスソリューションズ 早川 恵里
介護業界、市場開拓のカギは「働き方改革」
「貴社について、そして積極的に行っている働き方改革について教えてください。」
当社は札幌市に本社を構え、全国に12業態、180以上の介護事業・障がい福祉事業を展開しております。
2010年8月に会社を設立しました。当時の介護業界は、制度ビジネスなので適切な競争環境が生まれず、市場原理がなかなか働かないと思っていたこともあり、それまで培った店舗展開のスキル・ノウハウを活かして、この業界で市場展開をしていくことに踏み切りました。その多店舗展開の力こそが、会社を成長させたポイントだったと思います。
ー ABW(Activity Based Working:「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方)
そして現在は、ますます人材確保が課題になる中で「働き方改革」に重きを置いています。まずは本部である札幌本社と東京、福岡の拠点にてオフィス改革を実践しており、その一環でどこでも働ける環境づくりとしてキャンピングオフィスを取り入れています。
業界のイメージを覆す「働きたい」オフィスづくりを目指して
「スノーピーク製品を取り入れようと思ったきっかけは何でしょうか。」
ー オフィス移転
札幌本社、東京支社とオフィス移転のタイミングがあり、この機会に遊び心のあるオフィスにしようと考え、スノーピークとの提携を検討しました。
スノーピーク製品はもともと使っていました。私はキャンプ歴が長く、30年くらい続けていますが、初めてスノーピークのおしゃれなロースタイルのギアを見たときから憧れをもっていたのです。質が他社製品より断然よく、いずれ全部スノーピークに買い替えようと思ったことを覚えています。
ー 採用
導入のきっかけはオフィス移転の他にもう一つあり、それは採用シーンへの活用です。北海道は20年ほど前から人口減少が進んでおり、給与面以外でも会社に魅力がないといい人材の確保が難しいのです。介護業界のイメージの中で、おしゃれで遊びゴコロを持った会社というインパクトを与え「あこがれる会社」「目指す会社」になることは、採用活動においてとても効果があると思っていました。そこでスノーピーク製品を使った雰囲気の良い、面白いオフィスにしたいと考えたのです。
災害に備えたBCP対策としての効果に期待
「キャンプ用品をオフィス家具として取り入れることに、不安はなかったですか?」
全くなかったです。スノーピーク製品が丈夫だということはわかっていましたし、オフィス家具よりデザインがいいので最高だと思いました。他にもエンツォ・マーリの家具などを使ってオフィスをさらにお洒落にしています。
ー BCP対策
また、キャンプ用品はBCP対策としても有効だと思っています。2018年に北海道での地震による大規模なブラックアウト※が発生しました。その前日は台風に見舞われていて、木々がなぎ倒され、停電になり、私の自宅のガレージを対策本部にしたのです。そこでキャンプ用品が意外と役に立つことがわかりました。
企業の経済活動にも大きく影響を及ぼすような自然災害が国内で相次いでおり、弊社は自社だけに留まらず、利用者さまや取引先さまを含め広く影響することから『事業継続力強化計画(BCP)』の策定、運用を通して平常時からBCP対策に取り組むことの重要性を再認識しました。
そういった経験もあり、貴社とのコラボレーションは、ファッション性以外にもBCP対策として大切だと思っています。
※「ブラックアウト」とは、大手電力会社の管轄する地域のすべて、また非常に規模の大きな範囲で停電が起こる現象(全域停電)のことを指します。
会話を促すリラックス空間は社員の自主性を向上させる
「実際に導入されてから、どんな使い方をされていますか?また社員のみなさんの反応はいかがでしょう。」
使い方は様々で、特にフリースペースでは、ブレスト会議、ランチ、デスクワークなど様々な場面で使われています。
ブレスト会議では、ゆったりタイプのTake!チェア ロングに座り、リラックスした状態でアイデア出しをすると、普段とは違う発想が生まれてくるので、よく活用されています。スタッフも意見が出しやすくなったことによって、自主性が上がったように感じます。
以前のオフィスはクールな作りだったので、「気軽さ」はなかったのですが、今は自席以外の場所でもミーティングが気楽にできる場所が増え、会話がしやすくなったようです。スタッフも「リラックスできる」と言っていました。
それと、来客時にはオフィスに関する会話が出るようになり、良いアイスブレイクになっています。
ブッシュクラフト部を通じたワークアズライフの実現1
「会社にはキャンプの部活があるそうですが、詳しく教えてください。」
ー ブッシュクラフト部
もともと私はファミリーキャンプがメインでしたが、2年ほど前、会社のみんなとキャンプをしたいと思った時に、ファミリーキャンプとは少し違う全員がソロキャンプをする「ブッシュクラフト部」を作ったのです。
いつも5・6人で行くのですが、現地ではそれぞれでソロキャンプを楽しんでいます(笑)。ソロキャンプを通じ、ファミリーキャンプに興味を持ったメンバーもいますよ。
普段キャンプをしない他のメンバーからすると“大変そう”という印象を持たれるかもしれませんが、最近では設備が整ったキャンプ場やグランピング施設も増えていて、そういったところから始めてもらえたらいいなと思っています。
ー ワークアズライフ
仕事も遊びも人生の中にあるものなので、「Work As Life(ワークアズライフ)」という考え方を取り入れて、仕事を遊びのように楽しんでやっていこうと伝えているんです。
今、働き方が大きく変わっていく世の中ですが、人間関係の希薄さは厳しくなり、特に日本人のやる気の低下はアジア圏で最下位と言われているので、非常に危惧しています。会社に所属するということは、人生において非常に重要なコミュニティです。こういったアウトドアを取り入れながら、どの企業もWork As Lifeのような考え方ができるようになるといいですね。
自然を通じて人間本来の力を回帰するというスノーピークの考え方には通ずるものがあるので、そんな働き方を一緒に世の中に発信していきたいです。
働き方も、暮らしも、もっと自由に楽しめる世の中へ
「貴社にとって今後目指していきたいことや、そのための課題などがあれば教えてください」
介護業界には、若いころにできていたことができなくなってしまった高齢者の方、病気やケガで身体が思うように動かせなくなってしまった方がたくさんいます。そんな方々が、元あった生活や自分が若いころに活躍していた生活を再現できたらと思うのです。リハビリテーションを通じてからだの残存機能を生かし、旅することも可能になるよう、2年前から日本航空株式会社(JAL)様と提携して高齢者の旅行企画を行っており、そういう企画も絡めながら、旅するように働ける介護の現場ができたらと考えています。
今はキャンプを活用しているのは本社の社員だけですが、今後は現場の社員にも拡げていきたいです。キャンプギアも若者が使うだけではなく、高齢者も使えるような安心安全なものが出てきたらと願っています。社会的不利のある方でも、もっとボーダレスに、自由に、社会の一員として楽しめる世の中になればいいなと強く思います。
ー 3eee様、取材のご協力ありがとうございました!