日本を代表する総合プロパティマネジメント会社として知られる、三菱地所プロパティマネジメント株式会社様。オフィスや商業ビル、複合施設など、多種多様な施設の運営・管理を国内外で手がけています。
その一つ、東京・大手町フィナンシャルシティ街区の大手町仲通りでは、毎年「アウトドアウィーク」というイベントも開催しています。超高層ビル群が立ち並ぶ通りに出現した、スノーピークのアウトドア空間。最先端のオフィス街に「働く×暮らす」という新しいまちの兆しが見えてきています。
お客様:
三菱地所プロパティマネジメント株式会社
大手町営業管理部 鈴木 らに様、鈴木 美紀様、平山 壮太様、角田 玲子様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 大塚 美樹)
建物の運営管理からまちづくりまで、多様な事業を国内外で展開
---三菱地所プロパティマネジメントさんの事業概要を教えてください。
三菱地所プロパティマネジメントでは、オーナー様からお預かりしたオフィスビルや商業施設などの建物の運営・管理、契約交渉も含めた総合的なサービスを提供しています。三菱地所グループの一員として三菱地所の物件はもちろん、それ以外の物件も取り扱い、受託棟数は全国で200棟以上。台北などアジアでも事業を展開しています。
建物の運営・管理にとどまらず、イベントの企画や街のプロモーションといったエリアマネジメントも弊社の事業の一環です。弊社は「想いをつなぎ、心躍る場を共に。」を企業理念にエリア全体の新たな価値創造に取り組み、まちづくりを通した社会への貢献を目指しています。
私たち大手町営業管理部は、日本のビジネスの中心地である大手町エリアのビル管理を担っています。大手町フィナンシャルシティの間に伸びる大手町仲通りを活用した各種イベントも企画・運営していて、今回の「大手町仲通りアウトドアウィーク」もその一つです。
オフィス街のど真ん中に、自然を感じる空間を
---アウトドアウィークの概要と開催の経緯を教えてください。
「大手町仲通りアウトドアウィーク」は、大手町仲通りに約2週間にわたってスノーピークさんのテントやキャンプギアからなる非日常空間を創造し、アウトドア気分を楽しんでいただくイベントです。青空ミーティングをしたり、キャンプ用チェアでランチを楽しんだりと、入居テナントの社員の皆様はもちろん、一般の方にもご利用いただける空間として開放しています。
そもそもアウトドアウィークを思いついたのは、過去に弊社でスノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)さんのアウトドア研修を社員向けに開催したことがあり、当時研修に参加した社員の話などをきっかけに「遊びながら働く」という御社のコンセプトに共感し、大手町というビジネス街にも自然を感じて楽しめる場所が生まれたら、よりこの街の付加価値が高まるのではないか、と考えたことです。
初回は2020年。コロナ禍で屋外空間の価値が再認識されたこともあり、まず実験的にキャンプギアを置いたところ、それだけで大好評をいただきました。特にランチタイムの稼働率が高かったので、2回目以降は店舗から食事をデリバリーできる仕組みをつくり、アウトドアで仕事ができるように電源の設備を導入し、と年々改善を続けています。おかげさまで、2023年で4回目の開催を迎えることができました。
「アウトドアで働く」を意識した提案で、オフィスワーカーを外へ
---今年のイベント開催にあたり工夫された点はありますか?
昨年は5月の開催でしたが、今年は天候なども考慮して9月23日から10月6日までと開催期間を変更。秋晴れの空の下、これまで以上に多くの方にお立ち寄りいただきました。席の予約をすると通り沿いのレストランで使えるクーポン券を配布したり、おいしいごはんやお酒を提供するキッチンカーが登場したりと、利用を促すサービスも効果的だったと考えています。
また、これまでの傾向として、14時半~17時までの利用者が少ないという課題がありました。その解消のために、よりアウトドアで働く方向へ各社の皆様を導きたいと電源のみを用意することに。さらに『ご利用ガイド』をつくり、ランチ、ミーティング、ディナーでの利用例をわかりやすく紹介したところ、課題となっていた時間帯の利用率がアップ。クーポンでコーヒーを買ってミーティングをしたり、お弁当を持ち込んでくつろいだり。皆さん思い思いに利用され、どの時間帯も賑わっていました。
テナント間でのつながりも生まれたテント設営体験
---今年のイベントで新しく取り入れたコンテンツの手応えはいかがでしたか?
今回、初めて参加型コンテンツとして導入したのが、テント設営体験です。弊社はビルの運営管理を行う中で、日常的に入居テナント様とさまざまな会話をさせて頂いているのですが、コロナ以降、「出社率が低下したままで今もなかなか回復しない」「より密なコミュニケーションのために出社率を向上させたい」というお声が寄せられていました。企業向けにチームビルディングを行っているSPBSさんと共創すれば、課題解決のきっかけにつながるのではないかと考えたわけです。
事前にチームビルディングを目的にテント設営体験に参加しませんか?と各テナント様に募集をかけたところ、多くの企業が興味を示してくれました。当日、SPBSさんのサポートのもと、テント設営を体験された企業の皆様からは「想像以上に楽しかった!」と評価をいただき、社内のコミュニケーションや一体感を高めるきっかけになったのでは、と感じています。
加えて、参加人数の関係から2社で一つのテントを組み立てる場合もあったのですが、これがテナント交流の良い機会になり、想定外の効果を感じました。同じフロアに入るテナント様同士、挨拶は交わされても、お話をする機会はなかなかありません。でも、今回は他社の社員様同士が一緒にテントを組み立てる中で、あっという間に打ち解けて話すことができたようです。災害対策への意識が高い企業様も多く、「今後もよろしく」「災害時も協力をお願いします」などと言葉を交わされていて、これを機に非常事態に連携が取れる関係性を築いていただけたなら本当に良かったと、弊社としても嬉しく感じました。
各社の総務の方からは「ビル内でテナント交流を図りたい」「課題や悩みを共有したい」といったニーズも寄せられており、今回のテント設営体験は弊社にとっても大きなヒントになりました。来年以降も、テナント様のニーズに合ったイベントを設計し、企業様同士でのテント設営も含め参加型コンテンツのアイデアを出していきたいです。
アウトドアウィークが相互理解や出社のきっかけに一つに
---ご利用された皆さんの感想や反応をお聞かせください。
「テントにいると、山の中にいるようでリフレッシュできる」「仕事の間に一息つける」というご好評の声をたくさんいただいています。テント内やキャンプギアでのミーティングについては、「いつもは自分から話さない社員が、テントの中では自分から発言している」「プライベートの表情が垣間見えて、上司に親近感がわいた」という、アウトドアの解放感ゆえの効果を感じるお話も伺いました。
また、アウトドアウィークを開催しているなら外に出てみようかという方も多く、本イベントが出社する楽しみの一つになったのではないかと考えています。
こうした反応をいただけるのは、SPBSさんのご協力によるところも大きいですね。テントの設営体験では、アイスブレイクの後、他社の社員様同士がすぐに打ちとけて和やかに会話されていて、これも的確なファシリテーションのなせる技だと思いました。
本イベントは天候の急変なども想定し、安全基準に則って運営していますが、弊社自身はキャンプ用品に詳しいわけではないので、テント設営時にはSPBSの方が現場に常駐いただけるのも本当に心強かったです。ビル風が強い日も、すぐに安全対策をとってくださり、安心してイベントを継続することができました。
まちのポテンシャルを活用し、「働く」と「暮らす」を融合
---今後のイベントの展望や可能性をお聞かせください。
アウトドアウィークは、今や大手町エリアの風物詩です。他にもさまざまなイベントを手掛けていますが、単発ではなく約2週間という長さもあって、入居テナントの皆様に日常使いを楽しみながらエリアへの愛着を育んでいただける機会にもなっています。入居テナント様にご満足いただけ、飲食店など店舗の売上向上にも貢献できるため、弊社にとっても多様な効果を感じる特別なイベントと言えます。
今年は、近隣のお子さん連れのママたちがお茶を飲みながらオシャベリしていたり、おそらく近くのホテルに滞在中の外国人ファミリーがくつろいでいたりと、年齢も国も違うさまざまな方々の姿をお見掛けしました。また、一人パソコンに向かって仕事をされている方の横で、ご高齢の方がのんびり休まれていて、これまで以上にオフィスとまちの垣根なく、多様な層の方にご利用いただいたという実感があります。
そうした風景にオフィスだけではなく、近隣に住宅街やホテルもある大手町仲通りのポテンシャルを改めて感じました。今後、大手町仲通りと神田エリアを繋ぐ人道橋が架橋される計画もあり、地域の方との交流が一層広がることが予想されます。アウトドアウィークは、「働く」と「暮らす」が融合したまちを創造する出発点になる。そんな可能性を大いに感じて、未来への期待感でワクワクしています。
---三菱地所プロパティマネジメント様、取材のご協力ありがとうございました!