「スペースシェアをあたりまえに」をコンセプトに、レンタルスペースの企画・運営などを手がけるスペースモール様。
2023年10月には、新宿駅からすぐのビルの1室にスノーピーク製品を設置したスペースモールオリジナルCampスペース「399_SpemoCampingSpace新宿」をオープンしました。
コラボレーションにあたり「レンタルスペース運営だけでは得られない、新鮮な発見があった」とのこと。コラボレーションが実現した背景や、キャンプの良さを表現した空間をつくる際にこだわったポイントなどを伺いました。
お客様:株式会社スペースモール
代表取締役 小泉 直弥 様
執行役員 唐木 大耀 様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 森川 和輝)
「使い勝手の良さ」から「コンセプト重視」へ。社会のニーズに応えるスペース活用
---スペースモールさんの事業概要を教えてください。
当社のメイン事業はレンタルスペースの運営代行で、東京を中心に、大阪、名古屋、福岡で約250件のレンタルスペースを運営しています。カフェの定休日や営業外の時間、休日のオフィスなど、不動産のアイドルタイムを活用して第三者にレンタルし収益化を図るといったモデルで運営するほか、利用者のニーズに合わせて家具家電を揃え、レンタルスペースとして貸し出しています。
レンタルスペースと聞くと、会議やセミナー、講演会などの会場などで利用できるような「多用途に応じられる空間」を思い浮かべる人が多いかと思います。ただ最近では、配信や動画撮影のスタジオ、あるいは友人同士でのパーティーや自主上映会の会場として利用するユーザーも増えるなど、ここ数年で用途の幅がぐっと広がっています。その影響もあって、「推し活」や「映画鑑賞」など特定用途に特化したレンタルスペースの需要も増えている傾向にあります。
物件に新たな価値を付け加え、生まれ変わらせるといった観点でも、コンセプト重視の空間づくりは有効と考えます。特に築年数の経った古い物件は借り手が見つかりにくく、収益性は下がるばかりです。そういった物件のバリューアップを図る一環として、当社でもテーマ性の高いコンセプチュアルなレンタルスペースの企画・運営に力を入れています。
興味のあることに対して、最初の一歩を踏み出すきっかけを生み出したい
---「アウトドア」をコンセプトとするレンタルスペースを立ち上げるにあたり、スノーピーク製品を導入した理由をお聞かせください。
まず「アウトドア」というコンセプトを選んだ最初のきっかけは、私自身がキャンプに関心があったから。数年前、自社でキャンプをコンセプトとしたレンタルスペースを立ち上げたのですが、それも「気軽にキャンプ気分を味わえて、レンタルスペースの良さも体感できるような空間をつくりたい」と思ったのがきっかけです。その際にも、スノーピーク製品は活用させていただきました。キャンプに馴染みのない人でも知っているくらい圧倒的なブランド力があり、キャンプをコンセプトとするなら外せないと思ったのです。
また、レンタルスペースの運営を通じて「非日常を味わえる空間」をつくる意義があると実感していたのも大きかったと思います。例えば「キャンプに行きたい」と思っても、東京都内からキャンプを楽しめる場所に出向くのは大変ですし、イチからキャンプ用品を一式そろえるというのも初心者にはハードルが高いもの。キャンプサイトに行こうにも、車で1時間半以上かかります。だったら、都心部で気軽にキャンプの雰囲気を味わえる場があれば、興味のある人も一歩踏み出しやすくなるのでは、と考えたのです。
そんな考えを巡らせている中で転機が訪れたのは、2023年5月。当社の社員がスノーピークビジネスソリューション(以下、SPBS)さん主催のオフィス不動産交流会に参加した際にアライアンスを結べると知り、スノーピーク製品のみを使ったレンタルスペース立ち上げについて打診させていただきました。アライアンス締結後、当社の社員が実際にキャンプを体験する機会も設けていただきました。実際にキャンプ用品に触れて使い方を知ることで、キャンプやスノーピーク製品に対する理解度が高まったと感じています。
細部にまでこだわりぬいた演出で、キャンプへの憧れを刺激する
---空間づくりにおいて、特に意識した点は何ですか?
せっかくSPBSさんとご一緒できるのですから、本格的なキャンプの雰囲気を十分に体感できる空間に仕上げることに、徹底的にこだわりました。ただ、間取りの都合もありますし、防災対策なども考慮しなければいけません。施工会社を交え、約4カ月と通常と比較して2〜3倍の日数をかけて、どのような空間を作り出せるか議論を重ねましたね。
いろいろな制約がある中で、担当の森川さんから「キャンプの世界観を表現するならこの製品が必要」といろいろなアイデアをいただけたのは本当にありがたかったです。例えば、天井に「アーバンシェード」という、タープを住宅用にアレンジしたスノーピーク製品をレイアウトしたり、本物と見間違えてしまいそうなイミテーションの焚火台を設けたり。「世界観の作り込みって、ここまでやるんだ」と感動しました。
私自身キャンプに憧れる人間なのでわかるのですが、キャンパーではない人が見様見真似でつくるキャンプスペースは、ちょっとイマイチな雰囲気になってしまうんですよね。製品の良さやキャンパーの気持ちを一番に理解している人がチームに加わってもらえていることは、とても心強かったです。
それと、キャンプ用品の収納性の高さも新鮮に感じました。レンタルスペース業界では一般的に収納性にはあまり注目しません。というのも、テーブルや椅子は定位置に配置されているのが基本で、片付けるという発想がないのです。キャンプ用品は持ち運ぶことが前提なのもあり、折りたためばとてもコンパクトに。椅子やテーブルを片付けても場所を取らず、空間を広く使うことができます。これはキャンプ用品ならではの強みだと思いますね。
異業界のコラボレーションで、新たな顧客にアプローチする
---オープン後の利用状況はいかがでしょうか?
ありがたいことに、10月のオープン以降たくさんの方にご利用いただいています。もともとコンセプトが明確なレンタルスペースは他と比べて利用者が多いのですが、それを踏まえても利用者数は多いほうだと思います。日中はオフサイトミーティングなどビジネスでの利用が多く、夜の時間帯は企業の親睦会や打ち上げ、プライベートでの飲み会の会場など幅広い用途でご利用いただいています。
通常、レンタルスペースにお申し込みいただくのは女性が多い傾向にありますが、「399_SpemoCampingSpace新宿」に関しては男性からのお申し込みが多い印象で、「キャンプ」「アウトドア」というコンセプトが影響していると感じますね。レンタルスペース業界は今後、コモディティ化が進むと考えられています。他との差別化を図る上で、専門的なノウハウを持つ企業とアライアンスを結び世界観を表現することで、選ばれやすくなると改めて実感しました。
また、スノーピーク製品を実際に使えるのは、SPBSさんにとって新たなユーザーにアプローチできる機会になると考えます。テーブルや椅子だけでなく、お皿や調理器具、壁面に展示しているキャンプギアはいずれもスノーピーク製品でまとめています。利用者さまの中にはキャンプに関心を持ってこなかった人もいらっしゃるでしょうから、そういった方が実際に製品に触れることで良さを感じ、キャンプにも興味を持つかもしれません。まったく異なる業界のかけ合わせが相互にいい影響を与えあえていたら良いなと思います。
全国にキャンプの魅力を体験できるスペースを展開していきたい
---今後の展望をお聞かせください。
とても良い事例ができたと確信しています。同時に、改めて私たち自身が実際に体験して、ユーザーの気持ちを掴んでいくことの重要性を実感しました。実は私も、今回を機に友人とキャンプに行ってみたんです。友人がスノーピーク製品を愛用している姿を見て、実際に触らせてもらって。やっぱり、体験を通して理解できる良さってあるんですよね。一度でも手に取れば良さがわかりますし、愛用する人が多いのもより実感を持ってうなずけるようになるというか。私たちも知識や経験を深めて、物件のオーナーさまや投資家の方々に対してキャンプの魅力を提案できるよう成長していきたいと思っています。
すでに第二弾、三弾の計画が進んでいて、今後は投資家が投資する物件に対してスノーピーク製品を用いて空間演出することにも挑戦していこうと考えています。レンタルスペースに投資する方にとって、スノーピーク製品のブランド力は魅力的でしょうし、自慢したくなるコンテンツとなるのではと期待しています。東京だけでなく、大阪や名古屋での展開も視野に入れています。他にも、例えば薪を割る、バーナーを使って調理することにも挑戦できたり、川のせせらぎや木の香りなどを再現できる設備を導入したりして、実体験に近い感覚で利用できるスペースをつくり上げていきたいです。やれることは、まだまだたくさんあると思っています。
---スペースモール様、取材のご協力ありがとうございました!