Camping Office osoto Okazakiは大手製造業が立ち並ぶ愛知県の三河地域に位置しています。
屋内でアウトドアの魅力を味わえるこの場所で、新たな挑戦に踏み切ったのが、トヨタ車の企画・開発・生産を担うトヨタ車体株式会社様。
これまでの製造業のイメージを取り払って、楽しみながら未来を考える新しい場としてosotoを活用いただきました。
お客様:
トヨタ車体株式会社 材料技術部 材料開発室 前田 浩 様
取材:
スノーピークビジネスソリューションズ 早川 恵里
トヨタのミニバンやSUVを支え、人々に豊かな生活空間を。
―トヨタ車体さんの事業概要について教えてください。
トヨタ自動車の完全子会社であるトヨタ車体は、主にアルファードやハイエースといった大きなクルマの、企画・開発・生産している完成車両メーカーです。
トヨタグループの中でもミニバンやSUVなどの車体をつくる技術を強みとしており、市販車で培ったノウハウを活かしながら、体の不自由なかたや高齢者などの移動をサポートする福祉車両や商用の特装車、車載機器の企画・開発にも取り組んでいます。
私が所属する材料技術部は、部品や塗料といった材料の品質や強度などを評価する部門ですので、ほぼ全員が技術者で構成されています。まじめで地道なスタッフが多い部署ですが、今回は思い切って新しいチャレンジをしてみました。
多角的な視点を持ってこれからの車クルマの未来を考えたい
―osotoを活用したきっかけや目的は何ですか?
今、弊社では働き方改革や会社の将来に向けた取り組みを積極的に行っています。
今後クルマがどのように変わっていくのか、またこれまでとは違うクルマのつくり方があるのではないかと考える中で、これからの時代はクルマ以外の着眼点を持ち多角的な視点でのアイデアが必要になってきます。
そこで私たちの部署は全員で各々が考える将来について話し合う、「夢を語る」場を設けることにしたのです。
はじめはいつもの研修場所や貸し会議室などで行うことを検討していました。しかし、こうした取り組みをすることは社内でも例を見ないことで、製造業というかしこまった業種柄、今までと同じ環境で行ってもとびぬけた意見は出しづらいだろうと思っていました。そのため、いつもとは違う環境で研修を行ったほうがいいと考えたのです。
この考えをもって研修をサポートしてくれるコンサルティング講師の方に相談したところ、osotoというアイデアが出てきました。
発言のストッパーを外すosotoという非日常空間
―なぜCamping Office osoto Okazakiに決めたのですか?
今回の研修のコンセプトは日常から離れて自由な意見を出し合うことでした。
そして参加メンバーは2つの部署を合わせて60名。30名ずつ2日に分けて開催することにしましたが、その大人数を収容できる場所と言えば大会議室か屋外くらい。ただ、上長からも「仕事の雰囲気を出さないようにしよう」とアドバイスをもらっていたので、日常的な空間である会議室は候補から外しました。
とはいえ、全員でキャンプをするのはハードルが高く難しい。そこで、osoto Okazakiなら人数にゆとりをもって収容でき、非日常感も味わえ、更には天候に左右されたりせず、奥地に行かずとも快適な空間でキャンプのような気分を楽しめるので、ぴったりだと思いました。
また、街歩きをする企画も考えていたので、岡崎というまちが程よく田舎の雰囲気もありつつ商店街などもあり、条件としてもポイントが高かったのです。
関係性を深め、新たな気づきを得る3つのコンテンツ
―今回はosotoをどのように活用されましたか?
「夢を語る」というテーマで数十年先を見越して、自分が今後どうしていきたいか、組織としてどうあるべきかを考え、自由に想いを発散する研修を行いました。
研修の内容は「場づくり」「テーマごとのブレスト」「街歩き」です。
場づくり
何組かに分かれてワークをするため、グループごとに机や椅子を好きなところに持っていき、どのように配置するか考えながら自分たちが話し合う場所を作りました。
普段関わりのないメンバーもグループには含まれていたので、ここで交流ができブレストに入る前の良いアイスブレイクになったと思います。
テーマごとのブレスト
ここでは「否定しない」というルールを設けて実施しました。
将来のことを考えるためには、今まで通りの考えやこうあるべきという固定概念を取っ払わないと発想が膨らまないと思います。だからまずは自由に意見が出るように、この否定しないルールとosotoの雰囲気で盛り上げることにしたのです。
想像どおり、皆が思う存分に話し、会話がはずみ、今まで言えなかった意見も出すことができました。なによりも全員が笑顔で前のめりになって発言していたり、普段は口数の少ないメンバーからも積極的に発言があったりしたことには驚きました。
街歩き
テーマに基づいてosoto周辺を歩いて観察し、そこで見つけたものを発表し合うというフィールドワークを行ったのですが、それぞれ着眼点や発見が異なり、「同じ街でも人によって見え方がこんなに違うんだ」ということをみんなが実感しました。また、何気ない日常の風景をあえて注意深く観察することで、新しいアイデアは日常にもあふれているのだと皆が気づくことができたのではないでしょうか。
管理職にとっても、多様性を持った意見を取り入れていく訓練になったと思います。
気づきの数々が意識と行動を変えた
―参加された皆さんの感想やその後何か変化がみえたことがあれば教えてください。
まずは私自身がみんなの楽しそうな様子や普段気づかなかったメンバーの積極性を見ることができて非常に良かったと思っています。この人ってこんな発言するんだと驚いたこともたくさんありました。
そしてメンバーに感想を聞くと、
「この場所だから、非日常感を味わえた」
「仕事以外で喋ったことがない人と、こういうところで会話できて良かった」
「いつも言えないことが抵抗なく話すことができた」
「街歩きをしたことで、普段の通勤中に今まで気づかなかった点に目がいくようになった」
「次回はキャンプ場のような所でもやってみたい」
など、ポジティブな意見ばかりで大満足な結果となりました。
その後の変化としては、大きなことではありませんが、ベースとして「こういう話をしてもいいんだ」という認識を持てたのではないかと思います。それによって会議でも活発な様子が見られるようになったメンバーもいるようです。一旦アイデアを出そうということが言いやすくなったのではないでしょうか。
継続することで次世代の会社の変化に期待
―今回の研修を通じて今後の展望がありましたらお聞かせください。
このようなチャレンジを続けていき、他部署にも展開され、いつかは会社全体の意識改革につながればと考えています。
場所を変え、日常から離れた雰囲気の中で、前向きな話し合いをする。このアクションだけですが、とても大きな変化を生むと思います。
今回はあえてこの場をこちらから提供して、みんなでやりましょうと持ちかけましたが、一度やってみることで土台が整ったのではないでしょうか。だから今後は、少人数で話し合うタイミングが訪れたときに、じゃあ今度は一回このメンバーでosotoに行ってアイデア出しをしてみよう、などとメンバーが自主的に活動してもらえると嬉しいですね。
そしてそれが色々なところで自然に発生するようになったら、それが完成形なのかもしれません。
−−−トヨタ車体様、取材のご協力ありがとうございました!