暮らしに身近な家庭電化製品から社会インフラ、宇宙システムまで、あらゆる電気製品を手掛けている三菱電機株式会社様。日本を代表する総合電機メーカーとして、100年を越える歴史を糧に発展を続けています。
同社では社員の成長に合わせた能力開発を支援するため、職種別の研修や教育支援制度を整えていますが、部材調達を担う資材部では、部門初となるアウトドア研修を入社7年目の中堅社員向けに導入。関東や中部、関西、四国、九州など各地の拠点から28名が参加して、広島県湯来町のCAMPING OFFICE HIROSHIMAを舞台に1泊2日の研修を行いました。
同期で想いを共有し、より結びつきを強くすることができたという研修。それは運営側にも気づきの多い時間だったようです。
お客様:三菱電機株式会社 資材部 村井 和久様、浅野 哲史様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 鈴木駿平)
より良いものづくりを目指し、変化を続ける
---三菱電機さんの事業概要を教えてください。
三菱電機は、皆さんおなじみの家電から交通インフラ、発電所、人工衛星、防衛関連まで、電気製品と呼ばれるものを幅広い分野で製造販売する総合電機メーカーです。
コミットメント「Changes for the Better」を掲げ、常により良いものをめざし変革を続けていこうと多様な事業活動を展開しています。現在は経済的価値だけではなく社会的価値にも重きを置いて、サスティナビリティの実現やDXを推進し、循環型デジタルエンジニアリング企業への転換をめざしています。
国内外の生産拠点で様々な製品を作っていますが、製造に必要となる部品や素材を生産するサプライヤ様と強固な関係性を築き、最適な調達体制を構築することが資材部の役割です。本社の資材部は共通部材の集中購買や全体の戦略・方針の整備を行うほか、今回のような各拠点の資材部員への教育研修などを担当しています。
ライフプランを描くためのきっかけを提供したい
---中堅社員向けにアウトドア研修を実施した目的を教えてください。
資材部では入社時から10年目までに計5回の階層別研修を行っています。今回、アウトドア研修の対象としたのは入社7年目の社員。実務では中堅としてある程度の仕事が任されるようになり、自分の判断で進めていく姿勢が求められる立場です。これまでの研修はテーマに沿ってグループで課題を話し合い、結果を発表する形式で行ってきました。
しかし、ここ数年、研修のあり方そのものを再検討すべきでは?と考えるようになりました。例えば発表形式のグループ討議ではどうしても最大公約数的な発表になってしまうケースも多く、テーマによっては討議の進め方が難しい一面があります。加えてこのコロナ禍で各種の実地研修がオンラインへと移行せざるをえず、横のつながりも生まれない中で研修を行って本当に価値があるのか、と。
7年目の社員たちは30代直前。一般的にこのまま会社にいてもいいのか、違うキャリアを目指すなら早めに転職した方がいいのではないかと迷う年齢です。人生のライフプランを考える重要なタイミングだからこそ、彼ら自身が今後のキャリアを考える上でのヒントとなり、更に同期の絆を強化できる研修が必要だと考えました。
そこで多様性やサスティナビリティが求められる時代に合った研修はないか、部員たちが自分のことをフラットに語り合えるような研修ができないかと調査したところ、スノーピークビジネスソリューションズさんのビジョンシェアリングプランに出合いました。私たちの研修目的にマッチする上、アウトドアでありながら宿泊施設が完備されている点でも安心できました。
これまでの軌跡を共有し、未来を見つめる
---研修ではどんなことを行いましたか?参加した皆さんの様子も教えてください。
1泊2日の研修の1日目はライフラインシートを使った振り返りです。各自の社会人スタート以降のモチベ―ションの推移を折れ線グラフで記入しました。2日目は、今後を見据えて自分がやるべきことを何らかの形で持ち帰ってもらいたいと考え、5年後どうなりたいかという未来ビジョンを書き込むプログラムを盛り込みました。さらに、最後には自分の想いを漢字二文字で宣言する取り組みも行いました。
参加した部員たちは働く拠点は違いますが、同期入社ないしは社会人同期であり、また同じ調達業務を経験してきているので共感できる部分が多かったのでしょう。アウトドアの開放感もあって、久々の再会となったメンバー含めてすぐに打ち解け、お互いに自分の悩みや苦労した経験を話し合っていました。また、今後の5年間を見つめることで、自分が管理する立場、マネージャーになることへの意識づけもできたと思います。
またメンバーのうち1/3が女性でしたが、「海外研修にトライしたいけど、子どもを産むタイミングになるかも」「育児をしながら会社のキャリアをどう積んでいけばいいのか」「キャリアを積むには会社の制度がこうなると助かる」など、さまざまな意見が交わされました。運営側としては生の声を聞くことで、今後の支援の検討材料を得たと思っています。
壁を感じず話すことで、互いの距離が近くなる
---アウトドア研修やビジョンシェアリングの効果を、どんなところで感じましたか?
まず、ライフラインシートによるビジョンシェアリングによって、これまで自分たちがたどってきた道を客観的に可視化できたのは、とても良かったと思います。折れ線グラフにすることで自分とよく似た形の仲間を見つけ、「自分だけじゃないんだ」とわかってホッとしたという声もありました。最初は緊張していたメンバーの表情が変わり、リラックスして話し合う姿に、こちらも安堵しました。また対話を通して同期のメンバーから様々なフィードバックをもらえたことは、自分を見つめなおすきっかけになったのではないでしょうか。
弊社は全国に拠点があり更に事業部が多いため、本社や事業部間での壁を感じている社員もいます。こうした目に見えない壁を日頃から少しでも崩していきたいと思っているのですが、今回のような研修を通して「立場は違えど、同じ社員として頑張っている」という想いをわかち合えたのではないかと感じています。特に、執行役員も参加したバーベキューや焚火トークは想像以上に盛り上がり、時間が足りないくらいでした。焚火の前で役員とフランクに話す機会が持てたことは、中堅社員にとっては非常に有意義だったと思います。
当日は雨でタープの設営ができなかったため、急遽、屋根のある屋外ステージを利用することにしましたが、ファシリテーターの方のサポートにより、かえってコミュニケ―ションが活性化しました。こうした経験もアウトアドアならではで、部員たちも楽しんでいましたね。
また雨が降っても屋外で研修を続けられる施設だったので、とても助かりました。
意欲が高まり、キャリアを展望できる時間に
---参加された皆さんの反応はいかがでしたか?
実は部員には今回の研修内容については、事前に詳しく知らせていませんでした。研修の場所が変わる程度の認識で参加した部員もいたでしょうね。参加してみたら、これまでとは全く違う研修だと感じられた方も多かったと思うのですが、事後アンケートでは「非常に良かった」という意見がとても多かったです。
たとえば、「本音で話し合え、役員とも気さくに仕事の話ができた」「全国の同期とつながりあえた」「キャリアの参考になる話ができ、チャレンジしてみようと思った」「私生活の面でもフィードバックがもらえた」などなど。過去と未来のこと、仕事とプライベートのことなど、さまざまに話し合う中で得たものが多かったようです。
またアウトドアという開放的な環境の中で、皆がフランクに話せる雰囲気づくりをしていただいたことで、運営サイドとしてもこれまでの研修では表に出てこなかった個々の意見を聞くことができました。更に仕事や自分の未来に対するモチベーションが上がっている様子を感じられ、それだけでも研修は成功だったと思っています。
エンゲージメントの向上にアウトドア研修を
---研修について今後の展望がありましたら、お聞かせください。
今回、初めてアウトドア研修を体験しましたが、会社から離れた場所で、しかも自然の中で行う効果を実感しました。
また「調達戦略・業務の課題」ではなく「個人のキャリア」に焦点をあてた研修にしたことも、これまでとは違う手応えを感じています。結果として同期間の結束力の強化に繋がったと同時に会社に対する期待や要望も浮き彫りになり、運営側としても気づきの多い研修となりました。
現時点では今後もこうした研修を継続し、どの階層の研修にふさわしいか、よりコミュニケーションを活性化するにはどの時期がいいかなど、より良い教育研修のあり方を検討していきたいと思っています。
−−−三菱電機株式会社様、取材のご協力ありがとうございました!