トヨタグループのグローバルなIT戦略をサポートする株式会社トヨタシステムズ様。
今回、PLM・CAD本部の部門横断プロジェクトに関わるメンバー13名が、1泊2日で、CAMPING OFFICE HAMANAKO(静岡・浜名湖)のアウトドア研修を行いました。
トヨタシステムズ様とスノーピークビジネスソリューションズが共創し、専用にカスタムしたオリジナル研修プログラムのもと、メンバーの皆さんがアイデアを発散するワークに挑戦。
非日常空間の中で、枠にとらわれずに発想を広げて磨きあげたアイデアは、高い評価を受けて事業化への道を歩み始めています。
お客様:株式会社トヨタシステムズ
PLM・ CAD本部 CAD運用・育成サービス部 CADインフラ運用G
堀 雄司様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ
HRS事業部 大塚美樹)
※当日は雨天のため、焚火やBBQ以外のプログラムは屋内で実施。
人工芝やスノーピークのアウトドア用品が設えられ、屋内でありながら自然を感じられる空間の中で研修が行われました。
車両開発を最先端のITサービスと技術でサポート
---トヨタシステムズさんとPLM・CAD本部の事業内容を教えてください。
株式会社トヨタシステムズは、クルマづくりや新たなモビリティサービスのプラットフォームを支えるITソリューションを提供しています。
事業領域はエンジニアリング、コーポレート・ファイナンス、インフラからなり、その中でエンジニアリング領域は、トヨタ自動車およびトヨタグループの車両開発の企画から発売準備までを、最先端のITサービスと技術で支えています。
今回、アウトドア研修を行ったのはエンジニアリング分野に属するPLM・CAD本部です。当本部は、製品のライフサイクルを管理するPLM分野と車両の設計で使用される3D CADなどのソフトウェアを扱うCAD分野の業務を担い、車両開発の現場で使われるさまざまなシステムを提供しています。
本部の下には7つの部門があり、例えば、技術プロセス改革部では車両設計を、生技・製造プロセス改革部では工場での生産をサポートするなど、それぞれが専門性の高い業務を担当しています。
今の延長線上にない視点や発想を生み出すために
---アウトドア研修を導入した背景を教えてください。
現在、当本部では1年をかけて7部門横断型の「シナジー創出活動」を進めています。メンバーは7部門から1〜2名ずつ選出された15名。その職層や年齢はさまざまで、親子ほど年の差があるメンバーも含まれています。
この活動は昨年から始まりましたが、初年度は出てくる企画が既存の活動の延長線上に収まってしまうことが多く、新奇性を欠く点が課題でした。こうした状況を踏まえ、今年度は「全く新しいことに挑戦する」という方針を掲げることになったわけです。
そんなときにすすめられたのが、関係性づくりで定評のあるスノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)さんのアウトドア研修です。多様な部門から集まったメンバーにとって非日常空間でともに過ごす時間は、チーム力の向上に効果的だろうという期待が持てました。研修のタイミング的にもメンバーが温めてきた多様なアイデアを、ビジネスとして具体化するフェーズにあり、ここでアウトドア研修を行うことでアイデアをさらにブラッシュアップさせる狙いがありました。
運営サイドとスノーピークビジネスソリューションズが連携し、専用プログラムを共創
---研修プログラムをどのようにカスタマイズしていきましたか。
アウトドア研修の導入を決めてからは、充実した内容にするためにSPBSさんと何度も打合せを重ねました。
まず「ワクワクしながら事業アイデアを創出し、明るい未来を想像できるような研修にしたい」とこちらの考えをお話しし、研修目的を設定。また、研修で扱う事業アイデアのテーマを4つに絞り込み、各テーマに応じて年齢や職層を考慮したチーム編成を行いました。「ペルソナ分析」など、こちらで取り組みたいワークについてもSPBSさんに伝え、それに応じたプログラムを組んでいただきました。
事前にSPBSさんが作成したワークシートを運営サイドでシミュレーションし、参加メンバーが実践可能かどうかを確認。問いの立て方も調整しながら、専用のオリジナル研修プログラムを構築しました。こちらの状況に合わせて、SPBSさんが常に積極的かつ真摯に提案してくださり、密に連携できたと感じています。
新たな手法に挑戦し、自由に発想を広げた2日間
---当日の研修内容や参加者の様子を教えてください。
当日は13名が参加。7月だったため暑さ対策として、多くのワークは人工芝が敷かれたキャンピングオフィスで行いましたが、アウトドアの雰囲気にあふれ、通常の会議室にはないリラックス感がありました。
1日目は、 まず参加者が提案した事業アイデアを元に、顧客像を具体化する「ペルソナ分析」を実施。共感マップという手法を用いて、設定したペルソナが「考えていること」「見聞きすること」「感じているストレスや幸福感」などをマッピングし、顧客への共感を深めました。
実はペルソナ分析は弊社では普段あまり行わない手法だったため、多くのメンバーにとって新鮮な体験となり、手法の勉強にもなったと思います。設定したペルソナに名前をつけ、愛着を持って楽しく考える様子が見られて面白かったですね。
続いて、ペルソナ分析で深めたアイデアを、前提を覆すことでさらに発展させる「逆転の発想」というワークに取り組みました。このワークは参加者にとって難易度が高く、頭を抱えながらアイデアを絞り出す場面も見られましたが、それぞれが自分の枠を超えて視野を広げるきっかけになったのではないでしょうか。
2日目は前日のワークを踏まえ、「自分がやってみたいこと」を改めて言語化し、メンバー間で共有。その上で企画のハードルを越えるカギを模索し、アイデアをブラッシュアップさせました。最後にアイデアが実現した場合の社会的意義や影響力を考える「インパクトスケール」に挑戦。これはアイデアの社会的意義や影響力を考える視点を養う訓練にもなりました。
メンバーは普段のスーツ姿ではなく私服で参加。キャンピングオフィスや自然環境に包まれ「仕事モード」から解放されたことで、自分の内面やアイデアを出しやすいのでしょうね。職場では発言しにくそうな若手社員も、この場では役職や年齢に関係なくフラットな立場で積極的に発表する姿が見られました。
また、屋外でのバーベキューや焚火、お酒を酌み交わす時間も、チーム力を高める大切なコミュニケーションの場に。参加した子育て中の女性メンバーは「職場でも家庭でもない非日常の時間になった」と話しており、副次的ながら、そうしたリラックスの機会を提供できたことも良かったと思っています。
アイデアを具体化し、チームで協力してプレゼンテーションへ
---研修後の成果について教えてください。
成果の一つは、事業アイデアの具体化です。実は研修後に本部長など幹部に対して事業アイデアを発表する審査会が開催されたのですが、メンバーは研修を通じてブラッシュアップした発想や内容を盛り込んで、審査会のプレゼンテーションに臨むことができました。研修を一過性の体験にとどめず、具体的なビジネスのアウトプットに結びつけられた点は大きな収穫となりました。
もう一つは、チーム力の向上です。プロジェクトのスタート時は互いにほとんど知り合いがいない状況でしたが、研修後はチーム内で活発に意見交換しながらプレゼン資料の作成が進められており、関係性づくりの面で大きな効果があったと実感しています。自分の意見を発信することに苦手意識のあるメンバーが「前向きに頑張ろう」と決意を語る場面もあり、そうした自己開示によって互いの新たな一面を知ることもできました。
加えて、主体性の向上も感じています。 当初は人間関係ができていない中なので誰かが牽引する必要がありましたが、今はメンバーが自主的に活動を進めるようになりました。
研修後のアンケートでも、参加者全員が「チームの一員だと感じる」「他者の意見を素直に受け止めることができる」「想像力がかきたてられ、発想が広がった」といった面を評価しており、その充実感が日々の業務にも生かされていると思います。
事業化への活動を推進、他部署への展開も
---今後の展望について教えてください。
事業アイデア審査会の結果、今回の研修で議論した中の2つのテーマが選定されました。課題設定の明確さ、市場性、革新性などの審査項目において、高く評価されたものです。今後は実現に向けた活動フェーズへ移行することになり、展開に期待を寄せています。
また、成果や満足度の高さもあって、社内ではアウトドア研修の評判が広がっています。研修内容を聞いた部長や参加メンバーからも「自分の部署でもやりたい」という話が出ています。私自身、SPBSさんの研修はチーム作りや非日常体験の提供に価値があると実感しましたし、目的に応じて研修内容をカスタマイズできるため、他部署にも展開できるのではないかと思っています。
さらに、社員のエンゲージメント向上につながる福利厚生的な価値も提供できるため、今後の人材定着や満足度向上の施策としてもおおいに可能性を感じています。

