バイクやボートなどのグローバルブランドとして知られるヤマハ発動機株式会社様。その商品は世界のユーザーの心をつかみ、世界各国にて事業を展開されています。
2023年11月、CAMPING OFFICE HAMANAKO(静岡・浜松)で1泊2日のアウトドア研修を行ったのは、同社グローバルブランディング統括部・基盤推進部門の26名の皆さん。チームビルディングを目的とした研修は、メンバー間の距離を縮め、業務への意識改革をもたらすものとなりました。
お客様:ヤマハ発動機株式会社 グローバルブランディング統括部 基盤推進部門
部長 鷹取 正幸様
グループリーダー 伊藤 宏祐様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 大塚 美樹)
世界中の人々に愛される商品を創造するグローバル企業
---ヤマハ発動機さんの事業概要を教えてください。
ヤマハ発動機は、楽器のヤマハを母体として1955年に設立されました。モーターサイクルを中心にマリン、ロボティクスなど多岐にわたる分野へ進出しています。日本のみならず北米、欧州、アジアなどで事業を展開し、現在は売上高構成比の約9割を海外が占める状況となっています。
その中でグローバルブランディング統括部は、モーターサイクルビジネスにおける商品企画や導入マーケティングを担当しています。統括部は2023年7月に発足した企画推進と基盤推進の2部門からなり、今回、アウトドア研修を実施したのは基盤推進部門です。
基盤推進部門には、既存ビジネスを越えて新しい領域を広げていく「新領域開拓グループ」、顧客データの分析や分析手法の開発及び企画プロセスへの組み込み、モビリティへの意識調査などを行う「未来洞察グループ」、マーケティング系のコンサルティング及びオウンドメディアコンテンツ企画制作を行う「ブランディングサポートグループ」、海外も含めデータの集積を行う「企画管理グループ」の4つがあります。各グループの業務は他グループと連携しながら進めていく必要があり、発足時より「個人ではなくチームでアウトプットしていこう」という掛け声のもと、業務に向き合っています。
みんなが同じ方向を見てアクションを起こすために
---アウトドア研修を実施した背景を教えてください。
もともと弊社では組織状況を把握するために、毎年、全社員への意識調査を行っています。その結果、チーム力が必要にもかかわらず基盤推進部門は横のつながりが少ないという課題が見えてきました。
新組織のため新たに別部門から加入したメンバーも多く、中途採用の社員もいますし、年齢層は20代~60代、国籍も日本、フランス、タイ、台湾とさまざま。そのため一層の関係性づくりが大切なのですが、コロナ禍で在宅ワークが続き、コミュニケーションが取りづらい状況が生まれていました。
また、我々の仕事は新しい何かを企画して創造するクリエイティビティが重要ですが、その妨げになるファクターもいくつか見つかりました。
こうした課題を解消し、メンバー間の相互理解を育むコミュニケーションの素地を作ろうと思ったとき、ふと思い浮かんだのがキャンプです。キャンプは自然環境の中で力を合わせて共同作業をする必要があります。みんなが同じ方向を見てアクションを起こすのに効果的ではないか、チームビルディングを目的とした研修ができるのではないかと考えたわけです。
研修目的を理解したプロフェッショナルな提案を信頼
---スノーピークビジネスソリューションズの研修を採用した決め手は?
キャンプの効果を取り入れたアウトドア研修の実施にあたって、研修のプロにアウトソースしようと複数の企業に相談しました。その中でもスノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)さんは、研修の目的と達成したいゴールがはっきりと示されており、こちらの意図と一致していました。我々はレクリエーションではなくチームビルディングを研修の目的としていましたが、主目的がキャンプになっている企業も多かったのです。
その点、SPBSさんはビジョン形成や組織のコミュニケーションを中核にしていると明確に掲げ、プログラムも本質的な内容で緻密に構築されていました。打ち合わせの際に感じたのは、プロフェッショナル性の高さです。ファシリテーターの方の言葉には、多くの企業が抱える課題への処方箋となる要素が含まれ、非常に参考になりました。また、こちらの思いを汲み取ろうとする姿勢にあふれ、SPBSさんとならうまく実施できるのではないか、と信頼を置くことができたのが採用の決め手です。
焚火を囲み、自己開示しながら深いレベルで対話を
---研修プログラムの中で印象に残ったシーンを教えてください。
1日目、ビジョンシェアリングでの焚火トークは素晴らしい体験となりました。我々の部門は職場をフリーアドレスとしており、同じ部署にいても全員が毎日顔を合わせるわけではないため、部門設立後3か月経っていても「まだ話したことがない」という人が少なくない状況でした。コロナ禍でコミュニケーションの機会が限定されていたので、焚火トークの場で初めて「こういう人だったんだ」「こんな思いを持っていたんだ」ということがわかり、みんな新鮮に感じたようです。
また、部長が率先して「みんなを育てたいという想いは、自分の経験から来ている」と、プライベートな話も含めて自己開示したことで、参加者が話しやすい雰囲気になったことも良かったです。温かな炎を囲みながら、互いに心を開いて対話をする様子が見られました。SPBSのファシリテーターの方に導かれながら、深いレベルまで踏み込んで話し合いができ、もっと長い時間でも良かったと思うほど盛り上がりました。
2日目は前日の話し合いを踏まえ、午前中に「自分はこうなりたい」「こんなことがしたい」という各自のアイデアに対し、参加者が実現に向けたアドバイスを行うアイデア発散ワークを実施しました。
本来はここで研修は終了なのですが、個人の想いをできるだけ汲み取りたいと思い、SPBSさんに依頼して午後からはホテル内に場を移し、ヤマハ発動機だけでワークを継続。一人ひとりの思いをグループ単位で話し合い、具体的なアクションに落とし込む作業を行いました。せっかくの研修、やるだけで終わってはもったいないと、具体策が目で見てわかる形にまとめられて良かったと思っています。
相互理解が進んだことで、インタラクティブな関係性に
---アウトドア研修後、みなさんの反響や効果はいかがですか。
参加者の満足度は非常に高く、ほぼ全員が自分自身やチームワークにつながる学びや発見があったと答えてくれました。
特に印象的だったのは、社内インターンシップで弊部に来ている若手メンバーの変化です。1年後には自部署に戻るため遠慮もあったと思うのですが、研修直後から明らかに変わったのが見て取れました。研修の際に、懸命に仕事に取り組む先輩の本気を実感したことで「目が覚めた」と話してくれました。意識改革へのきっかけができたようで、私も胸を熱くしました。
テント設営などのプログラムやその間の会話で周囲の人を受け入れる姿勢が整い、翌日のフォローアップでやる気モードにスイッチが入る。一連の流れが効果的に作用したと感じています。
各グループからも「他グループの仕事を知る機会になり、自分のグループが変わらなければいけない点に気づけた」「上長とメンバー間の距離感が縮まり、コミュニケーションがスムーズになった」「自分のVisionとチームのVisionをつなげることができた」「相互理解が進み、一歩踏み込んだ助言ができるようになった」といった評価が寄せられています。
グループ間でも横のつながりが強化でき、互いに話しやすくなったのでしょう。普段の仕事でも気軽にアクセスしやすい関係性ができたため、若手それぞれのコミュニケーションが高まり、今まで以上に積極的な連携をし始めています。一方通行ではなく、インタラクティブな関係性が生まれているのを感じますね。
横展開も視野に、チームビルディングを継続したい
---今後の展望についてお聞かせください。
部内アンケートでは、7割ほどがアウトドア研修を継続したいと答えてくれました。内容の検証は必要ですが、関係性の強化はもちろん創造性の喚起などについても高い効果があったと感じており、半期に1回などタイミングを見計らってチームビルドを継続したいと考えています。
また、グローバルブランディング統括部のもう一つの部門、企画推進に今回の実施内容と成果を伝え、横展開することも検討中です。企画推進は若い男性社員が多く、コミュニケーションや連携の個人差が大きい。そうした課題解消にアウトドア研修の活用を提案したいと思っています。活動内容については、今回の経験を素材として、グローバルブランディング統括部全体での組織力を高める形へブラッシュアップしていきたいですね。
今回のアウトドア研修は、メンバーそれぞれが気持ちを整理する良いきっかけになり、チームとしてコミュニケーションのスタートラインに立つことができました。最近は、先輩の家に遊びに行ったという話を耳にするようになり、アウトドア研修後に付き合いが深まっていることも良い変化だと思っています。今後も業務では、グルーブ間で一緒に進めなければいけない案件が数多く出てきます。ますます強いつながりが必要になるため、さらにより良い関係性を育んでいきたいと考えています。
---ヤマハ発動機様、取材のご協力ありがとうございました!