レジリエンスとは、困難や変化に直面したときに、状況に適応し、立て直す力です。
変化の激しい今、企業には一人ひとりが困難に対応する力だけでなく、変化に対応し続けられる組織づくりも求められています。その土台となるのが、周囲と相談し、意見を交わし、支え合える「関係性」と心理的安全性です。
この記事では、レジリエンスの意味や7つのスキル、アダプティブスキルとの違いを整理したうえで、個人・組織でレジリエンスを高める方法を解説します。さらに、関係性を育む場づくりの実践例も紹介します。
レジリエンスとは?変化に強い組織をつくる関係性と心理的安全性
レジリエンスとは?ビジネスで注目される理由
レジリエンスとは、困難やストレス、逆境などに直面したとき、状況に適応し、立ち直る力を指します。
ビジネスでは、予期せぬトラブルや環境変化に直面しても、状況を捉え直し、次の行動につなげる力といえます。
なぜ今、レジリエンスが求められているのか
VUCAと呼ばれる、先行きが見通しにくく、変化のスピードも速い状況では、企業を取り巻く環境も大きく変化します。VUCAは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。
詳しい内容は[VUCAからBANIへ]の記事で紹介しています。
こうした環境では、変化を避けるのではなく、状況に応じて考え方や行動を柔軟に調整する力が重要です。
また、組織のレジリエンスは個人の精神的な強さだけで決まるものではありません。困ったときに相談できる、失敗や懸念を共有できるといった、周囲との関係性もその土台になります。
レジリエンスを構成する7つのスキルとは?
Karen Reivich(カレン・リーヴィッチ)とAndrew Shatté(アンドリュー・シャッテ)は、レジリエンスを高めるための7つのスキルを示しています。※1
-
・自分をABC分析する:逆境・できごと(A)、自分の思考・思い込み(B)、結果・感情や行動(C)を切り分けて整理する
-
・思考のワナを避ける:早とちりや視野狭窄など、ストレス時に陥りやすい思考のエラーに気づく
-
・氷山を見つける:自分の行動の根底にある深い思い込みに気づく
-
・思い込みに挑む:自分の思い込みを客観的に検証し、より柔軟に捉え直す
-
・大局的にとらえる:不安にとらわれず、状況を広く捉えて現実的な解決策を考える
-
・心を静めてフォーカシングする:強いストレスや感情に直面したとき、心を落ち着かせる
-
・リアルタイム・レジリエンス:非生産的な思考にその場で反論し、より柔軟な思考に切り替える
これらは、困難に直面したときに、自分の思考や感情を整理し、状況を捉え直すためのスキルです。
一方、職場でレジリエンスを発揮するには、自分自身の力だけでなく、周囲の人の考えや状況を理解し、必要なときに相談したり、協力したりすることも重要です。
つまり、個人のレジリエンスを高めるだけでなく、他者との関係性を通じて、困難に対応できる環境をつくることが、組織のレジリエンスにつながります。
レジリエンスとアダプティブスキルの違い
レジリエンスとアダプティブスキルは、どちらも変化の大きい環境で重要な力ですが、意味は異なります。
レジリエンスは「困難から立て直す(維持・回復)力」、アダプティブスキルは「変化に合わせて考え方や行動を調整する(変化・進化)力」と捉えると分かりやすいでしょう。
たとえば、仕事で大きなミスが起きたとき、原因を振り返り、周囲に相談しながら次の行動につなげるのがレジリエンスです。
一方、新しいツールの導入などで仕事の進め方が変わったとき、従来の方法に固執せず、新しいやり方を試すことがアダプティブスキルにあたります。
職場のレジリエンスを支える「関係性」と心理的安全性
職場でレジリエンスを発揮するには、個人のスキルだけでなく、困ったときに相談したり、失敗や懸念を共有したりできる環境が必要です。その環境づくりに関わる概念が「心理的安全性」です。
心理的安全性とは?
心理的安全性とは、チームの中で自分の意見や疑問、懸念などを表明しても、対人関係上のリスクを過度に恐れずにいられる状態を指します。
エイミー・C・エドモンドソンは、心理的安全性を、チームが対人リスクを取るのに安全な場所であるという、メンバー間で共有された信念として定義しています。
「こんなことを聞いたら、何も知らないと思われるかもしれない」
「失敗を報告したら、責められるかもしれない」
こうした不安が強い職場では、問題の共有が遅れることがあります。
一方、質問や相談、失敗の共有がしやすい環境では、周囲の力を借りながら次の行動につなげやすくなります。
心理的安全性の詳しい内容については、(心理的安全性のつくり方)の記事で解説しています。
なぜ関係性がレジリエンスにつながるのか
仕事では、すべてを一人で解決する必要はありません。上司や同僚に相談したり、異なる視点を取り入れたりすることも、困難に対応するための重要な手段です。
だからこそ、組織としてレジリエンスを高めるには、個人への研修だけでなく、日常的に相談や対話が生まれる関係性をつくることが重要になります。
レジリエンスを発揮しやすい環境
レジリエンスを発揮しやすい組織には、困難や変化を捉え直し、次の行動につなげられるという共通点があります。
◾️ 個人の場合
困難な状況でも感情だけで判断せず、「何が起きたのか」「次に何ができるか」を整理します。自分だけで解決しようとせず、必要に応じて周囲に相談し、異なる視点を取り入れます。
◾️ 組織の場合
組織では、個人の能力だけでなく、変化や問題にチームで対応できる状態が重要です。
-
・問題や懸念を早い段階で共有できる
-
・失敗を改善につなげられる
-
・部署や立場を超えて協力できる
-
・状況に応じて仕事の進め方を見直せる
レジリエンスを高める方法
レジリエンスを高めるには、個人のスキルと、それを発揮できる環境の両方を整えることや、1on1やチームミーティングなど、意見や懸念を共有できる対話の機会をつくることが重要です。
そのため、コミュニケーションの量ではなく、立場に関係なく意見を交わし、対話を次の行動につなげられる状態をつくり、その方法の一つとして、普段とは少し違う環境で一緒に体験し、対話する機会を設けることも考えられます。
関係性を育む方法としてのアウトドア
関係性を育む方法の一つとして、アウトドアを活用した協働体験があります。
アウトドアにて調理やテント設営などの共同作業、焚火を囲んだ対話など、職場とは異なった環境下での活動を体験します。
この協働体験は、普段の役割や立場から少し離れ、共に活動することで、相手の考え方や人柄を知るきっかけを生むことができます。
大切なのはアウトドアそのものではなく、協働体験を通じて相互理解を深め、日常のコミュニケーションにつなげることです。
事例紹介|協働体験を通じて、関係性を育む
三井物産株式会社様|導入事例「『自分をひらく』ことの楽しさを 豊かな自然を通して体感する」
三井物産株式会社様では、新入社員11人とOJTの教育係であるMMリーダー10人を対象に、「タテ・ヨコ・ナナメの絆を育む」ことをテーマとしたアウトドア研修を実施しました。
タープ設営やトピックトーク、BBQ、焚火を囲んだ対話などを通じて、普段の仕事では話しにくいことも語り合い、相互理解を深めました。
「安心してなんでも話せる」という気持ちが、参加者それぞれの心に少しずつ芽生え、研修後には、部署を超えた交流や、先輩・上司への1on1の自主的な依頼が増えるなど、日常のコミュニケーションにも変化が見られました。
事例の詳しい内容は(「自分をひらく」ことの楽しさを)の記事で紹介しています。
組織レジリエンスとBCP――「人」と「場」に着目する
組織のレジリエンスを高めるには、個人やチームの対応力に加えて、事業を継続できる仕組みと、協力して動ける環境を整えることが重要です。
その代表的な取り組みがBCP(事業継続計画)です。災害やシステム障害などの緊急事態に備え、重要な事業を継続・早期復旧するための方針や手順を定めます。BCPの策定方法やポイントについては、「BCP対策(事業継続計画)とは?」で詳しく紹介しています。
有事には計画どおりに進まないこともあります。そのため、「何を備えるか」だけでなく、「人がどう連携して対応するか」まで考えておくことが重要と言えます。
よくある質問
Q レジリエンスとは、簡単にいうと何ですか?
レジリエンスとは、困難やストレス、環境の変化に直面したとき、状況に適応し、立て直す力です。単に我慢することではなく、状況を捉え直し、必要に応じて周囲の力も借りながら、次の行動につなげることを指します。
Q. レジリエンスとアダプティブスキルは何が違いますか?
レジリエンスは、困難や逆境に直面したときに立て直す力(回復力)です。一方、アダプティブスキルは、環境や状況の変化に応じて、考え方や行動を柔軟に調整する力(適応能力)を指します。つまり、レジリエンスは「困難への対応」、アダプティブスキルは「変化への対応」と整理すると分かりやすいでしょう。
Q. 職場でレジリエンスを高めるには、何が必要ですか?
個人のスキルを伸ばすだけでなく、困ったときに相談でき、意見や懸念を共有できる環境を整えることが重要です。1on1やチームでの対話に加え、普段とは異なる環境で協働体験を行うなど、相互理解を深める機会も方法の一つです。
まとめ|レジリエンスを支えるのは「人」と「関係性」
レジリエンスとは、困難や逆境に直面したときに立て直し、状況に対応していく力です。
変化の激しい環境では、個人のスキルだけでなく、組織として変化に対応できる環境を整えることも重要になります。
その土台となるのが、困ったときに相談でき、意見や懸念を共有できる関係性と心理的安全性です。
レジリエンスを「個人の精神的な強さ」だけで捉えるのではなく、人と人との関係性、そして人が関わる「場」まで含めて考えることが、変化に対応できる組織づくりにつながります。
レジリエンスを高める組織づくりを、体験と場から考える
スノーピークビジネスソリューションズでは、アウトドアでの協働体験を活用した研修や、コミュニケーションを生み出すオフィス空間デザインを通じて、関係性を高める組織づくりを支援しています。
大切なのは、研修やオフィスを変えること自体ではありません。人と人との関係性をどう育て、日常のコミュニケーションや協働につなげるかという視点です。
アウトドアを活用した組織づくりや研修については、(アウトドア研修のサービス紹介)もご覧ください。
「社員同士の関係性を見直したい」
「心理的安全性を高めたい」
「変化に対応できる組織をつくりたい」
このような課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。
▼ アウトドア研修について詳しく見る
お問い合わせはこちらから
参考文献
※1 カレン・ライビッチ、アンドリュー・シャテー著/宇野カオリ訳(2015)『レジリエンスの教科書――逆境をはね返す世界最強トレーニング』草思社

