社内イベントの企画で組織のエンゲージメントを高めるには、メンバーを「楽しませること」だけでなく、関係性を育み、相互理解や承認を深める場として設計することが大切です。
評価や異動をきっかけに仕事への意欲が揺らいだり、制度を見直しても職場の雰囲気が変わらなかったりする。そんな状況で、「制度の外でできることはないか」と考える担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社内イベントの目的や職場の課題、企画の進め方、目的別のアイデア、導入事例を紹介します。
社内イベント企画で、組織のエンゲージメントを高める
社内イベントの企画で最初に押さえること|定義と4つの目的
社内イベントとは、社員同士の関係づくりや、組織への理解・愛着を深めることなどを目的に、企業が企画・運営する催しです。 懇親会や周年記念、表彰式、ワークショップ型の交流などが含まれます。
企画を始める前に、まずは目的を明確にしましょう。
-
・コミュニケーションの活性化: 部署や役職を超えた接点をつくる。
-
・エンゲージメントの向上: 会社や仕事への愛着・貢献意欲を育む。
-
・理念・ビジョンの浸透: 経営の考え方や目指す方向性を、体験を通じて理解する。
-
・離職防止: 良好な関係性や、認められている実感を社員の定着につなげる。
目的が曖昧なままでは、参加者に「何のための場なのか」が伝わりにくくなります。解決したい課題とイベントの目的を結びつけることが大切です。
社内イベントの企画で考えたいこと|評価や異動で意欲が揺らぐ背景
評価結果や異動、役割の変化は、仕事への期待や職場での人間関係が変わるきっかけになります。その背景には、次のような要因が考えられます。
-
評価理由への納得感:
リクルートマネジメントソリューションズの調査では、評価制度を重要と感じる人は62.2%、満足している人は23.2%でした。また、評価理由の説明について期待が満たされている人ほど、仕事への活力や熱意(ワーク・エンゲージメント)が高い傾向が見られました(※1)。
-
貢献が認められている実感:
同調査では、仕事へのモチベーションが下がる要因として「評価が低いこと」が29.3%、「見えにくい貢献が認められないこと」が26.8%挙げられています(※1)。
-
役割や環境の変化による負担:
厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、仕事や職業生活に強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者のうち、19.8%がその内容として「役割・地位の変化等」を挙げています(※2)。
社内イベントは評価制度の代わりにはなりませんが、評価理由の説明や上司との対話を整えたうえで、関係性を育み、互いの貢献を知る機会として補完的に活用することが大切です。
敬遠されやすい社内イベントに共通する4つの理由
ホットペッパーグルメ外食総研の調査では、職場の飲み会が開催された割合は2017年の約75%から2025年には約60%へ減少しました。また、飲み会に期待することの1位は「コミュニケーションの場」(40.3%)ですが、2017年と比べて10ポイント以上低下しています(※3)。
この結果だけで社内イベント全般への意識を判断することはできませんが、企画の際には参加者の負担やニーズに目を向ける必要があります。敬遠される理由として、次の4点が考えられます。
-
・時間: 業務時間外や休日に拘束される。
-
・費用: 自己負担や会費が発生する。
-
・意義: 開催目的や参加するメリットがわからない。
-
・企画内容: 一部の人だけが盛り上がる、余興への参加などを強制される。
イベントを関係性づくりの機会にするには、目的を伝えるだけでなく、参加者の負担を抑え、誰もが無理なく関われる設計にすることが重要です。
エンゲージメントを高める社内イベント企画の進め方|5ステップ
1. 課題を事実に基づいて言語化する
面談の記録や従業員向け調査、離職の状況などを参考に、「異動後のチームで会話が減っている」といったような解決したい課題を具体化します。
2. 目的とゴールを決める
「部署をまたいで相談できる相手が増える」など、イベント後に目指す状態を設定します。相談のしやすさや他部署への理解など、振り返りで確認できる項目も決めておきましょう。
3. 対象と参加の負担を設計する
全社向けか、特定の部署向けか、対象を決めます。業務時間内の開催や費用負担の軽減などで、参加のハードルを下げましょう。
参加は任意を基本とし、不参加を理由に社員を評価しないことも重要です。
家庭の事情や心身の状態、宗教・信条など、社員一人ひとりの背景はさまざまです。不参加の理由を無理に尋ねず、イベントの情報や振り返りを共有するなど、参加の有無による情報格差を防ぐ工夫も有効です。
4. 場所と形式を選ぶ
会議室では日常の上下関係を意識しやすい場合もあります。普段の業務から少し離れた場所や、共同作業を伴うプログラムを選ぶことで、いつもとは違う対話が生まれる可能性があります。屋外での活動も選択肢の一つです。
5. 実施して、振り返る
実施後は満足度だけでなく、参加者同士の関係性や他部署への理解に変化があったかを確認します。結果を次回の企画や日常のコミュニケーション改善に生かしましょう。
目的別|組織に合わせて選ぶ社内イベントの企画アイデア
企画の数を増やすことよりも、解決したい課題から逆算して選ぶことが大切です。
-
異動やチーム再編後の関係性を整える:
設営や調理など、混成チームで取り組む協働型イベント。役割を分担し、ともにやり遂げる体験をつくります。
-
部署を超えた接点をつくる:
シャッフルランチや部活動・サークルの支援。業務時間内の開催や費用補助で、参加しやすい環境を整えます。
-
評価制度では拾いきれない貢献を認める:
表彰式や感謝を伝え合う企画。受賞理由を具体的に伝え、さまざまな貢献が認められる機会にします。
-
理念やビジョンを共有する:
周年記念、社員総会、キックオフ、内定式・入社式など。経営からの発信に加え、社員同士が考えを共有し、対話する時間を設けます。
事例紹介|40周年を祝い、相互理解を深める「新しい始まりの会」
三和ホールディングス株式会社様 導入事例
同社グループでは、コロナ禍のリモート勤務や社員構成の多様化を背景に、コミュニケーションの希薄化が課題となっていました。40周年記念事業でこの課題に取り組むため、設営や焚火を通じて一体感を育めることなどから、約140名が参加するアウトドアイベントを企画しました。
当日は、アクティビティ、ワークショップ、セレモニー、交流会を実施。参加者からは、設営作業やBBQ、焚火を通じてチームビルディングが進んだことや、社員の意外な一面を知り、会社の枠を超えた交流が生まれたことなどが寄せられました。
この事例で注目したいのは、課題を明確にし、目的に合った形式や場所を選んだことです。イベントの形式を先に決めるのではなく、解決したい課題から逆算することが企画のポイントになります。
詳しい内容は、(40周年を祝い、相互理解を深める「新しい始まりの会」を開催)の記事で紹介しています。
社内イベント企画を成功させるポイントと、外部パートナーの判断基準
企画を成功につなげるには、次の点を押さえましょう。
-
・目的と参加するメリットを具体的に伝える。
-
・一部の人だけが盛り上がる内容や、余興の強制を避ける。
-
・繁忙期を避け、参加しやすい日程を組む。
-
・参加を任意とし、不参加による不利益が生じないよう配慮する。
企画から当日の運営までを通常業務と並行して担うことが難しい場合は、外部パートナーの活用も選択肢です。イベントの形式設計や運営、屋外開催時のリスク管理など、自社の課題や社内リソースに応じて検討するとよいでしょう。
よくある質問
Q. 社内イベントの準備期間は、どのくらい必要ですか?
規模や内容によって異なります。当社のイベントコンサルティングでは、実施日の1〜3か月前からの準備を目安としていますが、短い準備期間での実施についてはご相談ください。
Q. 社内イベントの参加率を上げるには、どうすればよいですか?
開催目的と参加するメリットを具体的に伝え、業務時間内の開催や費用負担の軽減、繁忙期の回避など、参加しやすい環境を整えましょう。参加を強制するのではなく、社員が納得して参加できる企画を目指すことが大切です。
Q. 評価や異動で意欲が下がったメンバーにも、社内イベントは効果がありますか?
イベントだけで評価への不満や異動に伴う不安を解消できるとは限りません。評価理由の説明や上司との面談を整えたうえで、互いの貢献を知り、関係性を育む機会として活用することが重要です。
まとめ|社内イベントの企画は、関係性を育むことから
社内イベントの企画で大切なのは、開催すること自体ではなく、解決したい課題を明確にし、社員同士の関係性や相互理解を育む場として設計することです。
評価への納得感や貢献が認められる実感、職場の人間関係など、仕事への意欲に関わる要因はさまざまです。社内イベントだけですべてを解決できるわけではありませんが、普段の業務では生まれにくい対話や交流のきっかけをつくれます。
まずは課題と目的を明確にし、参加しやすい形式や場所を選びましょう。
そして、実施後の振り返りを日常のコミュニケーションや職場づくりにつなげることも大切です。
スノーピークビジネスソリューションズでは、自然やアウトドアの力を活用したイベントの企画・運営を支援しています。社内のコミュニケーション活性化やチームビルディングに向けて、イベントの企画を検討している方は、ぜひご活用ください。
▼ イベントコンサルティングについて詳しく見る
▼ イベントの企画・運営について相談する
お問い合わせはこちらから
参考文献
-
※1 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「『人事評価と職場における感謝・称賛に関する実態調査』の分析結果を発表」(2026年8月26日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000197.000029286.html
-
※2 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況(個人調査)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
-
ホットペッパーグルメ外食総研「職場の飲み会に対する期待と参加実態を調査(2025年4月実施)」(2025年6月13日)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/column/20250529

