
トヨタグループ全体のITを担う、株式会社トヨタシステムズ様。
今回、PLM(Product Lifecycle Management)部門の皆さんが、チーム内外のメンバーの関係性向上を目指し、2つの研修を行いました。
一つは管理職を対象にした、CAMPING OFFICE HAMANAKO(静岡・浜名湖)でのトライアル研修。次に、その効果を実感した上で、出図・流通グループのメンバーが自然豊かな岐阜の地で、アウトドア研修に臨みました。
自由な発想を引き出す対話型のプログラムや焚火トークを通じて、メンバーの心の距離が自然と近づき、これまでにない変化が生まれています。
お客様:株式会社トヨタシステムズ
PLM活用改革部
部長 酒井 潤 様
GM 矢田 和之 様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ
HRS事業部 大塚美樹、吉冨修平)


モビリティ社会を支えるITソリューションを提供
---トヨタシステムズさんの事業概要を教えてください。
株式会社トヨタシステムズは、トヨタ自動車およびトヨタグループ全体のグローバルなIT戦略をサポートする企業です。クルマづくりや新たなモビリティサービスのプラットフォームを支えるITソリューションを、エンジニアリング・コーポレート・ファイナンス・インフラの分野から提供しています。
今回、研修を企画したのは、エンジニアリング分野のPLM部門です。製品のデータ管理や活用を担っており、PLM開発推進部・PLM活用改革部・PLM展開推進部の3つの部が、主にクルマの設計で使う3Dデータや部品データなどを上流工程から下流工程まで流すシステムを一貫して担当しています。
浜名湖でのトライアル研修には、3つの部の部長とGM19名が参加。岐阜でのアウトドア研修には、PLM活用改革部から出図・流通グループのメンバー、20代から50代までの9名が参加しました。出図・流通グループは、部品の設計図面の情報を仲介するシステム管理を担当しています。

閉塞感を打破し、互いを思い合うチームをつくるために
---アウトドア研修を導入した背景を教えてください。
私たちPLM活用改革部には約50名のメンバーが所属し、6~12名のグループ単位で、協力会社のメンバーとともに業務を進めています。仕事をスムーズに進めるためには互いの状況に配慮しながら協力する姿勢が必要ですが、チーム間にはやや距離が感じられる場面もありました。業務分担の影響もあってか「自分の責任はここまで」と線を引く様子が見受けられることもあります。また、個々のコミュニケーションに問題はないものの、「チームの風通しが悪く見える」といった声もあり、組織全体で閉塞感を打破する必要性を感じていました。
この問題意識は各部門の部長やGMと共有しており、「もっとお互いを知り、チームでまとまって仕事ができないだろうか」「責任の範囲にとらわれず、互いを思いやり協力し合える関係性を築けないだろうか」と、さまざまな手法を検討していました。そんなとき協力会社の方からスノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)さんのアウトドア研修の話を聞いたんです。キャリア採用の方の入社時に研修を行ったところ、一気にメンバー間の距離が縮まり価値観も共有できたとお聞きし、「これだ!」と感じました。


自己開示と対話を重ね、創造力を高めるプログラム
---当日の研修内容や印象に残っていることを教えてください。
まずは研修の効果を確かめたいと、部長・GM層が浜名湖でメンバーと同じプログラムのトライアル研修を体験。その際、せっかく研修を行うなら、とSPBSさんの提案で管理層向けに「今後、部門をどうしたいか」と問いを設けたことで、それぞれが深く考え、本音の話し合いができました。そして「部門間で協力して取り組もう」と一体感も生まれ、トライアルという想定以上の成果を得ることができました。
この体験を踏まえ、岐阜では出図・流通グループ向けにアウトドア研修を実施しました。パーソナルトークでは、メンバーが影響を受けた人物やこれまでの歩みについて語り、普段は聞けない・話せない想いを共有。聞き手がさらに掘り下げて質問を重ねることも多く、これまでの研修ではなかった深い対話ができたと実感しています。
続くアイデアクリエイトでは、パーソナルトークを経て何を言っても受け入れてもらえる安心感が醸成されているからでしょうね。「GMのマインドを変えたい」など、会議室でまじめに考えているときには絶対に生まれない発想が次々と出てきて、面白かったです。
締めくくりの焚火トークは、印象的な時間となりました。普段の飲み会では、やはり周りを気にしながら会話をしたり、本質的な内容がどこかへ行ってしまったりするものですが、焚火を前にみんなが素直に心を開いて、真摯に本音で深い内容の対話ができていた。これは室内の会議や飲み会では得られない感覚だと思います。


「研修」の概念を越え、主体性を引き出すファシリテーション
---スノーピークビジネスソリューションズのサポートはいかがでしたか?
ファシリテーターの方はまるで同じチームの一員のようでした。自然にメンバーの輪に入り、会話にスッと入って質問したり相槌を打ったり、意見を肯定したりすることで、話しやすく誘導してくれました。近すぎず遠すぎない、その絶妙な距離感が、安心して話せる空気をつくり、対話を活発化させたと思っています。
また、当日の天候や参加者の雰囲気に合わせて、プログラムの変更を提案いただいたのも良かったです。浜名湖のトライアル研修では、急遽テント設営体験を追加したり、新任部長を中心に即興のトークセッションを行ったりと、現場での即応力のおかげで充実した時間が過ごせました。
SPBSさんのアウトドア研修は、何かを教わる・学ぶ場というより、さりげない誘導によって、気がつけば参加者が主体的に場を動かしている。「研修」と名前はついていますが、その概念を越えたところに価値があると感じました。

さまざまな関係性が生まれ、コミュニケーションに変化が
---研修後の社員の皆さんの反応や成果を教えてください。
岐阜での研修当日に感じたのは、「とにかく参加者全員が楽しそうに取り組んでいる」ということです。後日、写真を見ると、イキイキとした自然な笑顔が記録されていて、メンバーが心から研修を楽しんでいたことが再確認できました。
普通の研修は終わると話題にのぼることさえないのですが、今回は研修後、参加者から「楽しかった」「また参加したい」と前向きな感想が聞こえてきます。研修前はメンバー間の意見の食い違いや硬い雰囲気があるように見られていたグループも、研修中に「外から見ていた雰囲気と全然違う」「ここは大丈夫だね」と印象が変化したという声が寄せられ、本当の姿が伝わったことがうれしかったです。
日々の仕事の中では、メンバー間のコミュニケーションが良くなったと感じる場面もあり、これまでは見えなかった相手の人となりを知ることで、業務での連携にも前向きな変化が起きているようです。
メンバー間だけでなく縦の距離も縮まったことで、上司から声が掛けやすくなり、メンバーからも気づいたことを気軽に報告してくれるようになりました。また、GM同士も気軽にやり取りできる関係性を築くことができ、さまざまなコミュニケーションが円滑化しています。


部門を越えて広がるアウトドア研修の可能性
---今後の展望について教えてください。
アウトドア研修の有効性が確かめられたため、既に今年、80名程に対して同様のプログラムを予定しています。
また、部署やグループ単位だけでなく、新しいプロジェクトのキックオフのタイミングでアウトドア研修を実施し、一緒に仕事をするメンバーがよりチームワークよくスタートを切れる場として活用することも検討しています。ちょうど、本部内から有志が集まり、各部門の強みを持ち寄ってシナジー効果を生み出すプロジェクトチームが発足したところで、初めて一緒に仕事をするメンバー間のチームワーク向上やブレーンストーミングの場としての活用にもピッタリだと思っています。
さらに、最初に実施した部長・GM層の研修で話し合った成果を振り返り、次に向けて気持ちを新たにする場をつくるほか、今回参加できなかったメンバーを含めグループ内のさらなる関係性構築に活用するなど、継続的な実施も検討しています。
同じ会社の仲間と、どうすればもっと楽しく働けるか。そこが実は、仕事をする上で重要な要素ではないでしょうか。その意味でもアウトドア研修を、関係性づくりやチームビルディングの場として取り入れていきたいですね。
