創業は大正9年。物流・製造の両面で100年以上もの長きにわたり、日本のみならず世界を支えてきた 株式会社ニッポー様。2023年春には、4代目となる日吉裕哉氏が代表取締役社長に就任し、これからの100年に向けた組織活性化に取り組んでいます。
スノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)では3年を目処とした組織活性化プロジェクトの支援を行っており、今回はその一環として実施したアウトドア研修について、日吉社長にお話を伺いました。
お客様:株式会社ニッポー 代表取締役社長 日吉裕哉 様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 坪内恵子)
製造(モノづくり) から物流(モノ運び) まで、伝統と技術を誇る会社
---ニッポー様の会社概要を教えてください。
当社は1920年(大正9年)、広島の地で「日吉組」として運輸・土木建築を生業に創業しました。その後、時代の変化とともに事業領域を拡大し、現在は製造と物流の両軸で事業を展開しています。産業用機械の製造・物流を主に扱うほか、競馬用スターティングゲートなど競馬運営用装置の設計・開発を40年ほど前から手がけています。
社員は200名弱ほどですが、この規模で製造から物流までを自社で一手に引き受ける企業は珍しく、これまで培ってきた伝統と技術は当社の強みとなっています。
伝統ある企業ゆえ、これまではどちらかというと保守的で堅い社風であったかもしれません。しかし、これからの100年を見据えて持続的に成長し、求められる企業であり続けるためには、より柔軟で活気のある組織、良好な人間関係でつながる働きやすい環境をつくる必要があります。そのためには、会社のかなめである「人」がなにより重要です。より良い社内風土が醸成され、我々がこれまで培ってきた伝統と技術をかけ合わせることができれば、当社はまだまだ伸びしろがあります。
組織活性化プロジェクトのスタートとしてのアウトドア研修
---アウトドア研修を実施した背景を教えてください。
2023年春に私が社長に就任するにあたり、やりがいをもって働ける会社、働きながら成長を実感できる会社にしていきたいという強い決意を打ち立てました。一日の大半を会社で過ごす中で、言われたことをそつなくこなすだけでは面白くない。誰もが主体的に動いて働きながら成長し、仕事が楽しい、会社に来るのが楽しいと思える会社にしたい。そのために、今もっとも力を入れるべきは人材育成だろうと考えました。
とはいえ、人を育てるのは一朝一夕で結果が出るようなものではありません。腹をくくって長期的に取り組んでいきたいと考えていたところ、私の思いと合致するような組織活性化支援の案をSPBSさんに提示していただき、プロジェクト化して取り組んでいくことに決めました。
組織活性化プロジェクトは、会社のこれからを担っていく中間管理職層で構成するコアメンバーを中心に、コアメンバーが自ら選んだサポートメンバーを含む計22名が対象となっています。プロジェクトをスタートする前に、メンバー同士のつながりを強くし、人材育成にかける会社の想いを共有する機会になればと、1泊2日のアウトドア研修をCAMPING OFFICE HIROSHIMAで実施することにしました。
ノウハウを学ぶのではなく、意識変革を起こしたい
---SPBSとともに人材育成に取り組むことにした決め手はなんでしょうか?
元々は新入社員研修の案を考える中で、若手社員がSPBSさんに話を聞いたようで、面白い研修をしているなと思っていました。また、広島県が主催する勉強会で知り合った仲間がSPBSさんと面識があったことで、あらためて研修の話を聞き、当社で取り入れたいと思いました。
これまでもいくつかの研修を実施したことはありますが、それらはノウハウを学ぶためのものでした。しかしノウハウを学んでも、主体的に行動するマインドをもち合わせていなければ、結局何も変わりません。
より良い人間関係を構築して社員に気づきを促すというSPBSさんの組織活性化の提案を受けて、これは当社が変革するチャンスだと思いました。また、担当の坪内さんのフォローが手厚く、腹をくくって人材育成に取り組むパートナーとして安心感がありました。
対話を深めるプログラムで、人を大切にする素養を育む
---研修の実施内容について教えてください。参加したメンバーの様子はいかがでしたか?
メンバー同士で対話を深めることを目的に、ディスカッション中心の内容を組んでいただきました。1日目は、「大切にしている価値観とは?」「お客さまから期待されていることは?」といったワークショップを行い、会社が目指す姿について意見交換しました。普段は業務に追われて忙しい中間管理職層のメンバーにとって、業務から離れて、開放感のある自然の中でこれからのことを考える貴重な機会でした。会議室で話すよりも、積極的に発言が飛び交っているように感じました。
1日目の終わりには、コアメンバーが人選したサポートメンバーも合流してBBQと焚火をしました。参加したメンバーに話を聞くと、「焚火を囲むと、いつもより本音で話すことができる」と言っていました。普段は口に出さなくても、メンバーそれぞれが前向きな思いをもっていることが分かり、とても良い時間になりました。
2日目は、引き続きサポートメンバーも一緒に仕事のやりがいについてディスカッションしました。部門は違っても、やりがいを感じられる場面には共通点が多く、「やりがいをもって働ける会社にしたい」という思いを共有できました。参加メンバーがいきいきとした表情で対話をしていたのが印象に残っています。
研修で得たことを取り入れる、主体的な動きが広がった
---アウトドア研修をしたことによる変化があれば教えてください。
アウトドア研修を終えて、「人を大事にしたい」という会社のメッセージをメンバーに受け取ってもらえたと思います。研修前に比べると、コミュニケーションをうまくとっている姿が見受けられ、各部署の雰囲気が和やかになりました。
研修に参加したメンバーとは、社員の能力開発のためのプロジェクトも同時に進めているのですが、その会議でも若手を育てるためにどんな経験を積んでもらうといいかといった議論が進んでいて、活発な意見が出るようになりました。また、アウトドア研修では意見のすり合わせや振り返りに重きをおいていたのですが、社内のほかの勉強会でも振り返りをして、次につなげていこうという発案がメンバーから出てきて、経験をさっそく生かしてもらっています。
組織活性化プロジェクトは着実に進んでいて、アウトドア研修をやったおかげでいいスタートを切ることができました。会社を良くしていくためのプロジェクトなんだという目的意識を共有できたことは大きかったです。
愛に溢れた環境下で心を込めて人を育て、働きがいのある組織をつくる
---今後の課題や取り組んでいきたいことはありますか?
組織活性化プロジェクトは3年を目処とした長期的なプロジェクトですが、社長肝いりのプロジェクトとして、しっかりと舵取りして、SPBSさんと共に進めていきたいと思っています。最初の一年は少し我慢の時間になるかもしれませんが、来年以降は若手メンバーも巻き込みながら変革のスピードも質も上げていきます。
コアメンバーには、組織活性化プロジェクトで感じたことを、自分の言葉として社内で発信していってもらいたいですね。私が中心となりコアメンバーをしっかりとサポートし、コアメンバーはサポートメンバーや部下に対してちゃんと手をかけて成長を導き、自分たちが会社を変えていくんだという気概をもってほしい。コアメンバーを軸に、会社全体がより良く変化していくことを期待しています。
そして、社員はもちろん、社員の家族や地域の方にも「ニッポーは人を大事にしている会社だよね」と認められ、誇らしく感じてもらえる会社を目指していきます。
---株式会社ニッポー様、取材のご協力ありがとうございました!