自動車リースをはじめとした幅広いサービスを提供するオリックス自動車様。総務部人財開発チームでは、働く社員の能力開発や人財の多様性を育む活動を展開しています。
同部門の業務の一つが、内定者のフォローアップ。2024年度入社予定の内定者を対象とした研修のうち、8月に実施したCAMPING OFFICE IBARAKI SHIZUでのアウトドア研修では、「今まで知ることのなかった内定者の意外な一面」も目にすることができるなど、発見や気付きがあったようです。
お客様:オリックス自動車株式会社
総務部 人財開発チーム 櫻井泰崇様(人財開発チーム長)、吉松清雅様、寺岡理絵様
(担当:スノーピークビジネスソリューションズ HRS事業部 大塚美樹)
業界トップシェアを誇る自動車サービス企業
---オリックス自動車さんの事業概要を教えてください。
当社はオリックスグループの1社で、カーリース、レンタカー、カーシェアリングなど、自動車に関連するさまざまな事業・サービスを展開している企業です。
オリックス自動車の総務部は人事チームと人財開発チームで構成されており、人財開発チームでは社員の能力開発や、人財の多様性の育成などに取り組むとともに、新卒・中途採用といった新たな社員を迎える業務にも携わっています。入社した社員にとって、最初に関わりを持つ立場であり、入社後の成長のサポートなどでも関わっていくことが多いです。
入社前の時期だからこそ、じっくり同期と関係性を築ける
---内定者向けにアウトドア研修を実施することになった経緯を教えてください。
内定者向け研修は、例年複数回にわたって実施しておりましたが、コロナ禍以降は内定者全員が一堂に会するといった大々的な規模の研修は実現できておりませんでした。
スノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)さまのアウトドア研修を知ったのは、改めて「内定者同士が一致団結できる、絆を深められる機会をつくりたい」と、リサーチしているさなかのことでした。キャンプ好きには馴染みのあるスノーピークがビジネス研修を実施している点にも、意外性を感じました。
当社でも過去に野外で研修を行った実績はあったものの、当初は安全面などに対する懸念の声もありました。これに対して、研修内容はもちろん天候不順や熱中症の対策に関しても詳しくご説明いただけたことで、チーム内でもだんだんと期待感が膨らんでいったように思います。
何より、研修に対する作り込みが本当にこまやかで、自分の軸の見つめ直しや他者と考えを共有する機会など、人が社会で生きていく上で大切になる体験ができる研修内容に魅力を感じました。人生の根源に関わるような部分にもアプローチできるプログラムだと思いますし、入社前にこういったことにじっくりと向き合うことは、会社で仕事をして行く上でもきっと有意義なものになると感じました。一人の人間としてどう在りたいのかを見つめ直すことと併せて、同期との関係性を築くことは、このタイミングこそ大きな意味を持つと考えています。
体を動かすことでコミュニケーションを「体感」する
---具体的に、どのようなプログラムを実施したのですか?
内定者40人が参加し、東京駅からバスに乗って会場であるCAMPING OFFICE IBARAKI SHIZUに移動。昼食後に研修の概要について説明するオリエンテーションを受け、1日目はチームに分かれてテント設営、エンゲージメイク、懇親会を兼ねたBBQ、焚火トークを行いました。
オリエンテーションの後、アイスブレイクを兼ねて内定者と人財開発チームメンバーとで手をつないで立って会話するワークがありました。手をつなぐのも、日常ではなかなか行わない動作ですから、内定者にとって普段とは違う「自分」や同期の存在を感じたのではないでしょうか。振り返ると、この段階から少しずつ「素の部分を見せる」といったことに、内定者はもちろん研修を見守る私たちもトライし始めていたと思います。
テントの設営に入ると、普段とは少し印象の違う内定者の姿を目にすることができました。例えば、今までの研修では控えめな印象だった人が率先して指示を出していたり、おっとりタイプという印象だった人がリーダーシップを発揮したり。これもまたアウトドアならではの効果だ、と感じましたね。
2日目は朝食後にビジョンシェアリングワークショップを実施。途中、雨が降り始めるというアクシデントもありましたが、ファシリテーターの方のフォローもあって大きな混乱もなく、屋内での実施に移ることができました。内定者も落ち着いた様子でしたね。ワークではオリックス自動車で働くことの意義を考え、入社後どのように働いていきたいかなど、会社の理解を深めるとともに自分の軸を改めて見つめ直すといった内容に取り組みました。
非日常の環境が、心理的な距離を近づける
---特に印象的だったと感じるシーンをお聞かせください。
1日目に実施した「エンゲージメイク」は、特に印象に残りました。内容としては、チームでキャッチボールをしてパス回しの速さなどを競うといったとてもシンプルなもの。ですが、ファシリテーターの方から「普段のコミュニケーションに通じる部分がある」と示していただいたことで、キャッチボールを通してコミュニケーションを感覚的に体験する内容なのだと理解しました。
ゲーム中は、アイコンタクトを送り合ったり相手の名前を呼んでからボールを投げたりする場面も見られて。コミュニケーションと聞くと、真っ先に「言葉」を思い浮かべてしまいますが、ゲームを通してそれ以外の方法も意識的に取り入れられたように思います。
あとは、何といっても夜の時間ですね。BBQが始まってからは、全体としてとてもリラックスした雰囲気になって。中には、私たち人財開発チームのメンバーにプライベートについて質問したり、SPBSの皆さんとの会話を楽しんだりする内定者の姿も見られました。今回サポートしていただいたSPBSの皆さんも社歴が同じという間柄だとうかがっておりましたので、内定者も興味が湧いたんでしょうね。他社の人が、どのように同期と一緒に働いているかといったことに触れられたのも刺激になったのではと感じています。
焚火を囲む時間には、いつもなら気恥ずかしさから話題にしないような、心の奥にある本心や信条などを口にする人も。ほの暗い空間で、焚火を見つめながら会話するという非日常的な状況が、普段隠してしまっている思いを解き放ってくれたのかもしれません。1日目を終える段階で、その場にいた人たちの心の距離がぐっと近づいたように感じました。同期の絆も、しっかりと育まれたのではと思います。
2日目のワークショップでも、それぞれが「自分の想い」を自然と言葉にできていたように思います。今回参加した内定者の場合、自分自身の存在意義に対して関心が強い傾向にあると感じました。他者からの評価や承認がモチベーションの一つになる、とも言い換えられるかもしれません。こういった発見があったのも、今回の研修の成果だと感じます。
社会に出て最初に関係性を築く相手は、他でもなく同期
---貴社にとって「同期の絆」を育む価値とは何でしょうか?
オリックスグループ全体を通していえることなのですが、ビジネスを展開するためにはさまざまな企業さま、あるいはグループ会社同士で力を合わせていく必要があります。つまり、誰かと関係性を築く能力が仕事をする上で求められるのです。
人によってコミュニケーションの取り方、深め方の方法はさまざまです。大事なのは、自分なりのスタイルを知り、人と関わり合うことの面白さや難しさを楽しみ、やりがいを感じてもらうことだと思います。
その中でも同期は、社会人スタートとともに「関係性を築く相手」です。どんなことでも話せて、仕事に関しても意見を交わしたり相談したりと、包み隠さず接することができる。同期がそんな存在になればきっと心強いでしょうし、自分なりの関係性を築くためのスタイルも見いだせるようになるのでは、と期待しています。そして、社内でさまざまな絆が育まれることが、社員一人ひとりの成長、そして会社の発展においてとても重要だと考えています。
社員の人財開発にアウトドア研修を活用していきたい
---今後の展望についてお聞かせください。
研修に参加した内定者から「普段ならできないような会話ができた」「同期との仲が深まり、ともに働く『仲間』を意識することができた」との感想が寄せられました。研修を見守っていた私たちにとっても、コミュニケーションや関係性の構築について考える機会となり、改めて「このタイミングに実施できて良かった」と感じました。
将来的には、いろんな社員が参加できるような研修も実施できたらと考えています。例えば、同期との関係性が徐々に希薄になりがちな、中堅以降の社員向けの研修を実施する、といったのもいいでしょうし、内定者と先輩社員が一緒に参加する、といった形式も面白いかもしれません。社員にとって、折に触れて「関係性を築く」ことを見つめ直し、新たな絆を育む機会を生み出していけたらと思います。
---オリックス自動車様、取材のご協力ありがとうございました!