「10月に入り、チームの雰囲気が変わった」「異動や組織変更後、メンバー同士のコミュニケーションが減っている」――そんな変化を感じていませんか?
10月は、職場の環境が変わりやすい時期です。加えて、季節の変化や夏の疲れなどが重なり、メンバーの気分の落ち込みや意欲の低下といった不調が見られることもあります。
こうした秋に起こりやすい心身の不調を指して「10月病」と呼ぶことがあります。では、こうした変化が重なりやすい時期に、何ができるのでしょうか。
この記事では、10月の職場で起こりやすい変化を整理しながら、メンバーが相談しやすい関係性をつくる方法として、チームビルディング研修の役割や進め方を紹介します。
「関係性」を高めるチームビルディング研修とは?
10月病とは?秋に起こりやすい心身の不調
10月病は、秋に起こりやすい心身の不調を指す通称で、医学的な診断名ではありません。主に、気分の落ち込みや意欲の低下といった心の面の不調を指して使われます。
名前は、年度初めの環境変化で起こる「5月病」になぞらえたものです。10月は下半期の始まりにあたり、異動や組織変更、新しい目標設定などが行われやすく、新しい環境に慣れるためにエネルギーを使う点で、5月病と共通する構造があると考えられています※2。
10月病と秋バテの違い
似た言葉に「秋バテ」があります。
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10月病:意欲の低下、気分の落ち込み、集中力の低下など、心の面の不調を指すことが多い言葉
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秋バテ:だるさ、疲れやすさ、食欲不振、胃腸の不調など、体の面の不調を指すことが多い言葉
ただし、両者ははっきり分けられるものではありません。体の不調が続けば気持ちも沈みやすくなるなど、互いに影響し合うことがあります※2。
なぜ10月は不調が重なりやすいのか|季節と職場の二重の負荷
10月は、秋の季節要因と、下半期のスタートや人事異動、組織変更、新しい目標設定など、職場の環境が変わる企業もあり、職場の変化が重なりやすい時期です。
体に負荷がかかりやすい季節の要因
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寒暖差:1日の中や日ごとの気温差が大きくなり、体温調節などに負担がかかりやすくなります。
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日照時間の減少:秋分を過ぎると、昼より夜の時間が長くなります。2026年9月は、東日本太平洋側の日照時間が平年の46%となり、1946年の統計開始以降、9月として最も少なくなりました※1。日照時間の変化は、生活リズムや気分に影響する要因の一つと考えられています※2。
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夏の疲れの蓄積:暑さによる睡眠不足や、冷房の効いた室内と屋外の温度差などの負担が、秋になってから表れることがあります※2。
職場でも変化が重なる下半期スタート
10月前後は、人事異動や組織変更、上半期の評価面談、新しい目標設定など、職場の環境が変わりやすい時期です。夏季休暇明けから年末の繁忙期に向けて、業務量が増える職場もあります。
また、この時期は、上半期の評価を受け止める時期でもあります。評価の内容や伝えられ方によっては、「どうしてこの評価なのか」「なぜこの結果になったのか」と、納得しきれない気持ちを抱く人もいるでしょう。
納得感を支えるのは、結果だけでなくプロセスと対話
評価への納得感は、結果の高低だけで決まるわけではありません。
人事・人材マネジメントの領域では、評価を一度きりの査定ではなく、目標設定から進捗確認、フィードバック、改善までを含む継続的なプロセスとして捉える考え方が重視されています。
CIPD(英国人材開発協会)も、効果的なパフォーマンス・マネジメントには、目標設定やフィードバック、能力開発などを含む継続的な取り組みが重要だとしています※3。
また、パフォーマンス評価に関する研究では、評価結果そのものだけでなく、評価に至る手続きが公平だと感じられることも、被評価者の受け止め方に影響するとされています※4。
そのため、人事の観点では、次のような運用が納得感を支えるポイントになります。
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・評価の基準とプロセスを共有する:期首に目標や求められる行動を話し合い、業務の進捗について認識をそろえる。
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・本人の意見を聴く:評価結果を一方的に伝えるのではなく、本人の認識や考えを確認する。
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・結果と理由を具体的に伝える:どの行動や成果が評価につながったのかを、具体的な事実に基づいて説明する。
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・日頃からフィードバックする:期末の面談だけでなく、日常的に仕事の進め方や成果について対話する。
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・疑問や不安を相談できる機会を設ける:評価結果について確認したり、意見を伝えたりできる場を用意する。
こうしたプロセスを通じて、評価は単に「結果を伝える場」ではなく、今後の行動や成長について話し合う機会にもなります。
2つが重なると、負荷が相乗しやすい
秋の体調面の負荷と、下半期スタートの職場の変化は、どちらか一方だけが原因となるわけではありません。同じ時期に重なることで、心身への負荷が大きくなることがあります。
さらに、異動したばかりの人は、新しい部署でまだ人間関係や仕事の進め方に慣れておらず、困りごとや不安を周囲に相談しにくいことも指摘されています。
こうした時期は、本人が戸惑いや不安を抱えていても周囲に伝えられず、負荷を一人で抱え込んでしまうことがあります。
だからこそ組織側が、異動した人の気持ちや戸惑いを受け止め、意識的に声をかけたり、話を聞いたりする機会をつくることが重要です。関係性がまだ十分に築けていない時期だからこそ、周囲からの働きかけが、変化に気づき支えるきっかけになります。
重なる負荷を支える土台は「関係性」|チームビルディングの役割
チームビルディングは、季節や職場の変化そのものをなくすものではなく、相談しやすさや信頼といった土台に働きかける取り組みです。メンバーそれぞれが力を発揮しながら、目標に向かって協力できるチームをつくることを指します。
評価の運用の見直しは、人事制度の側で進めるべき取り組みであり、チームビルディングがそれに代わるものではありません。しかし、日頃から話せる関係があれば、納得しきれない気持ちや戸惑いも、抱え込まずに伝えやすくなります。
新体制は「混乱期」を通る
チームの発達段階を示す「タックマンモデル」では、チームは「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」の4段階を通るとされています※5。
このうち「混乱期」は、メンバー同士の考え方の違いから、意見の食い違いや不満が生まれやすい段階です。
下半期の新体制は、チームが新しくつくり直される時期でもあります。評価や役割への戸惑い、納得しきれない気持ちが表に出ることは、チームが育つ過程の一つと捉えることができます。
本音を出せる関係性がカギ
通過点を越えるには、お互いの背景や考え方を知り、本音を話せる関係があることが助けになります。日頃から話せる相手がいれば、重なった負荷を一人で抱え込みにくくなり、変化にも気づきやすくなります。
では、そのような関係づくりの場として、なぜ普段の会議とは異なる環境で行う方法があるのでしょうか。
会議室ではなくアウトドアで行う理由
関係性を築く場は、必ずしも会議室に限られません。自然の中で体を動かしながら対話することで、普段とは異なるコミュニケーションが生まれる可能性があります。
その背景の一つとして、幸せを科学的に分析する幸福学の第一人者である前野隆司教授が研究する「幸福学」の考え方があります。幸せにつながる要素を「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」という4つの因子から捉える考え方です。
スノーピークビジネスソリューションズでは、前野隆司教授の協力を得て、アウトドア会議の有効性を検証する共同研究を行いました。
屋内会議とアウトドア会議を比較するアンケートでは、主体性や関係性、創造性に関する項目について、次のような結果が示されています。
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主体性:主体的に参加できている:73%
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関係性:チームの一員だと感じる:77%
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創造性:発想が広がる:61%
これらは屋内会議とアウトドア会議を比較したアンケートによる結果であり、「屋外なら必ず効果が得られる」という意味ではありませんが、主体性・関係性・創造性に関する各項目で、アウトドア会議の回答割合が屋内会議を上回りました。
検証では「テント設営」「屋外での会議」「焚火トーク」というプログラムごとの違いも分析しています。まず一緒に体験し、その後に会議で意見を交わし、最後に焚火を囲んで対話するという流れです。
つまり、「ともに体験する→話す→振り返る」という段階を踏むことが、対話や関係性を深める一つの方法と考えられます。
詳しい内容は、(幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果)の記事で紹介しています。
秋は暑さが落ち着き、屋外で過ごしやすくなる季節です。日光を浴びながら適度に体を動かすなど、心身のコンディションを整える機会としても、屋外での活動を取り入れやすい時期といえます。
詳しいプログラムやチームビルディング研修の設計については、(効果が見えないチームビルディング研修)の記事でも紹介しています。
アウトドアで行うチームビルディング研修の進め方
チームビルディング研修では、単に交流の機会をつくるだけでなく、「ともに体験する→対話する→振り返る」という流れを意識すると、日常の関係性につなげやすくなります。
1. 目的と背景をそろえる
まず、「なぜ今、この研修を行うのか」を参加者と共有します。新体制での関係づくりや部署間のコミュニケーションなど、今回の背景を言葉にしておくことで、体験が単なる交流の機会になりにくくなります。
2. 協働体験で距離を縮める
テント設営など、メンバー同士で協力して進める活動を取り入れます。メンバー同士で考えながら進めることで、自然に声を掛け合い、相手の考え方や行動の特徴を知るきっかけになります。
3. 一対一から小グループへ、対話を広げる
共同作業で生まれた自然な会話を、一対一や小グループでの対話へ広げます。いきなり全員の前で話すのではなく、「相手の背景を知る→自分の考えを話す→ともに考える」と段階を踏むことで、対話のきっかけをつくりやすくなります。
4. 焚火で振り返り、職場でのフォローまで設計する
最後は焚火などを囲みながら、研修で感じたことや相手について気づいたことを振り返ります。研修後はアンケートや報告書で変化を確認し、1on1やチームミーティングなど、職場でのフォローにつなげます。
なお、参加を一律に強制するのではなく、目的や内容を説明したうえで参加しやすい環境を整えることも大切です。また、評価制度や業務量など、制度面に原因がある課題は、チームビルディング研修だけで解決できるものではありません。必要な制度・運用の見直しと並行して取り組むことが重要です。
事例紹介|若手社員が自然の中でつながりを深める
日立建機日本株式会社様 導入事例
日立建機日本株式会社様では、入社2・3年目、30歳以下の若手社員を対象に、2023年9月から10月にかけて全国4都市でアウトドア研修を実施しました。
参加者は4会場合わせて147名。研修がオンライン中心だったことから、同期と顔を合わせる機会が少なく、配属後は全国各地に分かれるため、同世代とのつながりをつくりにくいことが背景にありました。
そこで、仕事に必要な知識を学ぶだけでなく、日々の業務を離れてリフレッシュしながら、社員同士がコミュニケーションを深める機会としてアウトドア研修を実施しました。
研修では、タープ設営やモルック、焚火などの屋外プログラムを実施。焚火では「夢を語ろう」をテーマに、それぞれの夢を共有し、互いの人となりを知る時間を設けました。また、チームごとに火をおこす体験では、道具の使い方をあえて細かく教えず、メンバー同士で試行錯誤しながら火を起こすことで、自然な協力や一体感が生まれました。
研修後には、「職種や勤務地が違い、なかなか会えない人たちとも話ができ、新たな交流が生まれた」「同世代の仲間と夢を語り合い、自分の過去や未来をあらためて考える機会になった」といった声が寄せられました。
普段の業務では接点の少ないメンバーが、自然の中でともに体験し、対話する。そうした時間が、部署や勤務地を超えた横のつながりをつくるきっかけになった事例です。
具体的な研修内容や参加者の声については、(全国4カ所で開催! 若手社員が夢を語り、親睦を深める2日間 )で紹介しています。
よくある質問
Q. 10月病は病気ですか?
「10月病」は医学的な診断名ではなく、秋ごろに起こりやすい心身の不調を指す通称です。気分の落ち込みや意欲の低下、集中力の低下などが続く場合は、季節の変化だけが原因と決めつけず、必要に応じて医療機関や相談窓口などに相談しましょう。
Q. 季節の不調と職場の変化は、どう関係しますか?
寒暖差や日照時間の変化、夏の疲れなどの季節要因に、異動や組織変更、評価、新しい目標設定などの職場の変化が重なると、心身への負荷が大きくなることがあります。本人の変化を周囲が見守り、相談しやすい環境をつくることが大切です。
Q. アウトドアでチームビルディング研修を行う意味は?
アウトドアでの協働体験や対話を通じて、普段の業務だけでは知りにくい相手の考え方や人柄に触れ、関係性を築くきっかけをつくれます。ただし、研修だけで職場の課題を解決するものではなく、日頃のコミュニケーションや人事制度などと組み合わせて考えることが重要です。
まとめ
10月は、季節による心身の変化に加えて、異動や組織変更、評価、新しい目標設定など、職場の変化も重なりやすい時期です。
不調を個人の問題だけとして捉えるのではなく、日頃から相談しやすく、変化に気づける関係性をつくっておくことが、職場の土台になります。
その一つの方法が、普段とは異なる環境でともに体験し、対話するチームビルディングです。アウトドア研修では、協働体験や自然の中での対話を通じて、メンバー同士が互いを知るきっかけをつくります。
また、オフィス空間そのものを、集中して働く場所だけでなく、会話や交流が生まれる場所として捉え直す方法もあります。研修と日常の職場環境の両面から、関係性を育てる仕組みを考えることも大切です。
アウトドア研修やオフィス空間づくりについての資料請求・ご相談も承っていますので、お気軽にご相談ください。
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参考文献
※1 気象庁「9月の東日本太平洋側の記録的な多雨・日照不足と今後の見通しについて」
https://www.jma.go.jp/jma/press/2610/01a/tenko202610.html
※2 厚生労働省「こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/
※3 CIPD(Chartered Institute of Personnel and Development)「Effective performance management: Guide for HR professionals」2025年1月28日
※4 Pichler, S. (2012). The social context of performance appraisal and appraisal reactions: A meta-analysis. Human Resource Management, 51(5), 709–732.
※5 Tuckman, B. W. (1965). Developmental sequence in small groups. Psychological Bulletin, 63(6), 384–399.

