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幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果とは? Vol.1

幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果とは? Vol.1

アウトドア会議をビジネスに取り入れることで、どのような効果が得られるのか。  
 

スノーピークビジネスソリューションズは、幸せを科学的に分析する幸福学の第一人者である前野隆司教授の協力を得て、多くの企業様に活用いただいているアウトドア会議の有効性を検証する共同研究を行いました。  
 

前野教授にとっても驚くべきものだったという、今回の検証結果。あらためて見解をうかがうとともに、人間にとっての自然の存在意義やアウトドア会議の導入をすすめたい企業などについても、お話しいただきました。日本の企業と、そこで働くすべての人々の未来に役立つヒントがつまっています。 
 

前野教授に伺った話を5回に渡るシリーズでお届けします。

アウトドア会議と幸福学

幸せの4因子を満たす人は、幸せに働ける

---前野教授のご専門である幸福学についてお教えください。  

  

幸福学は心理学を基礎とし、人々を幸せにするものをあらゆる面から研究する学問です。どんな人が幸せなのか、どのような製品やサービス、教育、職場が幸福に寄与するかなど、さまざまな研究が行われています。  

  

幸福学の一連の研究を私が分析した結果、幸せに影響する要素は4つに分けられることがわかりました。それを「幸せの4つの因子」と呼んでいます。簡単に紹介すると  

  

主体性や自己肯定感につながる「やってみよう」因子、  

人との関係性や利他性につながる「ありがとう」因子、  

前向きな挑戦心や行動力につながる「なんとかなる」因子、  

自分らしく生きることにつながる「ありのままに」因子、の4つです。  

  

この4つを満たす人は、幸せに働くことができ、私生活も幸せであることがわかっています。さらに、自然とふれあう人は幸せだという研究結果もあります。人間は20万年生きてきたうちの19万年は大自然の中で生きてきたわけですから、その感覚が呼び覚まされて幸福を感じるのでしょう。 

幸福も社会課題も、自然がカギをにぎる

幸福も社会課題も、自然がカギをにぎる

---人間の幸福に自然が影響するとのことですが、人間にとって自然はどのような存在だと思われますか?  

  

自然の中にいると人間は、狩猟採集時代の本能が沸き立つのか、おおらかで自由でイノベーションを起こすマインドセットが持てるようになります。コンクリートに囲まれた都会より自然に囲まれた環境の方が、視野が広がり想像力がかき立てられると感じたことはありませんか?それは人間本来の感覚です。  

  

「自然が好き」というと、趣味の一つのように思われるかもしれませんが、私は全く次元が違うと思っています。この感覚は人類の本質に通じるもので、幸せの研究において、自然は人間の幸せの根源にある重要な要素なのです。  

  

  

---現代の社会課題に対して、幸福学と自然はどんな役割を果たしますか?  

 

日本の社会課題の一つは、失われた30年と言われるように日本全体が活力を失っていることです。実際、日本人は子どもも含めて自己肯定感が低く、高いモチベーションで働く人が少ない。自殺率も高いといった調査結果が出てきます。戦後、日本は安全で健康な国、高度な社会をつくってきたはずなのに、その国民が自信をなくしてしまっているのです。  

  

これらの課題の解決には、ウェルビーイング(幸福)が非常に重要です。〈やってみよう〉〈ありがとう〉〈なんとかなる〉〈ありのままに〉の4因子を満たした社会をつくり、自然の中で幸福度を高めることが重要なアプローチであることは明らかです。  

  

マクロ視点で見れば、人類は自然を破壊してコンクリートの中に密集して住むうちに、自分もほかの動物とともに生きる生物だということを忘れてしまった。それがさまざまな問題を地球規模で起こしていることはご承知の通りです。  

  

自然とふれあい、人間が本来の生きていた場所を思い出すこと。それは人間性を取り戻す試みであり、人類が自然を農地に変えて以来となる、1万年ぶりの大きな変革とも言えます。  

  

  

---自然が持つ力に注目した弊社では、ビジネスにも応用できないかとアウトドア会議の提案を始めました。  

  

スノーピークのミッションである「人間性の回復」は、先ほどお話ししたように、これからの人類にとって非常に大切な活動だと考えています。  

  

近代以降の都市への一極集中、自然からコンクリートへという時代は終わり、都市から地方へ、コンクリートから自然へという方向に世の中は動いています。時代を先取りしたアウトドア会議は、人々の働き方を幸せにし、人間性の回復につながる大きな一歩と言えます。  

  

私自身も、新潟県のスノーピーク本社で開催されたLIFE EXPO2021で、自然の中で働く魅力を実感しました。現地でキャンプをしながら、大自然を背景にリモートで講演をしたり、PCを持ちこんで仕事をしたり。合間に森の中を散策し、他の方の講演を聞くこともできました。リラックスしながらも非常に仕事がはかどり、まさに未来の幸せな働き方を体験させていただきましたね。   

 

 >>幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果とは? Vol.2に続く

 

>>アウトドア研修について詳しくはこちら

前野隆司(まえの・たかし)氏
Profile

前野隆司(まえの・たかし)氏

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科教授 
慶應義塾大学
ウェルビーイングリサーチセンター長兼務

1984年東京工業大学卒業、1986年同大学院修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークリー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現職。日本機械学会賞(論文) (1999年)、 日本ロボット学会論文賞 (2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞 (2007年)などを受賞。専門は、 システムデザイン・マネジメント学、 幸福学、 イノベーション教育など。

前野隆司(まえの・たかし)氏
Profile 前野隆司(まえの・たかし)氏

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科教授 
慶應義塾大学
ウェルビーイングリサーチセンター長兼務

1984年東京工業大学卒業、1986年同大学院修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークリー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現職。日本機械学会賞(論文) (1999年)、 日本ロボット学会論文賞 (2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞 (2007年)などを受賞。専門は、 システムデザイン・マネジメント学、 幸福学、 イノベーション教育など。

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