スノーピークビジネスソリューションズが提唱するアウトドアを取り入れた新しいワークスタイルを体感できるコワーキングスペースCamping Office osoto。そのパートナー拠点第一号であり、ワーケーションによる地方創生のモデルケースともなっているのがCamping Office osoto Hitoyoshiです。
全国から利用者や視察に訪れる人が絶えない魅力はどこにあるのでしょうか。osoto Hitoyoshiを運営する一般社団法人ドットリバーの祇園下さんと西さんに話を伺いました。
スノーピークビジネスソリューションズが提唱するアウトドアを取り入れた新しいワークスタイルを体感できるコワーキングスペースCamping Office osoto。そのパートナー拠点第一号であり、ワーケーションによる地方創生のモデルケースともなっているのがCamping Office osoto Hitoyoshiです。
全国から利用者や視察に訪れる人が絶えない魅力はどこにあるのでしょうか。osoto Hitoyoshiを運営する一般社団法人ドットリバーの祇園下さんと西さんに話を伺いました。
osoto Hitoyoshiがあるのは熊本県の最南部・人吉市。球磨川沿いに点在する温泉や川下り、あゆ釣りなどを楽しめる自然豊かな場所です。
2019年春、人吉市内にある旧国民宿舎をリニューアルした総合交流館「くまりば」内に、コワーキングスペースCamping Office osoto Hitoyoshiをオープンしました。osoto Hitoyoshiを通して関係人口創出に取り組み、人吉球磨とつながりをもってくれる外部の人を増やすのはもちろん、まちづくりに関わる地域の人たちとのつながりもつくっていきたいと思っています。
osoto Hitoyoshiの目の前には一級河川・球磨川が流れています。キラキラした川面を眺め、鳥のさえずりを聞き、自然を感じながら新しいワークスタイルを体感できます。建物の外には芝生エリアがあり、テント設営や焚火などができます。「くまりば」には、宿泊施設やシェアオフィス、会議室、レンタルキッチン、温泉施設(※)などもあり、滞在型ワーケーションの受け入れも可能です。
※「くまりば」の温泉施設は、豪雨災害の影響で2023年9月時点では休館しており、2024年の復旧を目指しています。
そうなんです。オープンしてちょうど一年が経ち、ワーケーション利用者を増やすための施策に奔走していた時期でした。豪雨で球磨川が氾濫し、osoto Hitoyoshiも膝上まで浸水しました。コロナ禍でもあり、外部からのボランティアを受け入れることもままならず、復旧には時間がかかりました。
市民の皆さんの復旧が優先となるため、公営施設である「くまりば」は二の次となっていました。焦る気持ちを抑え、キャンプ用品を活用して地域の復旧をサポートしながら、コワーキングを早々に再開したいとの思いで、自分たちで作業をスタートさせました。
復興にはosoto Hitoyoshiの活動で生まれた人とのつながりに大いに助けられました。遠方から手を差し伸べてくださった方もいます。災害で失ったものもありますが、人とのつながりの大切さを肌で感じる機会となりました。関係人口創出というミッションが自分たちの中でも腹落ちし、またキャンプ用品がBCP対策に有効であることもあらためて感じました。
osoto Hitoyoshiは半年ほどで営業を再開することができましたが、地元の旅館や飲食店などは、コロナもあって観光客が戻っていない状態でした。私たちが利用者を増やすことで、地域の人たちを少しでも助けることができるのではないかと思い、ワーケーション誘致にも熱が入りました。
一つはosotoならではの空間の魅力があると思います。スノーピークのテントがあり、キャンプ用のテーブルやイス、焚火台が置かれた場所で働くのは楽しいですよね。写真を撮っていく方も多いですし、口コミで来てくださる方も増えています。整然とオフィス家具が並んでいる空間では、ここまで利用者は伸びなかったかもしれません。
もう一つはホスピタリティでしょうか。osoto Hitoyoshiでは私たちスタッフがコンシェルジュのように快適な空間づくりをしています。利用者さんが過ごしやすいよう、テーブルやイスのレイアウトを調整したり、BGMの音量を変えたり、さりげなくお声がけをするなどして、マニュアル通りではない細やかな気配りを心がけています。初めて来た方のお名前を覚えるということも意識しています。自分がどこかに行ったときに覚えてもらえていると嬉しいですよね。
そして、私たちが一番大切にしているのは、「つながり」をつくることです。osoto Hitoyoshiに来てくれた方を地域の人やモノコトとつないでいく。人吉球磨は観光地なので、おもてなしのプロがたくさんいらっしゃいます。私たちが最初につながるきっかけをつくってしまえば、そこから新たな関係性やつながりが広がっていくんです。人同士がつながると、リピーターになって何度もこの地域を訪れてもらえるようになる。災害時にも感じたことですが、人と人のつながりは地域にとってとても価値があります。
建て付けとしては、人吉市が管理する総合交流館「くまりば」の中にosoto Hitoyoshiがあり、ドットリバーが人吉市から運営委託を請け負っています。市役所本庁舎とは別に「くまりば」の中にも行政オフィスがあり、定例会や意見交換をするなど、普段からお互いに連携を取り合っています。枠組みづくりなど行政にしかできない部分は行政で、利用者へのサービスや地域のコミュニティづくりなどドットリバーが得意とする部分は私たちが担い、官民連携の相乗効果が生まれています。
「くまりば」には宿泊施設や会議室、レンタルキッチン、温浴施設などもありますので、それらをosoto Hitoyoshiでのコワーキングとうまく組み合わせて案内していければ、滞在型のワーケーションが増え、地域にさらなる賑わいや活気を創出できます。そのためにも、行政としっかり連携を図りながら、「くまりば」を盛り上げ、地域を盛り上げていきたいと思っています。
ドットリバーは「つなぐこと」を事業としています。osoto Hitoyoshiでのワーケーションを通じて、人と人、人と地域、地域と都会、行政と民間など、点と点をつなぐかすがいの役割を担い、よりよい未来を創っていくことをこれからも大切にしていきます。また、ドットリバーでは大人が学び、仲間をつくる機会を提供する「ひとよしくま熱中小学校」を運営しています。この地域で何か新しい取り組みをしようとするときに、いろいろな分野にアンテナを張り、地域のために動くことができる人材を掘り起こし、仲間づくりをしていきたいですね。
そして、今後はosoto Hitoyoshiを通してスノーピークが提唱する人間らしい働き方、ウェルビーイングな生き方をもっと伝えていきたいです。ここにいると、球磨川のキラキラした川面や鳥のさえずりといった自然に癒されたり、何気ない人との交流やコーヒーの香りに安らぎを感じたり、いつもとは違う場所で五感が研ぎ澄まされるのを感じられると思います。それと同時に、ウェルビーイングは日常の中にもあるということに気づくことができます。忙しない日常の中にも、自分をやわらげてくれるもの、心地いいと感じる時間はありますよね。忘れてしまいがちだけど大事なもの。人間らしく働くことの価値。そんなことを感じてもらえる場所になればと思っています。
リモートワークが普及し、ワーケーション誘致に力を入れる自治体は増えています。地域にワーケーションによる賑わいを生み、関係人口を創出するには、コワーキングスペースというハコを用意するだけではなく、つながりを生む「仕組み」や「人」がカギとなります。Camping Office osotoは、そんな仕組みや人を地域と共に創り出し、地域のハブとなる拠点を全国につくっていきたいと考えています。