スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
近年、企業を取り巻く環境が大きく変化し、それに伴う企業側の対応が強く、早く求められるようになってきました。
特に環境の変化が著しい製造業界では環境課題(環境負荷削減、脱炭素社会へのシフト、サーキュラーエコノミー等)への対応、デジタル化の加速による製造品自体を変化させること、そして働く人々の価値観の変化──。
これらの要素は、単なる『時代の流れ』にとどまらず、企業の在り方そのものを根本から問い直すきっかけとなっていると思います。
今こそ私たちは、オフィスという働く場が持つ意味を再考し、『変わり続ける場』を通じて、社員一人ひとりが主体的に行動を起こし、企業が変革していける力を育む必要があります。
しかし、私たちは本当にその土壌をつくれているでしょうか?オフィス環境を一度設計し、家具を導入し終わった時点で「完成」としてしまい、現場での運用や社員の関わり方が置き去りになってはいないでしょうか?この問いを深めるとき、オフィスは「完成された空間」ではなく、社員一人ひとりの主体性と関係性、そして創造性を引き出す「変わり続ける場」であるべきだと気づかされます。
この問いに挑戦しているのが、トヨタ自動車株式会社様の取り組みです。
たとえば、車両品質部では、社員の声をもとに、従来のオフィスレイアウトをゼロベースで見直し、キャンピングオフィスを導入されました。
単にデザインを刷新するのではなく、「この空間でどう働きたいのか」「どんなコミュニケーションが生まれるべきか」を社員自身が考え、意見を出し合うプロセスを大切にされたのです。
その結果、若手からベテランまでが一体感を持ち、主体性を発揮できる場が生まれました。キャンプ用品を活用した空間では、会議の目的や雰囲気に合わせてレイアウトを自在に変えられるため、議論の深まりや関係性の構築が自然と促進されています。
また、元町工場でも、自然を感じられるスペースを設けることで、忙しい業務の合間にも心をリセットし、リフレッシュできる時間を意識的に作り出されています。こうした「余白」が、社員の感性を刺激し、新たな発想や挑戦意欲を生み出す土壌となっています。
これらの事例は、ただのオフィスデザインの話ではありません。「空間をどう使うか」「自分たちでどう変えていくか」を社員が考え、主体的に動く文化が、組織全体に浸透し始めていることを示している今まさに起こっている企業の変化です。
キャンピングオフィスは、社員が「今この会議に必要な空間は何か」を考え、主体的に環境を変えられるツールです。椅子だけ並べてアイデアを発表する場、テーブルを出してグループでディスカッションする場、テーブルを組み合わせて模造紙にみんなでまとめる場——状況に応じて自由に形を変えられる空間は、まさに「変化する組織」の象徴のようなオフィスでの働き方をデザインする家具です。
重要なのは、ただ家具を導入することではありません。社員自身が空間を動かし、環境をデザインしながら、自然と「変化を前提に考える力」を身につけていくことです。このプロセスを通じて、社員は「会議の内容」だけでなく「会議の設え」や「場の目的」にも意識が向き、主体性を発揮する機会が増えていきます。これが、企業にとっての「人材開発」にも直結していきます。
一度設計された空間を「完成形」としてしまうのではなく、変化させ続けられる場を持つこと。これこそが、変化の激しい社会を生き抜く企業にとって必要な資質ではないかと思います。
採用の現場でも、変化は起きています。若い世代は、ただ綺麗なオフィスや最新の設備に惹かれるのではなく、「自分の意見を言えるか」「成長できる環境があるか」「新しい挑戦ができるか」「会社は(若者の価値観にも合うような)柔軟な変化ができているか」を重視しています。固定化されたオフィスよりも、変化を楽しみ、主体的に仲間と関わることができる場に価値を感じているのです。
トヨタ様のような実践事例は、これからの時代に求められる組織の在り方を象徴しています。
単なるハードとしてのオフィスを超え、社員が自らの手で「働く場」を創り出す経験を積み重ねることが、結果として組織の活性化にも、次世代人材の採用・育成にもつながります。
私たちは、これからの企業が持つべき問いを提案したいと思います。
「そのオフィスは、社員が主体的に変化を起こせる場になっていますか?」
「運用まで含めた設計ができていますか?」
「一度完成したら終わり、という感覚に陥っていませんか?」
変化し続ける社会において、現状維持は衰退を意味します。だからこそ、オフィスもまた「変わり続けられるもの」であるべきだと思います。
私たちスノーピークビジネスソリューションズは、キャンピングオフィスを通じて、企業が持つ変革の力を引き出し、変化を楽しむ組織づくりに貢献していきたいと考えています。