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リスキリングの助成金を知り、人と組織の可能性を広げる。

リスキリングの助成金を知り、人と組織の可能性を広げる。

リスキリングの研修費用を抑える方法の一つに、国の助成金があります。

企業向けの代表的な制度が「人材開発支援助成金」です。

なかでも、新規事業やDXなどに伴う学びを支援する「事業展開等リスキリング支援コース」では、要件を満たした場合、中小企業は訓練経費の75%、賃金助成として1人1時間当たり1,000円の支援を受けられます。

ただし、対象となる研修や申請手続きには決まりがあり、原則として研修開始前に計画届を提出する必要があります。
また、このコースは令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。(※1)

この記事では、リスキリングに活用できる助成金の種類、対象となる研修、申請の流れと注意点を解説します。

リスキリングとリカレント教育の違いについては、「リスキリングとリカレント教育の違いとは?企業研修への活用方法」もご覧ください。

リスキリングで使える支援は?助成金・補助金・給付金の違い

リスキリングに活用できる公的支援には、「助成金」「補助金」「給付金」などがあります。それぞれ対象や支給の仕組みが異なります。

助成金
企業が従業員に職務に関連する研修を実施した場合などに、費用や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。
人材開発支援助成金では、所定の要件を満たし、計画届の提出や支給申請などの手続きを行う必要があります。計画届を提出しただけでは支給は確定せず、申請後に審査があります。

補助金
国や自治体の政策目的に沿った取り組みを支援する制度です。公募内容や審査基準に基づいて採択され、所定の条件を満たすことで補助を受けられます。

給付金
個人を対象とする制度もあり、教育訓練給付制度では、一定の要件を満たした人が対象講座の受講費用の一部について給付を受けられます。

企業が従業員の研修費用を抑えたい場合は、人材開発支援助成金が主な選択肢となります。自治体独自の制度もあるため、利用できる支援を確認しておきましょう。
制度の内容や要件は変更されることがあるため、最新の公式情報を確認することが大切です。 

人材開発支援助成金|企業が使える主なコースと助成率

人材開発支援助成金には複数のコースがあり、研修の目的や内容に応じて選択します。
 

  • 人材育成支援コース:
    職務に関連する知識・技能を習得するための訓練などが対象です。助成率や賃金助成額は、訓練の種類や受講者の雇用区分などによって異なります。
     

  • 事業展開等リスキリング支援コース:
    新規事業の立ち上げ、DX・GX(脱炭素化)など業務の変革領域に必要な訓練が対象です。
     

  • 人への投資促進コース・教育訓練休暇等付与コース:
    高度デジタル人材の育成、定額制(サブスクリプション型)研修、教育訓練休暇制度の導入などを支援します。


主にリスキリングの研修で検討したい、事業展開等リスキリング支援コースの主な助成内容は次のとおりです。(※1)
 

  • ・ 中小企業:経費助成75%、賃金助成1人1時間当たり1,000円

  • ・ 大企業:経費助成60%、賃金助成1人1時間当たり500円

  • ・ 対象となる訓練:原則として10時間以上のOFF-JT(職場を離れて受ける研修)。eラーニングなどは賃金助成の対象外です。

  • ・ 設備投資加算:訓練に関連する機器やシステムを導入した中小企業には、要件を満たす場合、導入費用の50%が加算されます。 


※上記は基本的な助成内容です。実際の支給には各種要件があり、対象経費や訓練方法などによって取り扱いが異なります。

なお、事業展開等リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。利用を検討する場合は、早めに要件や申請期限を確認しましょう。

助成の対象

助成の対象となるかどうかは、研修のテーマだけでなく、受講者の具体的な職務に直結する知識・技能を習得できる内容かどうかが重要です。(※1)

対象になりやすい研修の例

  • ・ 営業担当者が、生成AIを使った提案書の構成案作成や文章の修正方法を学ぶ

  • ・ CO₂排出量の算定担当者が、自社データの収集方法や計算手順を学ぶ


対象外になりやすい研修の例

  • ・ 職務に間接的に必要な知識や、職種を問わず必要となる内容(接遇・マナー講習など)

  • ・ 趣味・教養を目的とした研修

  • ・ 講演会、見学、ビジネス交流会

  • ・ 法令で実施が義務づけられた講習


令和8年8月3日以降のDX・GX関連の訓練では、次のように、特定の職務への具体的な適用を伴わず、概念の理解にとどまる内容も対象外となるようです。(※2)
 

  • ・ 生成AIを利用するための汎用的なプロンプトの作り方 

  • ・ DXの概念やデジタル技術の概要を学ぶ訓練 

  • ・ 脱炭素の基本理念や国際情勢を学ぶ訓練 


同じテーマの研修でも、受講者の職務との関係によって判断が異なります。

例えば、CO₂排出量の算定研修は、算定業務の担当者には対象となり得ますが、人事や営業の担当者が受講する場合は対象外となるようです。

研修内容・受講者・担当業務の関係を整理し、判断に迷う場合は管轄の労働局に確認しましょう。

申請の流れと、つまずきやすい注意点

申請にあたっては、雇用保険の適用事業所であることに加え、職業能力開発推進者の選任や、事業内職業能力開発計画の策定・周知などが必要です。(※1)
準備が整ったら、次の流れで手続きを進めます。

① 計画届を提出する
原則として、訓練開始日の6か月前から1か月前までに、管轄の労働局へ計画届を提出します。

② 訓練を実施する
計画に沿って訓練を実施します。賃金助成を受ける場合は所定の要件を満たす必要があり、訓練経費は支給申請までに全額を自社で負担します。 

③ 支給申請をする
訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行います。申請後に審査があり、助成金は後払いです。 

申請時に注意したい3つのポイント

  • 事前の届出を忘れない
    計画届の提出期限を過ぎると、原則として対象になりません。計画を変更する場合も、変更内容に応じた手続きが必要です。 
     

  • 「実質無料」などの勧誘に注意する
    研修会社からの返金や協力金などによって実質的な負担が減る場合、経費助成の対象外となることがあります。不正受給と判断された場合は、返還や事業主名の公表、一定期間の不支給などの措置が取られる可能性があります。
     

  • 申請代行を依頼する場合は資格を確認する
    報酬を得て申請書類の作成や提出を代行する業務には、社会保険労務士法などに基づく制限があります。依頼先の資格や対応範囲を確認しましょう。
     

令和8年5月14日の制度改正により、一定の条件に該当する場合は「受講料等の価格設定に関する疎明書」の提出も必要です。申請時には最新の様式や案内を確認してください。(※1)

助成金を「使う」で終わらせない|人と組織の可能性を広げる視点

助成金は、リスキリングを進めるための手段の一つです。

研修費用を抑えるだけでなく、学んだ知識・技能を現場で活用できる環境を整えることも、成果につなげるうえで重要です。

学びを成果につなげる際には、学ぶことへの戸惑い、学んだ後に活用する機会がないこと、学びを試して共有できる関係性がないことなども壁になり得ます。
厚生労働省のガイドラインでも、労働者同士の学び合いや成果の共有が重要とされています。(※3)

そこで、次の2つを分けて設計することが大切です。
 

  • ・ 助成の対象となる学び: 担当職務に直結した研修を、計画届に沿って実施する

  • ・ 学びを現場で活用するための環境づくり: 学んだことを試し、共有できる場をつくる


関係性づくりを目的とする活動そのものは、助成の対象にならない場合がありますが、助成対象となる研修と、学びを職場で活用するための取り組みを分けて設計しましょう。

関連する考え方については、「『知る』から『動ける』へ。人材育成の成果を変える『体験型研修』」や、「アンラーニングとは?意識改革は『学びほぐし』の場づくりから」の各記事もご覧ください。

部門を超えた関係性が、行動を生んだ

部門を超えた関係性が、行動を生んだ

ヤマハ発動機株式会社様|導入事例

ヤマハ発動機のCX事業部(約300名)は5つの部門に分かれており、部門間のつながりの弱さが課題でした。オフィス改装によって働きやすさは向上した一方、話しやすさには変化が見られませんでした。

そこで、各グループの代表25名が参加する1泊2日のアウトドア研修「Crossing Camp」を実施しました。研修で生まれたアイデアを1か月間で実行した結果、5チームの行動化率は100%となり、100名以上が参加する社内企画へと広がりました。

アンケートでは、「話すきっかけ」が3.4から3.7、「話しやすさ」が3.7から3.9、「問題解決のしやすさ」が3.5から3.9へ改善しました。学びを試し、共有できる関係性が、行動につながったと示唆されました。

詳しくは「アウトドア研修で関係性とアイデアが動き出す ヤマハ発動機CX事業部が実践した“共創の起点づくり”」をご覧ください。
※本事例は関係性づくりの取り組みの成功事例を紹介するものであり、助成金の対象となることを示すものではありません

よくある質問

Q. リスキリングの助成金は、どんな研修でも使えますか?

すべての研修が対象になるわけではありません。受講者の担当職務に関連する知識・技能を習得する訓練が対象となり、研修内容や受講者の職務などによって判断されます。具体的な対象要件は、管轄の労働局に確認しましょう。(※1)

Q. 助成金はいつ支給されますか?

訓練実施後に支給申請を行い、審査を経て支給が決定します。訓練経費は支給申請までに全額を自社で負担する必要があるため、資金計画に余裕を持たせると良いでしょう。申請期限は原則として訓練終了日の翌日から2か月以内となっています。(※1)

Q. リスキリングの助成金はいつまで使えますか?

事業展開等リスキリング支援コースと人への投資促進コースは、令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置となっています。(※1)ただし、利用には申請期限や各種要件もあります。令和9年度以降の制度についても、最新の公表情報を確認してください。

まとめ|リスキリングの助成金を、人と組織の可能性につなげるために

まとめ|リスキリングの助成金を、人と組織の可能性につなげるために

企業の研修費用を抑える方法として、人材開発支援助成金があり、活用する際は、対象となる研修や助成率、事前の計画届、支給申請の期限を確認することが大切です。

また、研修を実施するだけでなく、学んだことを現場で試し、共有できる環境を整えることも重要です。

学びを実践につなげる仕組みをつくり、人と組織の可能性を広げていきましょう。

学びを現場で活用できる形に

学びを現場で活用できる形に

スノーピークビジネスソリューションズでは、自然の中での対話や協働体験を取り入れたアウトドア研修を提供しています。

学んだことを職場で試し、共有できる関係性づくりまで、目的や対象者に合わせたプログラムをご提案します。


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参考文献

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