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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.42】
「やりたい」で動く人材は、任される場で育つ

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.42】
「やりたい」で動く人材は、任される場で育つ

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

「言われたことはきちんとやってくれる。でも、次の一手が出てこない」
 

部下を持つ立場の人たちから、そんな声を聞くことがあります。

 

もちろん、指示された仕事を正確にこなせるのは大事な力です。

けれど、そこから“創造性”や“主体性”が自然に湧いてくるかというと、必ずしもそうではないと思います。

 

人が「やりたい」で動き始める瞬間には、ある共通点があると感じています。
それは、任されることです。

 

任されて、考えて、やってみて、うまくいったり、失敗したりする。

そして、その過程ごと認められる。

 

そうした経験の積み重ねの中で、人は少しずつ仕事を「自分のもの」として引き受けられるようになっていくのだと思います。

 

私たちが提供しているアウトドア研修でも、同じ構造が起きています。

自然の中での協働体験は、マニュアル通りにいかないことが当たり前です。

 

天候も状況も変わる。

チームの関係性も揺れる。

 

そんな中で「どうする?」と自然に問いかけられるような環境に置かれると、人は受け身ではいられなくなります。

だからこそ、内発的動機が引き出されやすいのだと思います。

 

そして、これを日常の仕事の中で活かしていくうえで、私が大切だと感じているのは、上司が部下に仕事を渡すときに、その仕事の“枠”をどう渡すかという点です。

仕事の「枠」を渡す、という感覚

ここで言う“枠”は、仕事の粒度のことです。

たとえば「企画をまとめて」という依頼一つをとっても、枠の大きさにはさまざまな違いがあります。

 

・「来月のイベント企画を、目的と予算から考えて提案して」

   → 枠が大きい

・「過去のイベント事例を3つ調べて、比較表を作って」

   → 枠が小さい

 

枠が大きいほど、部下が自分で考え、実行する領域は広がります。

経験やスキルが豊富なメンバーほど、この余白がある方が「やりたい」を起点に動きやすくなると思います。

 

一方で、新人や経験が浅いメンバーには、枠を小さくし、まずは「できた」という成功体験を積み上げてもらう方が良い場合も多いです。

 

ただ、ここが難しいところで、枠のサイズを見誤ると逆効果になることがあります。

 

・枠が大きすぎると

 「どこから手をつけていいかわからない」

 「怖くて動けない」

 

・枠が小さすぎると

 「ただの作業になってしまう」

 「やらされ仕事に感じる」

 「工夫する余地がない」

 

つまり、任せれば任せるほど良いわけでもなく、細かく指示すれば安心というわけでもありません。

大切なのは、部下をよく観察し、その人が一番「やりがい」を感じながら成果を出せる枠を見極めることだと思います。

 

言い換えるなら、上司の役割は「仕事を渡す人」ではなく、枠を設計する人なのかもしれません。

“ちょっと背伸び”の枠が、成長を起こす

“ちょっと背伸び”の枠が、成長を起こす

私が現場でよく意識しているのは、部下にとって「成功確率が70%くらい」の枠です。
やればできる。でも、簡単ではない。

だから考える。工夫する。助けを求める。

その積み重ねが、結果として実力を一段引き上げてくれます。

 

アウトドア研修でよく起きるのも、この「ちょっと背伸び」の連続です。

火起こし一つとっても、知識はあっても手が動かない。

道具は揃っていても、風向きひとつでやるべきことが変わる。

そこで誰かが試して、失敗して、やり方を変えて、チームで前に進んでいく。

そのプロセスが、本人にとってもチームにとっても「自分たちでつくった経験」になるのだと思います。

 

この“自分たちでつくった感覚”こそが、主体性の芽なのだと思います。


そして、主体性が育つと「やりたい」が言葉になるようになります。

さらに、その「やりたい」が仕事の価値につながったとき、人は迷わず前に進めるようになります。

ここが、組織が面白くなっていく分岐点なのではないでしょうか。

失敗を資産に変える文化が、任せることを可能にする

もう一つ欠かせないのが、失敗をシェアできる心理的安全性です。
 

任せるということは、失敗の可能性も一緒に渡すということです。

だからこそ、「失敗しても大丈夫」と言葉で伝えるだけではなく、失敗をどう扱うのかが、文化として定まっている必要があると思います。

 

当社では、全体朝礼の中に「OMG(Oh My God!)」というコーナーがあります。

 

前日に起きた失敗やヒヤリハットを、できるだけ速やかに全体で共有する時間です。

ここで大切にしているのは、誰かを責めることではなく、出来事を会社の“資産”に変えることです。

 

本音を言えば、ミスはできれば隠したいものです。

関係部署以外にまで共有することに、心理的なためらいを感じるのも自然だと思います。

 

けれど、過去に起きたことはもう変えられません。

そうであるならば、次に活かすために共有した方が、はるかに価値がある。

その価値観を経営側が明確に示し、OMGのコーナーのような具体的なアクションの場を持つことで、「シェアするのが当たり前」という文化が、少しずつ育っていくのだと思います。

 

失敗が資産になる文化があると、上司は任せやすくなります。
部下は、安心して挑戦できるようになります。


この「任せる—挑戦する—学習する」という循環が回り始めたとき、組織の成長速度は、確実に一段上がると感じています。

「任せる」は、未来を信じる行為

「任せる」は、未来を信じる行為

少しだけ感覚的な話になりますが、「任せる」という行為は、未来を信じることではないかと思います。


今の完成度だけを見れば、上司が自分でやった方が早いことは、実際たくさんあります。

それでもあえて枠を設計して渡し、やらせてみて、失敗も含めて学びに変えていく。

その繰り返しが、結果として組織の力を底上げしていくのだと思います。

 

早く行くなら一人で、遠くまで行くならみんなで──

そんな感覚に近いのかもしれません。

 

「やりたい」で動く人材も、最初から全員が“やりたい人”だったわけではないと思います。
 

任される場があり、挑戦があり、失敗が許され、そして認められる経験があったからこそ、少しずつ「やりたい」という気持ちが育っていったのではないでしょうか。

 

もし今日、部下に仕事を渡す場面があるとしたら、少しだけ立ち止まって、考えてみてもらえるといいかもしれません。

 

「この人にとって、今ちょうどいい“枠”はどれくらいだろう?」


そんな問いを持つ時間が、任せる力を磨き、主体性が育つ土壌をつくっていくのだと思います。

 

そして、任されて育った人は、いずれ誰かに任せられる人になります
そうやって組織は、次の世代へと力をつないでいく。

 

私は、その連鎖をつくることが、リーダーの大事な仕事の一つなのではないかと思っています。

 

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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