お問い合わせ・資料
6分で読了

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.65】
「主体性がない」のではなく、「主体性を発揮できていない」のかもしれない

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.65】
「主体性がない」のではなく、「主体性を発揮できていない」のかもしれない

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読み手のみなさんにとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

見えている課題の奥にあるもの

 

「メンバーに主体性がないんです」

 

企業の研修や組織開発をご相談いただくなかで、マネージャーの方からよく耳にする言葉です。

 

先日実施したアウトドア研修でも、ある管理職の方が同じ悩みを話されていました。

「もっと自分から動いてほしい」
「指示待ちではなく、自分で考えてほしい」

 

そんな想いを抱えながらも、日々の業務に追われ、なかなか状況が変わらないことに悩まれていました。

 

しかし、その研修の中で印象深い出来事がありました。

 

夜、焚火を囲みながら対話をしていたとき、そのマネージャーがメンバーに向けて、自分がどんな想いで仕事に向き合っているのか、チームに何を期待しているのかを率直に語られました。

 

すると、メンバーたちはマネージャーがそんな想いを持っていたことを初めて知り、自ら話し始めました

 

「こんなことを自分はやっていきたいと思っていました」

「もっとチームに貢献したいと思っています」

「ただ、どう動けばいいのか分からなかったんです」

 

そのやりとりを通して、あらためて感じたことは私たちが見ている課題は、本当にその人自身の問題なのかどうか。

 

組織の現場では、表面的な現象だけを見て判断してしまうことが少なくないと思います。

課題は一段深く見ることで姿を変える

課題は一段深く見ることで姿を変える

組織開発では、目の前の問題だけでなく、その背後にある構造を見ることが重要だと言われています(参考文献【1】)。

 

今回のケースを整理すると、表面的には

「メンバーに主体性が見られない」

という“現象”が課題でした。

 

ここから一段深く見てみると、

 

・マネージャーが想いやメンバーへの期待を十分に伝えられていない

・お互いの考えを共有する対話の機会が少ない

・日常業務が優先され、関係性を育む時間が取れていない

 

という“構造”が見えてきます。

さらにその奥には、

 

・プレイングマネージャー化による過重負荷

・マネジメント育成の不足

・対話よりも業務遂行を優先する組織文化

 

といった組織的な“根本要因”が存在している可能性があります。

 

つまり、

「主体性がない」のではなく、「主体性が発揮される環境になっていない」

という見方もできそうです。

人は想いによって動き始める

組織心理学者のエイミー・エドモンドソンは、成果を生み出すチームには「心理的安全性」が存在すると述べています(参考文献【2】)。

 

心理的安全性とは、失敗や異なる意見を出しても否定されないという安心感です。

しかし実際には、安心感だけでは十分ではない気がしています。

 

私は多くの組織を見てきて、もう一つ大切な要素があるように感じています。

 

それは、

「なぜこの仕事をしているのか」という想いの共有です。

 

日常の会議では進捗や課題、数字の話が中心になります。

もちろんそれらは重要なことです。

 

ただ、人が本当に心を動かされるのは、「何をやるか」よりも「なぜやるのか」が分かった時だと思います。

 

焚火を囲んだあの時にも、マネージャーが語ったのは業務指示ではありませんでした。

チームへ期待していることや願い、仕事への想いでした。

 

だからこそ、メンバーも自分の気持ちを言葉にできたんだと思います。

自然の中だから生まれる対話がある

自然の中だから生まれる対話がある

では、なぜそのような対話が生まれたのか。

この背景には、自然という環境の力と、焚火トークに至るまでの対話を設計した研修コンテンツの力があると感じています。

 

普段のオフィスでは、目の前にパソコンがあり、メールやチャットの通知が届きます。

会議室では肩書や役職も意識されます。

一方で自然の中では、それらから一度距離を置くことができます。

アウトドア研修では、焚火を囲んだり、食事を一緒に摂ったり、自然の中で過ごしたりする時間があります。

 

そこでは役職よりも人と人として向き合う関係が生まれやすくなります。

また、自然環境がストレスを軽減し、創造性や対人関係に良い影響を与えることは環境心理学の研究でも示されています(参考文献【3】)。

 

この環境を使いながら、さらにチームビルディングを促進するコンテンツ、ワークショップを取り入れることで、再現性が高まります。

 

自然のなかで、「自由に話してください」では進まない話も、第三者の私たちがトークトピックを提供し、それぞれの背景や想いを促すワークとファシリテーションによって対話が進み、言葉や態度でオフィスでは感じられない”繋がり方“を体験することができます。

 

このサービスの目的は、

普段の組織では生まれにくい対話や気づきを生み出す環境を設計すること

にあります。

 

人を変えるのではなく、人が本来持っている力を発揮しやすい状態をつくる。

それが自然を活用した組織開発の大きな価値だと思っています。

能力ではなく、状態を見る

組織の課題に対処しようとするとき、私たちはつい個人の能力に原因を見ようとしてしまいます。

 

「主体性がない」
「発信力が弱い」
「当事者意識が足りない」

 

目の前の現象がそう見えているので、そう思うのは当然です。

もちろん能力開発が必要な場面もあります。

 

ただ実際には、

能力がないのではなく、能力を発揮できる状態にない

というケースも少なくないと思います。

 

組織開発の世界では、「人を変える前に環境を見る」という考え方があります。

私自身も、多くの組織を見てきてその重要性を感じています。

 

もしチームメンバーに対して「できていない」と感じることがあったら、一度立ち止まって考えてみてもらえたらと思います。

 

その人は本当にできないのか。

それとも、力を発揮できる関係性や環境がまだ整っていないのか。

 

その問いから始まる対話が、組織を変える第一歩になるように思います。

参考文献・引用情報

【1】Peter M. Senge『The Fifth Discipline』(1990) システム思考による問題の構造把握に関する理論
【2】Amy C. Edmondson『The Fearless Organization』(2018) 心理的安全性とチームパフォーマンスに関する研究
【3】Kaplan, R. & Kaplan, S.『The Experience of Nature』(1989) 自然環境が認知機能やストレス軽減に与える影響
【4】Deci, E.L. & Ryan, R.M.『Self-Determination Theory』(2000) 主体性や内発的動機づけに関する理論
【5】河合太介『対話する組織』(日本能率協会マネジメントセンター) 日本企業における対話型組織づくりに関する知見

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

この記事をシェア
お役立ち資料 お問い合わせ