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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.41】
エンパワーメントされた個人と組織を育てる
エンゲージメントの5段階モデルという“見取り図”

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.41】
エンパワーメントされた個人と組織を育てる
エンゲージメントの5段階モデルという“見取り図”

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

「もっと社員に主体的に動いてほしい」

「組織の熱量を高めたい」


経営者や人事責任者の方々と対話をする中で、こうした切実な願いを耳にする機会は年々増え続けています。

人的資本経営が叫ばれる今、エンゲージメントの向上は多くの企業にとって最重要課題の一つです。


しかし一方で、現場からは「施策が空回りしている」という課題も聞こえてきます。

 

「心理的安全性という言葉だけが独り歩きしている」

「パーパスを掲げたが、現場の行動が変わらない」

 

なぜ、良かれと思って打った施策が組織に定着しないのか。

今回は、私たちスノーピークビジネスソリューションズが組織づくりの羅針盤としている「エンゲージメントの5段階モデル」を用いて、個人と組織が真にエンパワーメントされた状態をどう創り上げるか、その設計図をお伝えしたいと思います。

 

この5段階モデルは、これまで世の中で語られてきたウェルビーイング、仕事設計、成長、関係性、ミッションといった考え方を、現場で使える構造として再整理したものです。

エンゲージメントは「積み上がる構造」を持っている

私たちが提唱するモデルは、エンゲージメントを以下の5つの階層で捉えています。

 

5.MISSION(意味・社会的意義): ビジョンへの共感、働く目的

4.RELATION(関係性・心理的安全性): 信頼関係、本音で話せる場

3.GROWTH(成長実感・自己効力感): スキルの獲得、貢献の実感

2.WORK DESIGN(仕事の設計・裁量): 適切な業務量、権限移譲、ツールの整備

1.BASE(心身の土台): 健康、睡眠、安心できる物理的・精神的環境

 

このモデルの特徴は、これらが並列の要素ではなく、「下の階層が土台となり、1から順番に上に積み上がっていく」というピラミッド型の構造になっており、それぞれの階層に対して個人や組織がエンゲージされていくと結果的にエンパワーメントされた状態になるというものです。

 

まずは、「①BASE(土台)が崩れていると、②以降のすべての施策が無効化されてしまう」という厳しい状態になってしまうケースを挙げてみたいと思います。

 

連日の長時間労働で睡眠不足が続き、疲労困憊している(①BASEが崩壊している)社員がいたとします。

 

この社員に対して、良かれと思って「君に任せるよ」と大きな裁量(②WORK DESIGN)を与えたらどうなるでしょうか?

おそらく彼は「これ以上、重荷を背負わせないでくれ」と絶望し、それは「放置」と受け取られると思います。

その状態で「将来のために学ぼう(③GROWTH)」と促しても、ただの業務圧迫にしかなりません。

 

算数で例えるなら、BASEは「掛け算」の最初の数字です。

ここが「ゼロ」や「マイナス」であれば、その後にどんなに素晴らしい制度や研修を掛け合わせても、答えはゼロにしかなりません。

 

「飛び級」が招く組織の機能不全

「飛び級」が招く組織の機能不全

さらに、このモデルの特徴から分かるのは、順序を飛ばして上位の階層だけを強化しようとすることの危険性です。

土台(1~3)が盤石でない状態で、上位(4や5)だけを求めると、組織は思わぬ機能不全に陥ります。

 

 

【ケースA:仲良しクラブ化】

例えば、①~③(心身の健康、仕事の規律、個人の実力)が整っていない状態で、④RELATION(関係性・心理的安全性)だけを強化したらどうなるか。

 

仕事の基準があいまいで、個々人が成果を出せる状態にないのに、人間関係だけが良い。これは心理的安全性ではなく、単なる「ぬるま湯」です。

言いにくいような適切なフィードバックが消え、心地よいだけの「仲良しクラブ」になってしまい、組織としての力は失われてしまいます。

 

【ケースB:絵に描いた餅】

また、足元の①~③がガタガタな状態で、経営者が高らかに⑤MISSION(社会的意義)を叫んだ場合はどうなるか。

 

現場は日々の業務に追われ、疲弊し、自分の成長も感じられない。

そんな中で「社会のために」と言われても、それは現実とかけ離れた「絵に描いた餅」に見えてしまいます。

「社長はいいことを言っているけれど、自分たちの現実とは関係ない」 立派なミッションであればあるほど、現場との乖離(かいり)が際立ち、かえってシラけムードを生んでしまいます。

 

エンゲージメントにおいて、「飛び級」はできません。

 健全な身体があり、仕事の型ができ、自信がついた上に、良質な関係性があり、その先に初めてミッションが自分事として宿ります。

時代とともに拡張されてきた「人と仕事」の捉え方

この5段階モデルを考えてみると、組織における「人」の捉え方が、時代とともにどう拡張されてきたかが分かってきます。

 

かつては、「仕事をどう効率的に管理するか(②WORK DESIGN)」が中心でした。

その後、個人の能力開発としての「成長(③GROWTH)」が重視され、近年では「関係性(④RELATION)」や「パーパス(⑤MISSION)」が問われる時代になっています。

 

これは、人間を“管理対象”として見る時代から、人が本来持っている力を引き出す時代へと移行してきた証だと思います。

 

しかし、どれだけ上位概念がトレンドになろうとも、私たちが生身の人間である以上、その根底にある「心身の健康(①BASE)」の重要性が変わることはありません。

 

むしろ、変化が激しくストレスフルな現代だからこそ、原点であるBASEを意図的に守り、そこから丁寧にバランス良く積み上げられるかどうかが、組織の強さを作ります。

意図的に「構造」を作ることで、組織は強くなる

意図的に「構造」を作ることで、組織は強くなる

エンゲージメントにおいて難しいのは、この5つの要素、特に「BASE」や「RELATION」が、日々の環境や出来事によって常に揺れ動く(ゆらぐ)ものだという点です。

 

繁忙期が続けばBASEはきしみますし、些細なすれ違いでRELATIONにヒビが入ることもあります。

だからこそ、私たちは感覚だけに頼らず、定期的にサーベイを行い、「今、この組織の積み上げはどこで止まっているのか」を客観的に把握することが重要だと思っています。

 

目的は、数値を良く見せることではありません。

「今はBASEが弱っているから、まずは業務量を調整して休ませよう」

「個々の力(GROWTH)はついてきたから、次はチームの連携(RELATION)を高めよう」

 

このように、今の組織の状態を見極め、土台から順に手を打っていく。

この構造的なアプローチこそが、遠回りのようでいて、実は最も確実にエンパワーメントされた組織を作る近道です。

 

人間らしく、イキイキと働く人を増やすために

私たちが目指す「エンパワーメントされた状態」とは、何か特殊な能力を発揮することではありません。

人間が本来持っている力が、阻害されずに真っ直ぐ発揮されている状態です

 

心身が健やかで(BASE)、 自分の仕事の手綱を自分で握り(WORK DESIGN)、 日々の業務に確かな成長を感じ(GROWTH)、 安心して背中を預けられる仲間がいて(RELATION)、 自分の仕事が社会の役に立っていると信じられる(MISSION)。

 

この1から5までの階段がしっかりと積み上がった時、人は誰に指示されずとも、自らの意志で動く主体的な状態となり、メンバーと一体となって躍動感を持ちながら目標に邁進していくパフォーマンスの高い状態になります。

 

この状態こそが、私たちが理想とする「人間らしく、イキイキと働いている姿」なのだと考えています。

 

組織づくりは、建物を建てることに似ています。

どんなに立派な屋根(ミッション)を架けたくても、基礎(ベース)がぐらついていたり、柱(ワークデザインや成長)が抜けていては、その家は建ちません。

 

私たちはこれからも、短期的な成果を追って屋根ばかりを見るのではなく、この5段階モデルを“見取り図”として、足元の基礎から堅実に積み上げ、個人と組織の「人間らしい変化」に伴走し続けていきたいと考えています。

 

みなさんの組織は今、どの階層の積み上げを必要としているでしょうか?

 

まずはその現在地を知ることから、本当のエンゲージメントは始まっていきます。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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