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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.62】
“会社をつくる側”の経験が、人を育てる
―主体性と推進力を育む組織づくりのヒント―

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.62】
“会社をつくる側”の経験が、人を育てる
―主体性と推進力を育む組織づくりのヒント―

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

主体性は、“主体的に取り組める経験”から育つ

近年、多くの企業で「主体性のある人材を育てたい」という声を耳にします。


一方で現場では、上司から与えられた業務を正確にこなし、業務量も多く、それに追われ続けている状態が続いている人たちも多いように感じます。

 

もちろん、決められた業務を丁寧に遂行する力は重要です。


ただ、変化の激しい時代においては、「何をやるべきかが最初から決まっていない状況」で、自ら考え、周囲を巻き込み、前に進める力がますます求められていると思います。

 

私たちスノーピークビジネスソリューションズでは、若手社員や新卒社員が、社内の課題を自ら見つけ、改善プロジェクトに挑戦する機会をつくっています。

 

例えば、

・事業部内の運用フローの改善

・情報共有方法の見直し

・社内清掃の仕組み化

・会議運営の改善

・備品管理ルールの再設計

など、一見すると小さなテーマも含まれます。

 

しかし、こうしたテーマこそ、実は非常に学びが大きいと思っています。

なぜなら、日常業務の中にある“違和感”を発見し、その背景構造を考える視点が養われるからです。
 

これは組織開発の分野でも重要視される考え方であり、表面的な問題だけではなく、その奥にある構造や関係性を見る力が、組織変革の起点になると言われています(参考文献【1】)。

課題解決のプロセスそのものが、人を育てる

課題解決のプロセスそのものが、人を育てる

この社内改善プロジェクトでは、「答え」があるわけではありません。

 

そのため、

・何が本質的な問題なのか

・誰を巻き込むべきか

・どう合意形成するか

・どの順番で進めるべきか

・仕組みとして定着させるにはどうするか

などを、自分たちで試行錯誤しながら考えていきます。

 

もちろん、上司や周囲も伴走します。

行き詰まった時には方向性を示したり、壁打ちをしたりしながら支援に入ります。

 

ただ、重要なのは「最初から答えを与えすぎない」ことだと思います。

このプロジェクトでは、自分で問題を見つけ、考え、推進していく経験そのものに意味があります。

だからこそ、できる限り「自分でやった」という成功体験が大切です。

 

心理学者のエドガー・シャインは、組織における支援のあり方として「Helping(援助)」の重要性を提唱しています(参考文献【2】)。

単純に正解を教えるのではなく、相手が自ら考え、前に進めるように支援することが、長期的な成長につながるという考え方です。

 

実際、こうした経験を積んだ社員は、単なる“業務遂行者”ではなく、「課題発見者」や「推進役」へと変化していきます。

このプロセスが、社内課題からお客様の課題へ対象を変えることで、顧客支援にもつながっていきます。

 

お客様の課題を整理し、関係者を巻き込み、提案し、合意形成を行い、実装まで推進する。
 

つまり、社内課題を解決する経験そのものが、社会課題を解決する力につながっていきます

「この会社をつくっているのは自分だ」という感覚

こうした取り組みを続けていると、単に業務改善が進むだけではなく、組織にある変化が生まれてきます。

 

それは、社員一人ひとりが、「この会社をつくっているのは自分なんだ」という感覚を持ち始めることです。

 

自分が考えた仕組みが社内で使われる。
自分が提案した運用が定着する。
周囲から「助かった」と言われる。

 

この経験は、単なる成功体験以上に、大きな意味を持つと思います。

 

組織開発の領域では、「心理的オーナーシップ(Psychological Ownership)」という概念があります(参考文献【3】)。
これは、“自分ごと”として組織を捉える感覚のことで、主体性やエンゲージメントに大きな影響を与えると言われています。

 

逆に、すべてが上から与えられる環境では、どうしても「やらされ感」が生まれやすくなります。

もちろん管理も必要だと思います。


ただ、これからの時代は、管理だけではなく、「自分たちで会社を良くしていく感覚」をどう育てるかが、企業の競争力そのものになっていくとも考えています。

“場”が変わると、対話も変わる

“場”が変わると、対話も変わる

もう一つ、私たちが大切にしているのが「場づくり」です。

 

こうしたプロジェクトの議論では、一般的な会議室だけではなく、オフィス内に設置された「キャンピングオフィス」を活用することも多くあります。

 

キャンピングオフィスでは、意見やアイデアを発言しやすく、自然と前向きな話し合いになりやすいと感じています。

 

これは単なる雰囲気の問題ではなく、環境心理学や創造性研究の観点でも示唆されています(参考文献【4】)。

人は空間から大きな影響を受けており、リラックス感や安心感のある環境では、対話量や発想の多様性が高まりやすいと言われています。

 

組織の風土は、制度だけでは変わらないと思います。
人と人との関係性が変わり、対話が変わり、行動が変わることで、初めて文化として定着していくと思います。

環境を変え、関係性を変え、人を育てる

AIやテクノロジーが進化する時代だからこそ、人に求められる力も変わってきていると思います。

 

知識を持っていること以上に、

・課題を見つける力

・周囲を巻き込む力

・関係性を築く力

・正解のない中で前に進む力

が重要になっていっていると思います。

 

それらの能力は、座学だけではなかなか身につきません。

 

だからこそ私たちは、「環境を変え、対話を変え、体験を通じて人を育てる」というアプローチを大切にしています。

キャンピングオフィスやアウトドア研修は、単なる空間デザインやイベントではなく、組織の関係性や主体性を育てるための“土壌づくり”だと思っています。

 

企業の成長力とは、単に売上や仕組みだけではなく、「自ら考え、周囲と協働しながら未来をつくろうとする人」がどれだけいるか。

 

その積み重ねが、これからの組織の大きな差になっていくのだと思います。

参考文献・引用

【1】 Peter M. Senge『The Fifth Discipline』Doubleday, 1990(学習する組織/システム思考に関する理論)

【2】 Edgar H. Schein『Helping: How to Offer, Give, and Receive Help』Berrett-Koehler Publishers, 2009(援助関係と組織支援の理論)

【3】Pierce, J. L., Kostova, T., & Dirks, K. T. “Toward a Theory of Psychological Ownership in Organizations”, Academy of Management Review, 2001(心理的オーナーシップ理論)

【4】Nancy M. Wells & Gary W. Evans, “Nearby Nature: A Buffer of Life Stress among Rural Children”, Environment and Behavior, 2003および環境心理学・バイオフィリックデザイン関連研究(自然環境が心理的安全性や創造性に与える影響)

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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