Conovaの開発は、
新しく拠点を増やしたときの原体験が元になっています。
心から欲しいと思ったものをつくる。
自らがユーザーとなって開発した
Conovaのストーリーを
当時の思い出とともに語ります。
はじめての支社
創業16年目の2015年は、まさに変化のはじまりの年だった。
これまで築き上げてきたチームと、整えたサービスを手に、いよいよ次のステージへ飛び出していく。
そのためにも、新しい市場を開拓できる拠点が私は欲しかった。
しかし、ひとつ屋根の下で共に働き、苦楽を共にしてきた仲間でさえも、
オフィスが離れればどうなるか?
コミュニケーションの機会は確実に減り、次第に関係性も遠のいていくのだろう。
そう思うと、何とも言えない寂しさが胸に広がった。
築き上げてきた関係性は、ここまでなのか。
人数や規模が大きくなれば、仕方のないことなのか。
仮にそんな日が訪れるとしても、まだやれることはあるはずだ。
離れたオフィスとオフィスをなんとしてもつなぎたい。
そんな想いに駆られて私はアイデアを練り始めた。
どうやったら
オフィスがつなげるのか
オンライン会議ツールを応用する方法はすぐに思いついた。
「常時接続」すれば、いつだって会話もできる。
ただ困ったことに、画面サイズを大きくしただけでは臨場感がないどころか、
デジタルの無機質さが際立ってしまうのだ。
一体、どうやったらモニター越しの世界に人やつながりを感じられるのだろうか。
そもそも、デジタルとアナログのコミュニケーションにおいて、
“何かが違う”と感じるのはなぜなのか。
一つは「等身大」だ。
投影される相手が大きすぎたり、小さすぎたりすると、
リアルな世界とは別世界のように感じてしまう。
もう一つは「立体感」だ。
2Dの映像ではリアルは感じられない。
私たちは3Dの世界に生きているからだ。
カメラの位置を工夫すれば、等身大の映像は投影できる。
問題は、どうやって立体感を出すか。
そこで目をつけたのが、スクリーンを90度の角度に設置し、
超単焦点のプロジェクターを2台使って投影する方法だ。
これなら疑似的に立体感を創り出すことができる。
私は試行錯誤を重ね、開発を急いだ。
つながったオフィス
いよいよ、本社と支社をつなぐ日がやってきた。
幾度となくテストを繰り返し、モニター越しに見えた臨場感のあるオフィスに、手ごたえも感じている。
これならいけるはずだ。しかし、社員のみんなはどう感じるだろうか。
期待と不安を胸にシステムを起動すると、遠く離れた拠点のオフィスが目の前に広がり、
モニターの向こうに良く知っている顔ぶれが見えた瞬間、心がじんわりと温かくなるのを感じた。
みんなは不思議なくらい笑顔で、
なぜか一生懸命に手を振っていた。
一緒のオフィスにいるときと
何ら変わりないこのやり取りに、
まるで同じ空間にいるような錯覚さえ感じる。
もしかしたら、これはとてつもない
可能性を秘めたツールかもしれない。
仕組みの改善点はまだまだある。
しかしこの瞬間、物理的な距離を超えて、
間違いなくチームは一つになった。
離れたオフィスの
「気配」を感じる
よりリアルなコミュニケーションを実現するために仕組みを改善し、
専用台に滑車をつけて移動できるタイプも開発できた。
Conovaは、離れたオフィスの気配を感じることができるコミュニケーションツール。
用事がある時だけつなぐオンライン会議とは、全く異なる性質を持つ製品だ。
もし、物理的な距離と共に、心の距離が離れ、人とのつながりが切れてしまったら…
その関係修復にかかる時間とコストは計り知れず、
気がついたときには手遅れになってしまう可能性だってある。
そんな組織課題にConovaが寄り添えたら、これほど幸せなことはないだろう。