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幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果とは? Vol.5

幸福学の前野教授も驚いたアウトドア会議の効果とは? Vol.5

アウトドア会議をビジネスに取り入れることで、どのような効果が得られるのか。

 

スノーピークビジネスソリューションズは、幸せを科学的に分析する幸福学の第一人者である前野隆司教授の協力を得て、多くの企業様に活用いただいているアウトドア会議の有効性を検証する共同研究を行いました。

 

前野教授にとっても驚くべきものだったという、今回の検証結果。あらためて見解をうかがうとともに、人間にとっての自然の存在意義やアウトドア会議の導入をすすめたい企業などについても、お話しいただきました。日本の企業と、そこで働くすべての人々の未来に役立つヒントがつまっています。ぜひ、ご覧ください。

イノベーション人材の育成、理念の共有に活用を

---共同研究の検証結果について総評をお聞かせください。結果を踏まえ、アウトドア会議はどのような企業におすすめでしょうか。

 

今回の検証で、アウトドア会議は主体性・関係性・創造性の向上において、大きな効果を持つことが明らかになりました。会議の直後だけではなく、実施二週間後に同じ項目でアンケートを取りましたが、いずれも屋内会議より良い結果が出ています。当初考えていた以上の結果が得られたのは、アウトドア会議を含めたプログラム全体の内容と流れがよく練られているからこそ、と言えるでしょう。

 

社員の主体性、関係性、創造性を高めたいというニーズは、いずれの企業も持っています。そのためアウトドア会議はどの企業にとっても有効だと思いますが、特にイノベーションが必要な企業にはおすすめです。

 

残念ながら、最近はイノベーションを起こす日本企業が見受けられません。自分で考えて行動できない人ばかりが集まっても、変革は起きないでしょう。日本を元気にするためにも、主体性、創造性の高いイノベーション人材の育成に取り組まなければなりません。

 

実際、創造性の発揮には、堅苦しい会議よりも発散型、リラックスしたスタイルの会議の方が有効です。日本はきまじめな会社が多いのですが、コロナによって会社は仕事をする場所ではなく、人と人が集まる場所だと考え方を転換している会社もあるので、おおいに期待したいところですね。

---クリエイティブな業務以外にも、アウトドア会議は有効でしょうか?

 

創造性とは無縁と思われがちなルーチンワークも、いかに工夫しようかと考えることで、クリエイティブな仕事に変わります。例えば、トヨタのカイゼンは生産性向上策ですが、幸福学の研究者から見ると幸福度向上策です。もっと効率化するにはどうすれば?と考えて改善提案することで、幸せを生む創造的な仕事に変わるからです。

 

また、ドラッカーの『マネジメント』の中に石切り職人の話がありますが、石を切る仕事は、視野を広く持てば教会の基礎をつくる大事な仕事にほかなりません。すべての仕事は単純作業であると同時に、世の役に立つ仕事の一部でもあるはず。視野を広くすることで幸福度は上がるのです。

 

視野を広く持つためには、開放的なアウトドア会議でビジョンを共有するのもいいでしょうね。経営者なら壮大な理念を社員に浸透させることができますし、社員なら自分は何のために働いているのかを考えて、世の中の役に立っていると再認識することができます。

未来の働き方

未来の働き方

自然とともに幸せに働く未来へ

---これからの働き方について、どのような展望を抱いていますか。

 

働くことに関しては、働き方改革や人的資本経営、エンゲージメントなどいろいろな表現がありますが、私は「幸せに働く」が一番、直感的にわかっていいと思うんですよ。「幸せに働いていますか?」と問いを投げかけることで、実は幸せに働けるようになります。とても簡単な方法なので、皆さんもぜひ自分に問うてみてください。

 

幸せな社員は創造性が3倍、生産性は3割高いといわれています。GAFAなどを見るとわかりますが、社員が幸せな働き方を追求し、あれだけの巨大企業になったんですから。日本も、これからはそういったことを皆さんに意識していただきたいですね。

 

日本の場合、儒教道徳の中で歯を食いしばって頑張るという労働観が強かったためか、いまだに幸せに働くことへの抵抗感が残っています。しかし、これを打破する方策の一つが幸福学であり、一つが自然を感じながら働き、人間性を回復することだと思っています。

---弊社への提言がありましたらお願いします。

 

アウトドア会議の効果の高さが立証できたことは、幸せと自然の関係性を考えるきっかけとなり、幸福学の研究者の立場からも嬉しく感じています。今後も、人々の主体性や関係性、創造性を高め、幸福度の向上に貢献できるアウトドア会議を提案していただきたいですね。

 

同時に、今回の検証結果は多様な分野へ発展する可能性を秘めています。現場の作業者を対象にしたり、生産性向上や集中力アップを目的としたり、各国の国民性に合わせたグローバル仕様にしたりと、いろいろなアウトドア会議が考えられるのではないでしょうか。スノーピークビジネスソリューションズさんには現状にとどまることなく、さらなる改革・発展を期待しています。

 

>>アウトドア研修について詳しくはこちら

前野隆司(まえの・たかし)氏
Profile

前野隆司(まえの・たかし)氏

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科教授 
慶應義塾大学
ウェルビーイングリサーチセンター長兼務

1984年東京工業大学卒業、1986年同大学院修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークリー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現職。日本機械学会賞(論文) (1999年)、 日本ロボット学会論文賞 (2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞 (2007年)などを受賞。専門は、 システムデザイン・マネジメント学、 幸福学、 イノベーション教育など。

前野隆司(まえの・たかし)氏
Profile 前野隆司(まえの・たかし)氏

慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科教授 
慶應義塾大学
ウェルビーイングリサーチセンター長兼務

1984年東京工業大学卒業、1986年同大学院修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークリー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現職。日本機械学会賞(論文) (1999年)、 日本ロボット学会論文賞 (2003年)、日本バーチャルリアリティー学会論文賞 (2007年)などを受賞。専門は、 システムデザイン・マネジメント学、 幸福学、 イノベーション教育など。

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