---さっそくですが、ニッポー様が取り組んでいる組織活性化の概要について教えてください。
日吉社長(以下、日吉):弊社は大正9年に創業し、広島を拠点に機械の製造・開発、輸送・梱包までをトータルで担う会社です。2023年春に私が代表取締役社長に就任したタイミングで、SPBSさんの支援のもと組織活性化プロジェクトをスタートしました。
目指しているのは、弊社のミッション・ビジョン・バリューが社員に浸透し、事業所や世代の垣根を超えて一枚岩になれる組織をつくること。会社のこれからを担う課長や部長といった中間管理職層をコアメンバーとし、さらにコアメンバーを支える若手のサポートメンバーを加えた計21名を組織活性化のプロジェクトメンバーに選任し、取り組んでもらっています。
---プロジェクトスタート前に何か課題を感じていたのでしょうか?
日吉:一言でいうと「仕事をするための組織」になっていたということです。会社としては当たり前の姿かもしれませんが、ただ仕事をするためではなく、豊かなコミュニケーションがあって、ニッポーにいることで人間として成長でき、会社のことを誇りに思える。そんな組織にしていきたいという想いがありました。また、良好な人間関係を構築し、社員に気づきを促すというSPBSさんが支援する組織活性化プロジェクトを推進することが、社員の成長の機会にもなるだろうと考えました。
坪内:ご相談いただいた当初から、ニッポーさんの社内に目に見えて課題があったわけではありません。コアメンバーの皆さんは仕事で顔を合わせる機会も多いことから、メンバーの皆さんの関係性に課題は感じなかったですし、何より日吉社長の社員に対する愛情が深いと感じていました。その上に、“ありたい姿”に向かって組織を一つにしていくのだという日吉社長の強い想いがありました。
---日吉社長が目指す“ありたい姿”とは、どのようなものですか?
日吉:弊社は、「モノ運び、モノづくりを通じて世界中の人々の生活を支える」というミッション、「ニッポーで働くことで物理的にも人間的にも豊かになれるような会社を目指す」というビジョン、そして「挑戦(チャレンジ)、団結(チームワーク)、安全・安心」の3つをバリューとして掲げています。
私たちが日々行っている業務、例えば釘を打ったり、ボルトを締めたり、製品を梱包したりすることは、大げさではなく世界経済を支える一端となっています。自分が関わったものが世界のどこかで誰かを支え、不具合があれば困る人がいる。それだけ重要な仕事を担っているという広い視野と誇りをもって目の前の仕事に取り組んでほしい。高い意識をもつプロ集団でありたいというのが、ミッションに込めた“ありたい姿”です。
ビジョンに込めたのは、人を何より大切にする会社でありたいという想いです。異なるバックグラウンドをもつ人たちが集まって同じ目標に向かって協力してもらうためには、どれだけ会社が人を大切にしているかが重要です。愛のある環境下で心を込めて人を育て、働くことで物理的にも人間としても豊かに成長できる。そんな姿を目指しています。
坪内:日吉社長が「誰一人として作業者ではない」と、おっしゃっていたことが印象に残っています。日々の仕事が変化のないルーティーンに見えてしまうことは誰しもあると思います。そんなときに、会社のミッション・ビジョン・バリューがしっかりと根づいていれば、自分のやっていることの意義や、“ありたい姿”に向かって進んでいるという充足感を感じながら仕事に取り組むことができます。ニッポー様は100年の歴史をもつ伝統ある会社ですが、人を大切にしてより良く変わっていこうとする姿勢があり、それが次の100年につながっていくのだろうと思います。