はじめまして。スノーピークビジネスソリューションズの吉冨です。
このコラムでは「CAMPING OFFICEアウトドア研修」のファシリテーターとして関わる中で、実際に見てきた人と組織の変化に
ついてお伝えしていきます。
自然の中に身を置くことで、人はどんな風に変わるのか。なぜアウトドアが、組織づくりや人材育成に効くのか。
そんな問いへのヒントを、現場からの目線で、少しずつひも解いていけたらと思います。
はじめまして。スノーピークビジネスソリューションズの吉冨です。
このコラムでは「CAMPING OFFICEアウトドア研修」のファシリテーターとして関わる中で、実際に見てきた人と組織の変化に
ついてお伝えしていきます。
自然の中に身を置くことで、人はどんな風に変わるのか。なぜアウトドアが、組織づくりや人材育成に効くのか。
そんな問いへのヒントを、現場からの目線で、少しずつひも解いていけたらと思います。
オフィスを離れ、広い空の下でテントを張る。
慣れない手つきで協力し合いながら、声を掛け合う大人たちの表情は、次第にやわらぎ、笑顔がこぼれはじめます。芝生に寝転び、
風を感じながら交わす会話には、肩書きも立場も関係ありません。
お互いが、「役割の自分」ではなく、「等身大の自分」で居ることができると、
自然と、仕事や組織の話にも触れやすくなっていくのです。
等身大で自分のこれまでのストーリーを語り、誰かの話に心を動かされるうちに、空気が変わり、関係が変わっていく。
そんな、アウトドアという場がもつ力には、毎回のように驚かされるのです。
「CAMPING OFFICE アウトドア研修(以下、CAMPING OFFICE)」は、一般的な企業研修とはまったく異なる体験です。
それは、私たちの原点が「キャンプ」にあるから。
キャンプでは、何もない自然の中で、自分たちの手で居場所をつくり上げていきます。
限られた時間と資源の中で、誰とどう過ごすかを自ら考え、動き、
時には天候などの予測できない状況にもチームで対応していきます。
このプロセスは「与えられた課題をこなす」のではなく、状況を受け入れ、自ら意味づけし、仲間とともに創っていくこと。
そこには、ビジネスにおいて求められる思考力や、他者との信頼関係を築くためのヒントが凝縮されています。
正解や最適解を求められる日常から離れ、答えのない世界に身を置くこと。
その体験が、心理的安全性を生み、自由な発言や協働の姿勢、そして創造的なアイデアを引き出すきっかけになるのです。
参加者の性格や関係性、組織の風土、そして当日の天候まで──
CAMPING OFFICEでは、すべての要素がその日限りの唯一無二の条件です。だからこそ、事前のヒアリングでは、事務局の方と
何度も対話を重ね、参加者の変化を一緒に想像しながら、プログラムを丁寧に設計していきます。
当日は、参加者一人ひとりの表情や言葉、ふとした仕草に目を配りながら、必要に応じてプログラムやスケジュールを柔軟に調整します。
現場に立って改めて感じるのは──
「人の中にある力は、ほんの小さなきっかけで動き出す」ということ。
私たちが提供するのは、そのきっかけにすぎません。
自然の中という非日常の環境や体験、そして対話の時間を通して、参加者の中にある素直さや好奇心が少しずつ目覚めて、動き出します。やがてその変化が周囲に連鎖し、気づけば、参加者同士の主体性と関係性によって、「場」が自走しはじめるのです。
ある日のCAMPING OFFICE。参加者は、事業部長を含む管理職の方々。集合時、漂っていたのはどこか重たい空気でした。2月の屋外ということもあり、防寒のための厚手の上着に身を包んだその姿は、表情や感情を読み取りにくく、私自身、無意識に距離を感じてしまっていたのかもしれません。
そんな空気が変わり始めたのは、設営体験からでした。
各チームにいくつかの制限が課され、協力してテントを張るというミッションの中で、声が飛び交い、笑いが生まれ、厚手の上着を翻しながら走る姿も。
そこには、「誰かの上司」ではなく、「チームの一人」として課題に向き合う姿があり、その姿がお互いに影響し合うことで、一気に場の空気が軽くなったのです。
その後、タープの下で始まった対話プログラムでは、もうファシリテーターが導かなくても、参加者同士の「もっと知りたい」という気持ちが場を進めてくれました。
それぞれの経験から語られる価値観や想いが、言葉となって行き交い、連鎖するように、また誰かが話し始めます。誰かと向き合い、言葉を交わすことで、自分自身を再発見する──そんな瞬間がいくつも生まれていきます。
夜、予定にはなかった「対談」を焚火の場で実施したのですが、印象的だったのは、いくつも話題が変わる中でも、何度も立ち戻るように繰り返された「やってみよう」という言葉。
普段、強い責任感でチームを支えている彼らも、きっとその内側では不安や孤独感を抱えながら、業務に追われているのだと思います。業務から離れ、心の内を話す中で、自分自身を鼓舞するように口にする「やってみよう」には、「自分たちが変わっていこう」という前向きな決意と、「お互いの挑戦を受け入れたい」という共感、 そして「このメンバーで支え合いたい」という願いが込められていました。
こうしたお互いの背中を押す空気感が参加者の間に流れ、翌日のワークショップでは、それぞれのアクションやチャレンジを、聞き手も自分事として受け入れることができ、実際に共通の課題に向き合うメンバーが連携する動きへと繋がっていきました。
CAMPING OFFICEでは、参加者の価値観や背景に焦点を当てた対話を生み出すような仕掛けを取り入れ、半日〜1泊2日を共に過ごします。
「20年同じ会社で働き続けられた理由は?」「働く上であなたが大切にしていることは?」
普段はなかなか口にしないけれど、心の奥底にある問いや想いが自然と語られ、場に重なっていきます。
「互いのストーリーに触れること」
それこそが相互理解のきっかけとなり、関係性を変え、組織にとっての本当の“質の変化”を生み出す──私たちはそう信じています。
関係の質を高めたい――きっとその大切さも、難しさも、感じていらっしゃるのではないかと思います。ビジネスという目的のもとに集まっている仲間ですから、日々の忙しさや時間に追われる中で、つながりを深める余白は、つい後回しになってしまうものです。
だからこそ、スキルや知識を学ぶインプット型研修だけでなく、あえて立ち止まり、時間をかけて関係性の土台を耕す機会をつくってほしいのです。
誰もが持っている「ストーリー」やそこから生まれた「その人らしさ」。
そこには正解も最適解もないからこそ、話しやすく、違いを受け入れやすい。
きっと“答えがないこと”が、関係性をつなぐカギになるのです。
「感じとり、つながること」を通じて関係性の質に働きかけるこの時間が、あなたの組織にとって、本当の意味での風通しのよさや、しなやかさにつながるはずです。
まるで一緒にキャンプを計画するように、人間らしい温度のある企画を、共につくっていけることを楽しみにしています。
>>アウトドア研修プランはサービス概要ページからご覧ください