「部門間の連携がうまくいかない」
「離職率が下がらない」
「従業員サーベイ(組織状態を把握するための調査)、次に何をすればいいか分からない」
こうした悩みから「組織開発」にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
組織開発が扱うテーマは、フレームワークから研修、オフィス環境まで多岐にわたります。
この記事では組織開発の定義や進め方、ポイントなどをまとめています。各テーマについて詳しく知りたい方は、詳細記事へのリンクを本文中に設置していますので、気になる箇所から読み進めてみてください。
組織開発で、変わらない組織を動かす。
組織開発とは?
組織開発と人材開発の違い
「組織開発(Organization Development)」とは、部署間の連携やチーム内の対話など、社員同士の間に生まれる関係性や組織文化に働きかけ、組織全体がより良く機能する状態をつくっていく取り組みです。
「人材開発(Human Resource Development)」は、社員一人ひとりのスキルや能力を高め、個人の成長を通じて組織全体の力を高めていく取り組みです。
組織開発と人材開発の違いは、主に働きかける対象と重視するものにあります。
人材開発が個人を対象に、スキルや知識、能力、キャリアの向上を目指すのに対し、組織開発は組織や人と人との関係性を対象に、対話や組織文化、チームのあり方に働きかけます。
また、人材開発では研修・OJT・コーチングなどを通じて個人の成長を支援する一方、組織開発ではサーベイやフィードバック、対話の場づくりなどを通じて、組織全体がより良く機能する状態を目指します。
両者は対立するものではなく、個人の成長と組織の関係性の両面から取り組むことが重要です。
「個々は優秀なのにチーム成果が伸びない」、「研修をしても日常業務に戻ると、元の状態に戻ってしまう」。
こうした傾向が強い場合は、人材開発に加えて、組織開発の視点も取り入れてみる価値があります。
個人のスキルや意識を高めても、部署間で連携が取れず、意見を率直に言い合えない関係性のままでは、組織全体としての力は発揮されにくいためです。
なぜ今、人材開発に加え、組織開発が注目されるのか
近年、組織開発が注目される背景には、次のような変化があります。
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◾️ 働き方・人材の多様化:画一的なマネジメントが機能しにくくなった
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◾️ リモートワークの普及:偶発的な会話が減り、関係の質が低下しやすくなった
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◾️ VUCA時代の変化対応力の必要性:Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)を意味するVUCAの時代では、将来の予測が難しい中でも、現場が自律的に対話し、判断できる組織づくりが求められている
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◾️ 人的資本経営の広がり:人的資本への投資や、その取り組み・情報の開示を重視する動きが企業や投資家の間で広がっている
組織開発を「制度」「対話」「空間」の3層で理解する
組織開発の施策は数多くありますが、この記事では「制度」「対話」「空間」という3つの層に整理して考えてみます。
◾️ 制度(サーベイ・評価制度や、OKR〈目標と成果指標〉、MVV〈ミッション・ビジョン・バリュー〉など)
組織の方向性や判断基準を整え、思考の質・行動の質を高めるための土台です。
判断基準がバラバラで意思決定のたびに方針が揺れる、といった課題に効果を発揮します。
▶︎ 目的別のフレームワークの選び方は、「組織開発フレームワークとは?」の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
◾️ 対話(1on1・組織開発研修など)
関係の質を高めるきっかけとなる、対話へのアプローチは大きく2つに分けられます。
一つは、なぜ対話が関係の質を高めるのかを理論から理解するアプローチです。
組織の成果を「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質」という循環で捉える成功循環モデルや、その出発点となる関係の質という考え方が、理解の手がかりになります。
もう一つは、実際に体験しながら関係性を築くアプローチです。
協働体験を通じて信頼関係を築く組織開発研修、チームの協働や相互理解を深めるチームビルディング研修、日常の職場を離れて対話に集中するオフサイトミーティング研修などがあり、目的に応じて選べます
▶︎ 組織開発における各研修については、「組織開発研修」、「チームビルディング研修」、「オフサイトミーティング」の記事でそれぞれ詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
◾️ 空間(オフィス空間デザイン・レイアウトなど)
対話を通じて高まった関係の質を、日常の中で維持していく土台です。
一度の研修だけでは、日常の環境が変わらなければ関係の質は元に戻ってしまうことがあるため、偶発的なコミュニケーションが生まれやすい、オフィス空間づくりが重要になります。
▶︎ コミュニケーションを生む空間づくりについては、「組織開発につながるオフィス改善とは?」の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
組織開発の取り組みは「制度」だけに偏りがちですが、関係の質は「対話」という非日常のきっかけと、「空間」という日常での土台の両方があってはじめて育まれます。
自社の取り組みが、この3層のどこかに偏っていないか、一度見直してみることが次の一手のヒントになります。
関係の質という土台
3層のうち、特に見落とされがちなのが「関係の質」という視点です。
制度は思考の質・行動の質を高めるものですが、その土台となる関係の質は、対話によって育まれます。
そして空間は、こうして高まった関係の質を日常の中で維持する役割を担います。
制度を整えても組織が変わらない場合には、対話を通じて関係の質を高める働きかけが十分かどうかを見直すことも重要です。
この考え方の背景には、MIT Sloan School of Managementのダニエル・キム教授が提唱した成功循環モデルがあります。
組織の成果は「関係の質→思考の質→行動の質→結果の質」という4つの質が循環しながら生まれるとする考え方で、組織の制度や施策を機能させるうえでも、関係の質が重要な土台になると考えられます。
「制度は整えたのに、組織が思うように変わらない」と感じている場合は、まずこの関係の質という土台から見直してみることをおすすめします。
▶︎ 成功循環モデルや関係の質については、「成功循環モデルとは?」、「関係の質が組織を変える。」の記事でそれぞれ詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
組織開発の効果を測る指標
組織開発の成果は、売上のように単純な数値だけでは測りにくいものです。
そのため、次のような指標を組み合わせて、組織の状態を多面的に把握する方法があります。
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◾️ 心理的安全性:メンバーが安心して意見を言えているかどうか
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◾️ エンゲージメント:組織や仕事に対する主体的な関わりの度合い
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◾️ 離職率・定着率:組織や職場環境の状態を把握する際の参考となる指標
これらの指標は単独で捉えるのではなく、関係性や組織の状態と合わせて見ることで、改善すべきポイントをより捉えやすくなります。
▶︎ 心理的安全性やエンゲージメントを高める具体的な方法については、それぞれ「心理的安全性のつくり方」、「エンゲージメント向上の施策とは?」の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
組織開発の進め方
組織開発は、次のような流れで進めるのが基本です。
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1. 現状把握:サーベイやヒアリングを通じて、どこに課題があるのかを可視化する
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2. 施策設計:制度・対話・空間の3層から、課題に合った打ち手を組み合わせる
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3. 試験導入:特定の部署やチームで小規模に試行し、現場の反応を確認する
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4. 効果検証と展開:結果をもとに調整し、必要に応じて他の部署やチームへ展開していく
制度・対話・空間のどれから着手すべきかは、自社の課題によって異なります。
目的別のフレームワークの選び方は、「組織開発フレームワークとは?」の記事で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 組織開発と人材開発の違いは何ですか?
人材開発は個人のスキルや知識を高め、組織全体の力を伸ばすことが目的で、研修やOJTなどが代表的な手法です。一方、組織開発は組織や関係性全体を対象とし、対話の場づくりなどを通じて、チームや部署間の関係性をより良い状態へ整えていきます。
Q. 組織開発は何から始めればいいですか?
A. まずは現状把握から始めるのがおすすめです。そのうえで、自社の課題が「制度」「対話」「空間」のどこにあるのかを見極め、該当する打ち手から着手すると進めやすくなります。詳しい選び方は、「組織開発フレームワークとは?」の記事で解説しています。
Q. 組織開発の効果はすぐに出ますか?
制度面の変更は比較的短期間で始められますが、関係の質そのものが変化し成果に波及するまでには中長期の視点が必要です。詳しくは「成功循環モデルとは?」の記事で解説しています。
まとめ:組織を変える、はじめの一歩
組織開発とは、制度だけでなく、社員同士の関係性に働きかけることで組織全体がより良く機能する状態を目指す取り組みです。
制度は組織の方向性や判断基準を整え、対話は関係性を育み、空間はその関係性を日常の中で支える——この3層の役割を理解することが、組織開発を進めるうえでの土台になります。
まずは自社の取り組みが、制度・対話・空間のどこに偏っているのかを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
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