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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.35】
忙しさのなかで失われる“意味を感じる時間”を取り戻す

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.35】
忙しさのなかで失われる“意味を感じる時間”を取り戻す

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

立ち止まることが、未来をつくる最初の一歩

仕事をしていると、「やるべきこと」ばかりが積み上がり、気づけば一日があっという間に終わってしまう──。

そんな日常を過ごしている方も多いのではないでしょうか。

 

新しい価値を創造するような、重要だけれど緊急ではない仕事は、このような日々の中ではつい後回しになってしまうことがあります。

そんな日が続くと、「自分は何のためにこの仕事をしているのだろう」と、ふと立ち止まりたくなる瞬間もあるかもしれません。

 

私自身も、日々の意思決定や業務対応に追われるなかで、“創造するための時間”が後回しになってしまうことがあります。

だからこそ、意識的に立ち止まり、考える余白をつくるようにしています。

 

 

創造的な時間をつくり、物事についてじっくり考え、本質的な意味づけができた瞬間には、せわしない日常では得られないような、心の奥でストンと腑に落ちる納得感が生まれます。


「ああ、そうか。これはこういうことだったのか」と気づき、そのまま急いで文章にまとめることもあります。
その気づきは自分にとっての発見であると同時に、周囲の人にも新しい視点を届けられる“価値のある考え”になることが多いと感じています。

 

だからこそ、忙しさに流されず、“意味を感じる時間”を少しでも取り戻すことが、個人にも組織にも必要だと思います。

意味が弱まると、組織も弱くなる

人は「意味」がわからないと、行動が遅くなり、パフォーマンスも上がりません。
心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアン(Vol.20を参照)の自己決定理論でも、人が主体的に動くためには“自分の行動に納得できること”が重要だとされています。(参考文献【1】)

 

実際、意味を感じられていない仕事ほど、エネルギーを奪われながら進めてしまうことが多いものです。

逆に、“これは大事な仕事だ”と感じられると、その瞬間から思考は前向きになり、あらゆる角度から物事を考え、仕事を達成させるためのパフォーマンスが高まります。


業務の量が変わらなくても、意味さえ取り戻すことができれば、疲労感は軽くなり、行動の質は大きく変わっていきます。

 

現代の組織は、効率化やスピードを優先するあまり、“意味”の部分が置き去りになりがちです。
だからこそ、一度立ち止まって「なぜやるのか」を見つめ直す時間が必要だと思います。

 

焚火の前で自然と湧き上がる感覚

焚火の前で自然と湧き上がる感覚

焚火の前に座ると、言葉にしづらい感覚が自然と湧いてきます。
火の揺らぎを見ていると、心がほどけるように落ち着き、思考のノイズが少しずつ消えていく感覚があります。


肩書きや役割を超えて、「今、自分はどう感じているのか」「何を大切にしたいのか」と、素直に向き合える時間が生まれます。

 

私も焚火を囲むたびに、「忙しさで少し視野が狭くなっていたな」と感じ、「本来大切にしたかったことはこういうことだった」と、自分の原点を思い出す時間にしています。


こうした“意味が戻ってくる瞬間”は、組織にとっても非常に大切な時間だと思います。

 

そして、意味を取り戻すのは、焚火や自然の中だけではありません。

 

日常の中でも「意味」は取り戻せる

自然環境に行かなくても、私たちは日常のちょっとした工夫で“意味を取り戻す時間” をつくることができます。

 

たとえば──

 

● 1日の終わりに3分間だけ「今日いちばん意味を感じた瞬間」を振り返る。

大げさな問いでなくても構いません。
「少し心が動いた場面」を思い出すだけで十分です。
その瞬間には、あなたが大切にしている価値観が必ず隠れています。

 

● オフィスの一角に“視点を変えるスペース”をつくる。

キャンピングオフィスのようにレイアウトを少し変えるだけでも、人の意識は驚くほど柔らかくなります。
立って話す、靴を脱いで床に座ってみる。そんな小さな変化でも思考のモードが変わります。

 

● 外の空気を吸うために、1日5分だけ外を歩く。

歩きながら考えると、頭の中の整理が自然と進みます。
オフィスのすぐ外でも構いません。

視界が広がるだけで、“意味の捉え直し”が起こりやすくなります。

 

● いつもと違う人に、いつもと違う質問をしてみる。

「最近、何が面白いですか?」
そんな何気ない一言から、意外な気づきが生まれることもあります。

 

こうした“日常の余白”をつくることが、意味を感じる力を取り戻すうえでとても有効だと思います。

意味を感じる時間が、組織を変えていく

意味を感じる時間が、組織を変えていく

テクノロジーの発達によって仕事の効率化は進みましたが、人が感じる“忙しさ”はむしろ増しているように思います。
AIや自動化が進んでも、私たちの時間は不思議と空かない。
むしろ次々とタスクが生まれることで、余白が失われています。

 

だからこそ、私たちは忙しさに流されるのではなく、忙しさの中に“意味を感じる時間”を意識的につくる必要があると感じています。

 

仕事に意味を感じられたとき、人の行動は自然と変わります。
義務感ではなく、納得感から行動が生まれる。

自分の価値観と仕事がつながることで、エネルギーの出どころが変わり、その変化は周囲にも伝播していきます。

 

組織は、“同じ意味を共有できたとき”に強くなります。
意味が揃うと、行動が揃い、協働が生まれ、
チームに新しい活力が宿っていきます。

 

焚火の前でも、オフィスの片隅でも、通勤の途中でも構いません。


一人ひとりが自分の仕事の“本来の意味”を取り戻せる瞬間を増やすこと。

その小さな積み重ねが、組織の未来を変えていく確かな力になると信じています。

参考文献

【1】Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior. New York: Plenum Press.

 

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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