お問い合わせ・資料
8分で読了

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.63】
「どれだけつながれるか」が企業の新しいエネルギーになる

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.63】
「どれだけつながれるか」が企業の新しいエネルギーになる

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

何かを「切り取って」時代は発展してきている

これまでの経済活動は、自然や社会、人間の内面から、何かを「切り取る」ことで機能してきた部分があるかと思います。

 

例えば大量生産の時代は、自然を単なる「資源」として切り取ることで成り立っていました。

金融資本の論理は、未来にあるはずの価値を現在へ先回りで切り取ることで、大きな利益を生み出している構造もあります。

 

確かに、何かを切り取ることで、短期的には爆発的なエネルギーが生まれます。

しかし、それは鉱山を掘り進めるようなもので、掘れば掘るほど一時的には豊かになりますが、やがて掘るものがなくなり、切り取られた側は確実に枯渇していきます。

 

今の時代に求められているのは、資源や未来の価値を消費し尽くす構造ではなく、「関係性の中にある価値や意味」をその場で発生させ、循環させていく構造なのだと思います。

 

木を切り倒して売れば、そこで資源の消費は終わります。

そうではなく、例えばその「森で過ごす体験」を届けることができれば、木も森も美しい姿のまま残り続けます。

 

また、地域を均質化してしまえば固有の文化は切り取られて消えてしまいますが、その地域にしかない良さをそのまま価値に変えていけば、大切な文化は未来へと受け継がれていきます。

 

これからの時代は、このように「残しながら、関係性の中で新しい価値を生む」という視点が、生活だけでなくあらゆるビジネスにおいて不可欠になる気がしています。

効率化の裏側で、切り落とされる組織の「関係性」

効率化の裏側で、切り落とされる組織の「関係性」

この「切り取る」という構造は、自然環境や地域社会だけで起こっているものではなく、「組織のあり方」にも、同じ見方ができるのではないかと思います。

 

現在、多くの企業が効率化の目線で舵を取っています。

・明確な組織設計

・細分化された役割分担

・無駄のない業務プロセス

 

これらは投資家や経営陣から短期的な成果を求められる中で、仕方のない側面もあると思いますし、大事な側面もあります。

 

ただ、タイムパフォーマンス(タイパ)やコストパフォーマンス(コスパ)が過剰になっていく時代の中で、効率と引き換えに、人と人との「関係性」を切り落としてしまっている側面もあるのではないかと思っています。

 

組織開発の学術的な研究でも、組織の成果は個人の能力の足し算だけで決まるのではない、と言われています。

 

たとえばメアリー・ウール・ビア(Mary Uhl-Bien)らが提唱している「関係性リーダーシップ論(Relational Leadership Theory)」では、リーダーシップや組織の原動力は個人の属性にあるのではなく、「人と人との関係性や対話のプロセス」から生み出されると考えています。(参考文献【1】)

 

つまり、どれだけ優秀な人材を集めても、その間の関係性が冷え切っていれば組織のエネルギーは生まれないということです。

 

大量生産の時代から問われていたのは「どれだけ作れるか」でした。

金融資本の時代から問われていたのは「どれだけ増やせるか」でした。

次の時代が企業に問われているのは「どれだけつながれるか」なのだと思います。

 

事業の舵を切るべき方向は、効率化だけを追求する先ではなく、関係の質を高める先にあると思います。

自然とのつながりが教えてくれる、私たちの生きる基盤

私たちスノーピークビジネスソリューションズは、愛知県岡崎市を流れる「乙川(おとがわ)」の河川敷の指定管理を受け、街づくりにも関わらせていただいています。

 

河川敷でのイベントや活動を通じて私たちが目指しているのは、街の人たちが自然や水に対して、もう一度思いを馳せられるような体験価値を提供することです。

 

乙川の流域は、多くの岡崎市民の暮らしを支える大切な水源になっています。

蛇口をひねれば当たり前に出てくる水ですが、川のせせらぎに触れ、その水が山を通じて流れているという自然の恵みを体感したとき、「自分たちの生活は、この自然とのつながりの中で成り立っているんだ」という実感が身体の中にスッと入ってきます。

 

川の水が自分たちの命をつないでいると感じた瞬間、人は初めて自然の中に自分自身を見つけることができます。

 

私たちは今、自然との関係性、人と人との関係性、社会と個人との関係性など、あらゆるつながりの中に「価値を生み出す視点」が必要なのだと思います。

 

そして、その関係性そのものをエネルギーに変え、次の時代を切り拓く活動を生み出していく。

そんなリーダーたちが求められているのだと感じます。

アウトドア研修とキャンピングオフィスが「本物の関係性」をつくる

アウトドア研修とキャンピングオフィスが「本物の関係性」をつくる

企業組織においては、どのようにしてその「関係性」を取り戻せば良いのか。

 

私たちが提供している「アウトドア研修」やオフィスの中につくる「キャンピングオフィス」は、まさにそのための場を設計するサービスです。

 

オフィスという人工的な環境から一歩外へ出て、自然の中に身を置く。

実はこれだけで、人間の心理や行動は大きく変わります。

 

環境心理学や知覚心理学において、ジェームズ・ギブソン(James J. Gibson)が提唱した「アフォーダンス理論(Affordance Theory)」という概念があります。(参考文献【2】)

 

これは環境が人間に対して特定の行動を促すことを指しますが、その概念にあるように豊かな自然という環境そのものが、人間の五感をひらき、お互いの壁を取り払いやすくする効果(環境からのアプローチ)を持っています。

 

また、近年の組織開発で最も重視される「心理的安全性」の提唱者であるエイミー・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)は、チームが成果を出すには失敗を恐れず本音を言える環境が不可欠であると説きました。(参考文献【3】)

 

自然の中での体験が組織を劇的に変えるのは、単に「景色が綺麗で感動したから」ではなく、不確実な自然環境の中で、共に火を囲み、同じ風を感じることで、人と人の間に「本物の関係性(心理的安全性)」や信頼関係が生まれるからです。

 

・肩書を脱ぎ捨てた素直な対話

・お互いの弱さを認め合える心理的安全性

・効率論だけでは生まれない創造的なアイデア

 

キャンピングオフィスという場を通じて、普段の会議室では決して出てこないような本音の対話が生まれる瞬間を、私たちは何度も見てきました。

 

私たちがやろうとしていることは、単なるリフレッシュの提案ではなく、効率化の過程で失われてしまった、組織の大切な結びつきを取り戻すための場を設計することです。

関係性を設計する意志が、これからの企業を強くする

これからの時代に必要な人材は、目に見える数字や資源を切り取る人ではなく、関係性の中に新しく豊かな価値を見出し、その価値を仲間と共に育てることができる人だと思います。

 

つまり、次の経済エネルギーをつくる人たちは、自然・人・社会との関係性を丁寧に「設計できる人」なんだと思います。

 

川の水と自分の命のつながりに気づくように、隣で働く仲間の存在や、社会とのつながりに深く感謝し、それを力に変えていけるような体験をデザインすることこそが、これからの企業の最も重要な仕事の設計だと思います。

 

大量消費の市場にも、激しく乱高下する金融市場にもない、次の時代を動かす新しい経済エネルギーは、すでに私たちの目の前にあると思います

 

あとは、それを取り戻し、設計しようとする意志が私たちにあるかどうか

そのことこそが、今の時代から企業に問われているのだと思います。

参考文献・引用情報

【1】関係性リーダーシップ論(Relational Leadership Theory)

Uhl-Bien, M. (2006). Relational Leadership Theory: Exploring the social processes of leadership and organizing. The Leadership Quarterly, 17(6), 654-676.

 

【2】アフォーダンス理論(Affordance Theory)

Gibson, J. J. (1979). The Ecological Approach to Visual Perception. Houghton Mifflin.

 

【3】 心理的安全性(Psychological Safety)

Edmondson, A. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

この記事をシェア
お役立ち資料 お問い合わせ