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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.68】
チームビルディングはこれからの日本企業に「必要な市場」になる

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.68】
チームビルディングはこれからの日本企業に「必要な市場」になる

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読み手のみなさんにとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

日本にはまだ明確なチームビルディング市場がない

日本でも「チームビルディング」という言葉を耳にする機会は増えてきました。
ただ、現時点では、国内に明確な「チームビルディング市場」があるとは言い切れない規模だと思います。

 

企業研修、管理職研修、組織開発、社内イベント、合宿、ワークショップ、エンゲージメント施策など、それぞれの領域に分かれて存在しており、チームビルディングそのものが一つの独立した市場として広く認識されているとは言い切れない状況です。

 

一方で、国内の企業向け研修サービス市場は拡大しています。矢野経済研究所によると、2024年度の企業向け研修サービス市場は、事業者売上高ベースで前年度比4.6%増の5,858億円と推計されています。また、人的資本経営に取り組む企業の増加が、教育投資を後押ししているとも言われています(参考文献【1】)。

 

ここから言えるのは、日本企業はすでに「人への投資」を増やし始めているということです。ただし、その投資の多くは、まだスキル研修や階層別研修として捉えられているように感じます。
 

これから必要になるのは、スキルだけではなく、人と人が協働し、変化に向き合い、互いに学び合える関係性をつくる投資だと考えています。その意味で、チームビルディングは、これから日本で本格的に市場化していくべき領域だと思います。

 

アメリカでは、チームビルディングがすでに市場として存在している

アメリカでは、チームビルディングがすでに市場として存在している

欧米、とくにアメリカでは、日本よりも人材の流動性が高く、職務や役割を軸に働く文化が以前から存在しています。
人が動きやすい社会では、新しいメンバーが入るたびに、チームの関係性をつくり直す必要があります。

 

そのため、チームビルディングは単なる懇親会やレクリエーションではなく、早期戦力化、定着、信頼形成、組織成果を高めるための経営戦略としての投資として位置付けられています。

 

実際、DataInteloの市場調査では、Corporate Team Building Activities市場において、北米は2024年に約48億ドルの売上規模があるとされています(参考文献【2】)。調査会社によって定義や範囲に違いはありますが、少なくともアメリカを含む北米では、チームビルディングが一定の市場として認識されていることが分かります。

 

当然、日本とアメリカでは雇用慣行も、企業文化も、働く人の価値観も同じではありません。アメリカの手法をそのまま日本に持ち込めば良いとも思いません。

 

ただ、人材が流動化し、働き方が多様化するほど、チームの関係性を意図的につくる必要が高まるという点において、この構造は日本でも徐々に強まっていくと思います。

流動性が高まる日本で、なぜチームビルディングが必要になるのか

日本企業は長い間、長期雇用や新卒一括採用を前提に、時間をかけて関係性を育ててきました。同じ会社に長くいることで、暗黙知が蓄積され、価値観や仕事の進め方も自然に共有されてきた面があります。

 

しかし、これからは状況が変わります。中途採用、副業、兼業、リモートワーク、ジョブ型人事、AI活用などが広がる中で、人と組織の関係はより多様になります。人材の流動性が高まれば、チームは常に新しいメンバーを迎え、関係性を再構築しながら成果を出す必要があります。

 

また、日本の従業員エンゲージメントは国際的に見ても低い水準にあります。Gallupの2026年版データでは、日本で仕事にエンゲージしている従業員は8%とされ、東アジア平均や世界平均を下回っています(参考文献【3】)。

 

これは、単に「社員のやる気が低い」という話ではないと思います。むしろ、組織の中で本音を出しにくい、挑戦しにくい、関係性が深まりにくい構造があると捉えたほうが良いかもしれません。

 

人材が流動化する時代に、関係性が弱いままでは、優秀な人ほど他社を選びやすくなります。逆に、心理的な安全性があり、自分の意見を出せて、互いに支え合えるチームには、人は関わり続けたいと感じます。

チームビルディングは、組織開発の入口になる

チームビルディングは、組織開発の入口になる

組織開発の観点から見ても、チームビルディングは重要です。エイミー・エドモンドソンは、心理的安全性を「対人リスクを取っても安全だとチームメンバーが共有している信念」とし、それがチームの学習行動や成果と関係することを示しました(参考文献【4】)。

 

また、Googleのプロジェクトアリストテレスでも、効果的なチームにおいて心理的安全性が重要な要素であるとされています(参考文献【5】)。さらに、クルト・レヴィンの変革理論では、組織変革において「Unfreeze」、つまり既存の固定化された状態を一度ゆるめるプロセスが重要だとされています(参考文献【6】)。

 

変化を起こすには、新しい制度や施策だけでは不十分です。まず、人と人の関係性や、ものの見方をやわらかくする必要があります。まさにスノーピークビジネスソリューションズのアウトドア研修やキャンピングオフィスが提供している価値がここにあります。

 

自然の中で火を囲む。タープを立てる。役職や部署を少し横に置いて、同じ体験を共有する。こうした場では、普段の会議室では出てこない表情や本音が見えやすくなります。

 

私たちが提供しているのは、単なるアウトドアイベントではなく、日常の固定化された関係性をゆるめ、対話と協働が生まれやすい状態をつくる「協働体験デザイン」だと考えています。

国内にチームビルディング市場をつくっていく

これからの日本企業に必要なのは、離職を防ぐために人を囲い込む施策や待遇をつくることではなく、この組織で働きたい、このチームに関わりたいと思える関係性をつくることだと思います。

 

そのためには、チームビルディングを一時的なイベントとして終わらせず、管理職育成、オンボーディング、部門横断連携、人的資本経営、エンゲージメント向上、組織変革とつなげて設計していく必要があります。

 

アメリカでは、雇用の流動性が高いため、チームビルディングが市場として明確に存在しています。日本では事情が違いますが、これから人材の流動性が高まり、働き方が多様化していくなら、同じようにチームの関係性を意図的につくる必要性があると思います。

 

スノーピークビジネスソリューションズは、国内にまだ明確には存在していないチームビルディング市場を、これから育てていく必要があります。自然体験、対話、協働、テクノロジーを組み合わせながら、企業が人間らしく働ける組織へ変わっていくための入口として、チームビルディングを再定義していきます。

 

チームビルディングは、仲良くなるための場ではなく、これからの企業が変化に向き合い、選ばれ続ける組織になるための経営戦略とその投資です。私たちは、その市場を日本に根づかせていきたいと思います。

参考文献・参考情報

【1】株式会社矢野経済研究所「企業向け研修サービス市場に関する調査を実施(2025年)」(2024年度の企業向け研修サービス市場を5,858億円、2025年度を6,130億円と予測。人的資本経営による教育投資拡大にも言及。)

【2】DataIntelo, “Corporate Team Building Activities Market.”( 2024年のCorporate Team Building Activities市場について、北米市場が約48億ドル規模であることを記載)

【3】Gallup, “State of the Global Workplace: Japan Country-Level.” (日本の従業員エンゲージメントを8%、東アジア平均18%、世界平均20%と記載)

【4】Edmondson, A. C. “Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams.Administrative Science Quarterly, 44(2), 1999. (心理的安全性とチーム学習行動に関する代表的研究)

【5】Google re:Work, “Understand team effectiveness.” (Project Aristotleに基づき、効果的なチームの要素として心理的安全性などを提示)

【6】⁠Lewin, K. “⁠Frontiers in Group Dynamics: Concept, Method and Reality in Social Science; Social Equilibria and Social Change.” Human Relations, 1(1), pp.5–41, 1947.”( Lewinの原典。組織変革における「Unfreeze(解凍)→ Change(変化)→ Refreeze(再定着)」の考え方の基礎となった論文)
⁠Hussain, S. T., et al. “⁠Kurt Lewin's change model: A critical review of the role of leadership and employee involvement in organizational change.” Journal of Innovation & Knowledge, 3(3), pp.123–127, 2018. (Lewinの変革理論を現代の組織マネジメントの観点から整理したレビュー論文)

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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