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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.24】
対話が意思決定のスピードを上げる

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.24】
対話が意思決定のスピードを上げる

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

「非効率」に見える時間の本質

経営の現場では、常にスピードが求められます。

変化が激しい時代において、意思決定の遅れはそのまま競争力の低下につながります。一方で、「会議が長引いている」「雑談が多い」といった非効率に見える時間を減らすことが、生産性向上につながると考えられがちです。

 

確かに、基本的な会議の進め方やシンプルなコミュニケーションを意識することは欠かせません。短時間で結論をまとめ、情報を正しく伝える力は、日常業務を推進するうえで基盤となります。

 

しかし、効率一辺倒のやり方だけでは到達できない領域もあります。

とくに経営の重要判断や新たな価値を生み出すクリエイティブな意思決定には、あえて非効率に見える時間が必要です。腹を割って語り合うことでしか築けない信頼があり、その信頼が合意形成を一気に加速させます

つまり大切なのは、効率と非効率のどちらかを選ぶのではなく、状況に応じて「バランス」を取ることです。

信頼関係が合意形成を加速する

非効率に見える対話が、なぜスピードを生むのか。その理由は「信頼」と「理解」にあります。
人は、自分の意見が尊重されていると感じると、多少自分の考えと異なる結論でも納得して従うことができます。逆に十分に話を聞かれずに結論だけ押し付けられると、抵抗感が残り、後の行動に迷いや遅れが生まれ、推進力が弱まってしまいます。

 

Googleが行った大規模研究「プロジェクト・アリストテレス」でも、心理的安全性が高いチームほど成果が高いと報告されています。この心理的安全性は、率直に意見を言える関係性の中で築かれます。普段から丁寧な対話を重ね、お互いを理解し、信頼関係を構築しておくことで、意思決定の場面では驚くほど早く合意に至ることができます。

 

経営においては「合意の速さ」が極めて重要です。トップの独断による即断即決も一つのスピードですが、それだけでは組織全体がついていけません。行動に迷いや遅れが生まれてしまうからです。

 

関係性が整っている組織では、合意形成のスピードが増し、全員が納得して一斉に動き出すことができます。この「全体の推進力」こそが、経営スピードの源泉であり、それを意識して組織づくりに取り組むことが必要です。

企業の現場に見る変化

企業の現場に見る変化

私たちが関わったある製造業関連の商社機能を持つ企業では、幹部層を対象にしたアウトドア研修を実施しました。

焚火を囲み、自然の中で腹を割って語り合う時間は、プログラムの中でも特に効果が高いと好評でした。


一見すると業務から離れた「余白の時間」のようですが、その後に生まれた効果は大きなものでした。

 

幹部同士が率直に意見を交換できる関係性を築いた結果、それまで部下やチームを介して間接的にやり取りしていたことが、直接・短時間で解決できるようになったのです。組織全体で払っていた「コミュニケーションコスト」が大きく削減され、間接的に関わっていたチームメンバーも無駄な時間が減り、ストレスから解放されました。

 

経営層からは「以前なら何度も調整を繰り返していた話が、いまは会議の場で早くお互いの意見を理解して前に進むようになった」との声がありました。たとえ自分の意見と異なっていても、互いの理解と信頼関係があるからこそ、目的に向けてアイデアを選び、一緒に前へ進めるのだと思います。

 

非効率に見える対話の投資が、経営スピードを劇的に高める好例です。

対話はコストではなく投資

それでもなお、「対話の時間を増やすと生産性が落ちるのではないか」と考える人も少なくありません。ですが、対話はコストではなく投資と捉える視点が必要です。


短期的には遠回りに見えても、その後の実行スピードや合意形成の速さで十分に回収でき、むしろ大きなリターンを生みます。特に複雑で不確実な課題が山積する現代の経営環境では、「人と人との関係性」にこそ最大の投資価値があります。

 

「プロジェクトや仕事がうまく進まない要因の多くは、人間関係にあるのではないでしょうか?」と講演で問いかけると、参加者から毎回とても大きな反響があります。

 

経営スピードを上げるために

経営スピードを上げるために

いま多くの企業が直面しているのは「環境変化のスピードにどう対応するか」という課題です。対応策の多くが技術革新や新しいテクノロジーの導入に偏りがちです。しかし、AIやデジタルという強力なツールを本当に活かせるかどうかは、結局のところ人と人との信頼関係にかかっています

 

効率的な会議運営やシンプルな情報伝達は、日常業務を進める大前提です。しかし、それだけでは本質的な意思決定や価値創造には届きません。非効率に見える対話の時間を適切に組み込み、効率とのバランスを取ることで、経営スピードは確実に高まります。

 

非効率に見える対話の時間こそが、最速の未来をつくる──。
私たちは、経営の速度を本質的に高めていくために、これからも組織風土改革の支援を進めていきます。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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