社内コミュニケーションは
「施策」から「企業文化」へ育てられるのか?
ヤマハ発動機×オカムラ×スノーピークBS ワークショップレポート
オフィスを新しくした。働き方も変えた。
それでも思ったほど社員同士のコミュニケーションは活性化しない。
今回のワークショップでは、そんな多くの企業が抱える共通の悩みを起点に、「人と人とのつながり」をどのように生み出し、「施策」ではなく「組織文化」として定着させていくのかについて対話が行われました。
参加者は製造業からサービス業まで幅広く、それぞれ異なる組織課題を抱えています。しかし、焚火を囲みながら率直な対話を重ねるなかで浮かび上がってきたのは、企業規模や業種を超えて共通する課題でした。
ここからは、オカムラ様・ヤマハ発動機様・スノーピークビジネスソリューションズの3社によるトークセッション後に行われた体験型ワークショップの様子をお届けします。
コミュニケーションは「きっかけ」から始まる
ワークショップは参加者同士が自然に会話できるアイスブレイクからスタートしました。
初対面同士の対話を促すための時間ではありましたが、ここで象徴的だったのは、「コミュニケーションはきっかけによって生まれる」という事実でした。
組織の中でも同じことが言えます。人はコミュニケーションの重要性を理解していても、それだけで自然に会話が生まれるわけではありません。
人が関わるきっかけとなる“場”や“理由”があって初めて対話は始まります。
後のセッションでも、この「きっかけづくり」が社内コミュニケーションや組織文化の重要なテーマとして繰り返し語られることになりました。
多くの企業が抱える、関係性の希薄化という課題
各グループでは、自社で感じている課題や取り組みについて共有が行われました。
多くの参加者が挙げていたのは、働き方の変化による関係性の希薄化です。
テレワークの普及。
部署再編。
オンライン会議中心の働き方。
業務そのものは効率化された一方で、人と人との偶発的な接点は確実に減少しています。
以前は雑談のなかで自然に解決していたことが相談しづらくなり、
「誰に聞けばいいか分からない」「気軽に声を掛けにくい」という状態が生まれています。
興味深かったのは、多くの企業が同じ課題を抱えながらも、その背景はさまざまだったことです。
人が集まる機会が減った。
部署間の接点が少なくなった。
組織拡大により顔が見えにくくなった。
コミュニケーションの課題とは単なる会話量の不足ではありません。
人と人との関係性を育む機会そのものが失われていること。
それこそが、多くの企業に共通する課題なのだと感じられました。
なぜコミュニケーション施策は定着しないのか
続いて行われたのは、3社の対談を通して印象に残ったキーワードを持ち寄り、グループで共有するワークです。
そこで多く挙がったのは、
・心理的安全性
・自然なコミュニケーション
・文化としての定着
・やらされ感のない活動
といった言葉でした。
なかでも印象的だったのは、「施策が続かない」という共通の悩みです。
イベントや制度を導入することはできる。しかし担当者が異動したり、運営体制が変わったりすると、いつの間にか形骸化してしまう。
そのため議論の中心となったのは、「何を実施するか」ではなく、「なぜ人は参加したくなるのか」という視点でした。
一時的な盛り上がりを生み出すことと、文化として定着させることは別の話です。
組織文化を育むためには、「参加してもらう」のではなく、「自ら参加したくなる状態」をいかにつくるか。
そんな問いについて、多くのテーブルで活発な意見交換が行われていました。
(ヤマハ発動機様 CX事業部のオフィス活用の様子)
「話すこと」の先にある組織の価値
他グループとのアイデア共有を通じて見えてきたのは、コミュニケーション施策の目的は単なる交流促進ではないということでした。
参加者同士の対話では、
・部門を越えた相談
・情報共有の活性化
・新しいアイデアの創出
・挑戦しやすい風土づくり
といったテーマについても意見が交わされました。
人は信頼関係がなければ相談できません。そして相談がなければ協力も生まれません。
コミュニケーション施策の本質は、人を仲良くすることではなく、組織としての力を引き出す土台をつくることにあるのかもしれません。
オフィスづくりを起点にする企業もあれば、アウトドア研修や社内イベントを活用する企業もあります。
方法は企業ごとに異なりますが、参加者の多くが共通して認識していたのは、人が自然につながり、信頼関係を築ける体験を設計することの重要性でした。
施策から文化へ。継続を生み出す条件とは
コミュニケーションの重要性や組織への効果について理解が深まる一方で、質疑応答ではもう一つのテーマに関心が集まりました。
それが、「活動をどのように継続するのか」という問いです。
ヤマハ発動機CX事業部では、アウトドア研修をきっかけに複数の自主活動が生まれ、現在も継続しているといいます。
その理由について、登壇者の北岸氏は次のように語りました。
「やらされているのではなく、自分たちがやりたいから続いている」
この言葉は、施策と文化の違いを象徴しているように感じられます。
施策は運営する人が必要です。しかし文化は、その場にいる人たち自身によって受け継がれていきます。
コミュニケーション施策の目的はイベントを実施することではなく、人が自発的につながり続ける土壌をつくること。
制度として始まった取り組みが、人々の主体的な行動へと変化したとき、コミュニケーションは初めて企業文化へと育っていくのかもしれません。
人間らしく働ける組織が、文化を育む
では、どうしたら文化は育まれていくのでしょうか。
最後に全体で語られたのは、「人間らしく働く」というテーマでした。
働き方が効率化されるほど、人と人とのリアルな接点は失われていきます。
オンライン会議は効率的ですが、その前後の雑談は生まれづらいものです。業務上の会話は成立しても、関係性までは育ちにくくなっています。
だからこそ今、企業には「人間らしさ」を発揮できる職場が求められています。
「誰と何のために働いているのか」「なぜここにいるのか」という自身の存在の意味づけは、他者との関わり合いを通じて形づくられていくものです。
そして、働く場所や時間が多様化した今、同じ組織に所属していても、自然と一体感が生まれる時代ではなくなりました。
だからこそ企業には、業務だけでは見えない個人の価値観や想いが交わる機会を意図的につくることが求められています。
文化は制度やスローガンだけで形づくられるものではありません。人と人との関わりの積み重ねのなかで育まれていくものです。
コミュニケーション施策は、単なる交流イベントでもありません。
人と人とのつながりを育み、一人ひとりが組織の中で自分の役割や存在意義を見出していくための土台づくりです。
そして、コミュニケーションは短期的な売上に直結するものではないかもしれません。
しかし、人と人との信頼関係が育まれれば、相談しやすくなり、協力しやすくなり、新しい挑戦も生まれやすくなります。
その積み重ねが、結果として組織の成果や企業文化につながっていくのではないでしょうか。
対話を通じて見えてきたのは、コミュニケーションはイベントや制度だけで実現するものではないということでした。
人間らしい関わり合いを通じて、信頼を育み、自発的な参加へと広げていく。
その血の通った積み重ねが、やがて企業文化を形づくっていきます。
今回のワークショップは、「人と人とのつながりが組織にどのような価値を生み出すのか」を改めて考えるとともに、これからの時代に求められる企業文化のあり方を見つめ直す機会となりました。
参加者ならびに登壇者のみなさま、ありがとうございました。

