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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.30】
未来は“予測”ではなく、“創造”するもの

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.30】
未来は“予測”ではなく、“創造”するもの

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

多くの経営者が「未来を読む」ことに時間を費やしているのではないでしょうか。
市場のトレンドを分析し、データをもとに兆しを把握して、そこから将来を予測することは、経営の基本でもあります。

 

しかし、それだけではなく、未来を創造するうえで大切な視点があると感じています。


未来とは、「当たる・外れる」といった予測の対象ではなく、意図を持って“描き、創り出していく”ものではないでしょうか。

 

変化の激しい時代ほど、過去の延長線上に答えはありません。
 

たとえば、タブレット型のデバイスは世界中の人が「こんなものが欲しい」と明確に求めていたわけではありません。
それでもメーカーが、“こういう未来をつくりたい”という強い意志と情熱を持って世界に提示したからこそ、人々の生活を変える製品となりました。


このことからも分かるように、未来は「読む」ものではなく、「意志を持って提示する」ものです。

創造とは、誰かが先に描いた“想い”や“物語”を世の中に示し、人々が共感していくところから始まるのだと思います。

「意味づけ」が人と組織を動かす

「意味づけ」が人と組織を動かす

ここで思い出すのが、組織行動学者 カール・ワイクによる「センスメイキング理論(Sensemaking Theory)」です。

人や組織は、予測するよりも「出来事に意味を与える」ことによって未来の行動を選び取っていくという考え方です(※参考文献【1】)。

 

現代のリーダーにとって重要なのは、その「意味づけ」のなかに、メンバー一人ひとりが納得し、腹落ちし、共に動き出す状態をつくることではないでしょうか。


どれほど立派な戦略やビジョンがあっても、社員が「なぜそれをやるのか」を理解し、共感と納得をしていなければ、行動にはつながりません。

その結果、描いた未来を実現していくことが難しくなってしまいます。

 

そこで必要になるのが、リーダー自身が“ストーリー”として語ることです。

数字や分析だけでなく、「なぜそれを目指すのか」「その先にどんな未来を見ているのか」を、自分の言葉で伝えていくこと。


こうしたストーリーは、さまざまな解釈や立場の違いを整理し、メンバーの“思考の方向”をそろえる力を持っています。
 

共通の物語を持つことで、組織全体の“意味づけ”が一致し、メンバーが“腹落ち”した状態で同じ方向を向いて進む。

そのとき初めて、組織に強い推進力と一体感が生まれます。

 

共感が生み出す未来の推進力

人は、論理だけでは動きません。
人を動かすのは、共感です。


共感は、物事の背景にある“想い”や“価値観”を通じて生まれます。

 

たとえばスノーピークの製品が多くの人に愛されているのは、単に機能性やデザイン性に優れているからだけではありません。

それらが提供しているのは、「人間性を取り戻す時間」という体験価値です。

 

それは、製品の機能的価値を超えた“生き方への共感”であり、そこに情緒的な価値が生まれています。

 

企業経営も同じことが言えます。
リーダーが“こうありたい未来”を語り、その背景にある“想い”や“価値観”を丁寧に伝えることで、社員の中に共感が芽生えてきます。

そしてその共感が、組織全体を動かす推進力へと変わっていくのです。

 

しかし、そうした時間を日常の中でどれほど意識的に取れているでしょうか。

「重要だけれど緊急ではない」このアクションは、放っておくとつい後回しになってしまいます。

だからこそ、リーダー自らが時間をつくり、言葉を紡ぎ、共感の輪を広げていくことが大切だと思います。

 

未来を共に創るリーダーシップ

未来を共に創るリーダーシップ

私たちスノーピークビジネスソリューションズが目指しているのは、「人間らしく働く人」を増やすことです。


世界中の働く人たちが、いきいきと、わくわくしながら仲間と協力し、人生の中の“働く時間”そのものを豊かにしていってほしいと願っています。


そうした人が増えることで、企業は内側から大きなエネルギーを得て、未来を自ら創り出せる組織へと変わっていきます。

 

未来を創るリーダーに求められるのは、完璧な”答え”を持つことではありません。

むしろ、“問いを投げかける力” ではないかと思います。
 

「私たちは何のために働くのか」「どんな未来を一緒に描きたいのか」──。

こうした対話を、焚火を囲むようなあたたかい場で交わすことが重要です。
その時間の積み重ねが、組織の中に新しい意味を生み出し、未来を共に創るための土壌となっていきます。

 

データや戦略だけでは人も組織も動かない時代にこそ、本当に大切なことは何かを見極め、その意味づけを共有し、共感を育み、全員で未来を創るリーダーシップが求められています。

 

社会の中でその理念が認知され、共感を呼び、そして機能的価値も備えた商品やサービスであれば、自然と広がり、長く愛されていくものになるはずです。
 

私たちは、未来を創造するために動くリーダーと企業を支援し、そして自らも“より良い未来”を共に創るために行動し続けます。

参考文献

【1】Weick, K. E. (1995). Sensemaking in Organizations. Sage Publications.

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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