スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
組織のなかで責任ある立場になるとチームから信頼されるにはどうしたら良いか考える機会も増えていくと思います。
リーダーとして、上司として、あるいはチームメンバーとしても、信頼されることは重要な資質であり、仕事の成果にもつながるものだと思います。
しかし本質的な問いは、むしろ逆にあるのではないでしょうか。
「あなたは、誰かを信じて任せていますか?」
信頼関係とは、他者への“信じる行動”から生まれます。
心理学者アルバート・バンデューラが提唱した「自己効力感」の概念においても、人は他者からの期待や信頼を受けたときにこそ、自分の力を信じ、行動に移す力が高まるとされています。
つまりメンバーを信じるという行為が、相手の潜在能力を引き出すことになります。
そして、それは相手からの信頼となって返ってくることになります。要は、組織における信頼の循環は、まず自分から始めていくという意識が重要になってくる、ということです。
私たちスノーピークビジネスソリューションズが提供するアウトドア研修の協働体験では、まさにこの“信じる力”が試されます。
たとえば、タープを張る。
焚火を起こす。
慣れないアウトドア用品の掃除や片づけをする。
こうした一見シンプルな共同作業の中には、「任せる勇気」や「判断を尊重する姿勢」が自然と求められます。
管理職が焚火の場面で、指示をせずに火が途切れないように薪をくべる時。
若手社員が、アウトドアでの打ち合わせ準備に不慣れな同僚のそばにさりげなく立ち、黙って手を差し伸べる姿勢。
こうした非言語のコミュニケーションが、人と人との信頼をじわじわと育てていきます。
このような「協働体験」の中で、役職や年齢、経験といった“肩書き”を一度脱ぎ捨て、「人と人」として関わる時間が生まれてきます。そこでは、コントロールや評価のない純粋な関係性が育まれ、心理的安全性の土台が築かれていきます。その瞬間の感覚をぜひ体験してもらいたいと思います。まずは相手を尊重して判断を任せる、その信頼をおいた相手に対する姿勢が信頼の循環を生み出す最初の一歩です。
信頼が築かれている組織では、情報共有が活性化し、協働意識が高まり、挑戦への心理的ハードルが下がることが、さまざまな組織論でも語られています。
MITのエドガー・シャインが提唱した「組織文化モデル」においても、組織文化の変容を起こすことは、深層にある価値観(基本的仮定)の共有から始まるとされています。
私たちが自然の中で提供する体験は、単なるレクリエーションではありません。
それは「価値観の共有を促す場」であり、「信じ合う文化を実感するプロセス」なのです。
実際に、キャンプ体験を経たチームでは、
・指示待ちが減り、自主的な行動が増える
・メンバー間の気遣いや対話の頻度が高まる(心理的距離が縮まる)
・役職を超えた率直な意見交換が生まれる
といった行動変容が、日常に戻った後も継続して現れるケースが多く見られます。
これは、体験によって一度“感じたこと”“信じられたこと”は、頭だけで理解したルールよりもはるかに深く行動に根づく、という行動心理学の基本原理に基づくものです。
組織の中のリーダーたちを「信頼される人に育てていく」という企業のニーズに対して、私たちのアプローチは
「信じて任せる体験が、その第一歩」というものです。
組織を変えるには、制度やルールだけでは不十分です。
人と人との間にある“信じる力”を回復し、文化として根づかせることが、持続可能な組織変容の鍵になります。
焚火の炎を囲んで静かに語り合う時間。
タープを協力して張るなかで生まれる対話。
不器用でも助け合う場面に滲む、人間らしい温かさ。
そのひとつひとつが、「信じる」という土壌を耕し、結果的に「信頼される」という関係性を育てていく。
私たちは、そんな信頼の循環を生む協働体験デザインを通じて、組織の未来に寄り添っていきたいと考えています。