スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
現代の企業には、情報があふれています。
メール、チャットツール、会議資料、ダッシュボード。私たちは常に最新のデータや報告に触れています。
しかし、その一方で「対話」する機会は減少し、不足しているのではないでしょうか。
多くの会議は報告と指示で終わり、社員の思いや違和感は声にならずに飲み込まれてしまう。経営陣やマネージャーと現場の距離は広がり、表面的には“情報共有”がなされていても、心のつながりや相互理解は深まらない。そんな状況に私たちの組織もなっている、と感じる方は少なくないと思います。
情報が組織を動かすのではなく、人と人の「関係性」が組織を前進させます。
だからこそいま、私たちは「対話」の価値を取り戻す必要があります。
MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キム教授は『成功循環モデル』において、「組織の成果を決定づける根本は『関係の質』である」と提言しています。良い成果を出したいのであれば、まず関係の質を高める必要がある。これは、成果の前提条件を「数字」や「効率」ではなく、人と人の関係に置く考え方です。
そして、その関係の質を高めるもっとも有効な手段のひとつが「対話」です。
対話とは単なる意見交換や情報伝達ではありません。自分の言葉で語り、相手の声に耳を傾け、理解しようと努める姿勢そのものです。そこには「わかろう」とする意志があり、互いに刺激し合うストロークがあります。その積み重ねによって信頼が生まれ、信頼は挑戦や協働を可能にする土台になります。
つまり、対話は“組織の成果を左右する見えない資産”なのです。
では、なぜ現代の組織から「対話」が失われてしまったのでしょうか。
理由のひとつは「効率」の追求だと思います。短時間で結論を出すこと、明確なアクションを残すことが評価され、時間をかけてじっくり互いの考えを理解し合う営みは「非効率」とみなされがちです。
また、上下関係の強い組織文化も影響します。
役職者の発言が正解とされ、若手や現場の声が埋もれてしまう。安心して語れない環境では、対話は生まれません。
その結果、会議は「報告と指示」に偏り、社員は「どうせ言っても変わらない」と諦めを覚え、関係の質は低下していきます。
しかし一度でも組織に対話の機会が生まれ、社員が「自分の発言で組織が変わるかもしれない」と感じられると、組織の空気はおもしろいほど変わっていきます。
ある企業では、毎朝10分間の「対話の時間」を設けたところ、部署内の人間関係が大きく変わりました。
最初は業務の話題ばかりでしたが、徐々に「自分が何を大事にしているか、興味を持っているのか」「なぜこの仕事を重要視しているのか」といった業務の背景にある想いや動機について話されるようになりました。
そこから相互理解が深まり、メンバー同士が自然と助け合う文化が創られていきました。やがてその信頼は新しいアイデアや挑戦を支える力となり、成果へとつながります。
対話が関係の質を高め、関係の質が挑戦を生み、挑戦が成果を引き寄せる。
この循環こそが、組織を未来へ導く力になります。
重要なのは、対話は偶然には生まれないということです。
企業は「対話が生まれる場」を意図的にデザインしなければなりません。
たとえば、自然に囲まれた環境での研修や、焚火を囲んだセッションは、心を開きやすい状況をつくります。炎のゆらぎや自然の音が、人の緊張を解きほぐし、安心して言葉を紡がせてくれるのです。
また、オフィスの空間デザインも重要です。
閉塞感のある会議室よりも、キャンピングオフィスのように焚火台を囲んでローチェアに座る場のほうが、フラットに語り合いやすくなります。こうした物理的な工夫が、社員同士の距離感を変え、対話を誘発します。
経営層がどんな姿勢で臨むかも、対話を広げるうえで欠かせない要素です。
社員が自由に語るには、経営者やマネージャーがまず耳を傾ける存在であることが必要です。
「答えを持つ人」ではなく「問いを投げかける人」として関わること。
沈黙を恐れず、異なる意見を受け入れる姿勢を示すこと。
それが、組織全体に安心と対話を広げていきます。
経営は「対話」を通じて人を動かす時代に入っています。指示や命令だけでは、人は主体的に動けません。人は、理解され、尊重され、つながりを感じたときに初めて心から動くのです。
情報があふれる時代だからこそ、組織を未来へと導く力は「対話」にあります。
人は対話を通じて思いを語り、仲間を理解し、信頼を築く。その積み重ねが関係の質を高め、成果を生み、未来を開いていきます。
スノーピークビジネスソリューションズは、協働体験デザインを通じて、対話が生まれる場をこれからも創り続けていきます。