スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
「新しいアイデアが出てこない」「指示を待つ社員ばかりで、能動的な動きが見られない」
こうした悩みは経営者や部門責任者の方々の多くが持っていらっしゃると思います。組織をより良くしたいという思いはあっても、その変化の源泉が見えず、もどかしさを感じておられる方も多いのではないでしょうか。
私から質問してみたいことは
「その組織には、“やってみたい”という気持ちが自然と生まれる空気があるでしょうか?」
ということです。
イノベーションとは、決して知識や仕組み、制度、チーム体制だけで生まれるものではありません。
もちろん制度やツール、優秀な人材の配置も重要です。しかし、それらが整っていても、組織に“内発的な衝動”がなければ、変化の芽は育ちません。
「やってみたい」「試してみたい」「仲間と何かをつくりたい」──。
こうした気持ちが湧き起こるとき、人は自ら動き、創造し、協働し始めます。そこには、誰かに言われて動くのとはまったく異なるエネルギーが集まっています。
では、その“やりたい”は、どうすれば組織に生まれるのでしょうか。
私たちスノーピークビジネスソリューションズは、その問いに対して一貫して“場づくり”というアプローチで向き合ってきました。
具体的には、「安全な実験場」としてのアウトドア研修や、オフィスそのものを非日常空間に変える“キャンピングオフィス”の提案です。
アウトドア研修では、自然の中での非日常体験を通じて、普段の上下関係や役職の垣根を取り払い、仲間同士が本音で向き合える関係性を育みます。
焚火を囲みながら語り合い、心理的な安全を感じる中で、自ずと「本当はこういうことをやってみたい」ということを話し始めます。
焚火は蛍光灯の下で面と向かって話しているのとは異なり、焚火の揺れる炎を見ながら話していても(相手をあえて見なくても)違和感のない対話の場になるので、「普段面と向かって言えないことも言いやすい」と参加者の方は仰っていました。
また、キャンピングオフィスは、オフィスという日常的な空間を、五感を刺激する“感じられる場”に変えることで、社員同士の対話を促進するよう設計されています。
例えばロースタイルチェアは、目線を変え、心理的な距離感を変えるという普段のオフィスでは味わえない体験ができます。一見ただのレジャーを表現しているようにも見えますが、決して単なる装飾ではありません。人が心を開き、「ちょっとやってみようかな」と感じるためには、”変化してもいい”という許容感や安心感、そして遊び心が必要だと私は思います。
私たちが大切にしているのは、イノベーションが生まれる“土壌”を整えること。
それは、主に3つの要素から成り立っていると考えています。
1.主体性:自分で考え、動く土台
どんなに優れたアイデアも、主体的に動く人がいなければ実現しません。
アウトドアの体験は、自分の手で道を切り開く行為の連続です。火を起こす、食事の準備をする、協力して設営する。すべてが「自分でやってみる」ことから始まります。
この積み重ねが、「自分にもできる」という自己効力感を育み、組織の中でも「やってみよう」と思えるマインドにつながっていきます。
2.関係性:信頼にもとづく協働の基盤
イノベーションは一人で起こせるものではありません。
本当に新しい挑戦は、仲間との信頼関係がなければできないからです。
自然の中では、普段話さない人との対話が生まれやすく、想定外のトラブルも多いため、必然的に助け合う空気が生まれます。
こうした体験を通じて、「この人となら一緒に挑戦してみたい」という関係性が芽生えていきます。
3.創造性:固定概念から解き放たれる刺激
非日常の環境に身を置くことは、創造性を刺激します。
例えば、会議室では出なかったアイデアが、緑に囲まれたフィールドの中では自然と湧いてくることもあります。
それは、自然が私たちに「こうでなければいけない」という思考の枠を外させてくれるからです。
五感を解放し、自由な発想を許容する空間にこそ、創造性は宿ると思います。
いま、私たちの働く環境は大きく揺れ動いています。
リモートワーク、人的資本経営、ウェルビーイングといった新たな価値観の広がりの中で、従来型のマネジメントや制度設計だけでは限界が見え始めています。
だからこそ今、経営者自身が“土壌を耕す”という選択をする必要があります。
内発的な“やりたい”が芽吹く土壌が整えば、組織には自然とエネルギーが流れ込みます。
指示を待つのではなく、自ら動き、仲間とつながり、新しい価値を創造する。
そんな組織こそが、これからの不確実な時代における“強い組織”であると、私たちは信じています。
イノベーションは、特別な才能が生むものでは無いと思います。
誰もが持つ「やりたい」という心の声を、安心して出せる場所があるかどうか。
その環境を、経営者がつくり出せるかどうかにかかっています。
私たちは、経営戦略として取り組む企業にとっての“実験の場”を、これからも共につくっていきたいと考えています。