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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.23】
オフィスで対話が生まれる“願いを込めた”デザインにする

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.23】
オフィスで対話が生まれる“願いを込めた”デザインにする

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

従来のオフィスデザインと、その限界

これまでのオフィスは、業務効率を最大化することを目的に設計されてきました。
固定席や島型のデスク、上司が上座に座る配置──。こうした設計は、明確な指示系統と情報共有を前提に、最短距離で仕事を進めるためのものであり、現代でも多くの企業がこのスタイルを採用しています。

 

しかし、社会は大きく変化しました。市場は不確実性を増し、ビジネスモデルの寿命は短くなり、企業に求められる力は「決められたことを正確にやる力」から「自ら考え、価値を生み出す力」へとシフトしています。

 

ところが従来型のオフィスでは、部署の枠を越えた偶発的な会話や、立場に関係なく率直に意見を交わす場が生まれにくいのが現実です。

その象徴が、オフィスを歩いて回っても顔を上げる人は少なく、コミュニケーションの多くがチャットやメールに置き換わっている現状です。

 

 

みなさんのオフィスは、どのような雰囲気でしょうか?

 

効率を追求するあまり、人と人が顔を合わせて言葉を交わす“生きた対話”が減り、失われやすくなっていることこそ、現代社会の大きな課題だと思います。

知識集約型社会で求められる“偶発性”と“余白”

知識集約型社会で求められる“偶発性”と“余白”

イノベーションは、計画された会議室の中だけで生まれるわけではありません。
「ちょっといいですか?」という立ち話、昼食後の雑談、偶然となりに座った人との会話──こうした偶発的な対話が新しい発想のきっかけになることは珍しくありません。

 

MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究でも、組織の創造性やイノベーション力は、コミュニケーションの“量”ではなく“質”に依存することが示されています。質の高い対話を生むためには、安心感やリラックス、そして「偶然の出会い」を仕組みとして埋め込むことが重要です。

 

では、どうすればよいのでしょうか?


その答えの一つが「余白」を設計することです。すべての時間や空間を効率のために最適化してしまうと、偶発性は消えてしまいます。あえて“非効率”なスペースを設けることで、社員は決められた居場所から離れ、歩きながら立ち止まり、話し、発想を交換できるようになります。

 

さらに社員自身にも、この「余白」をどう活用するかという姿勢やスキルが求められます。どのような振る舞いや行動が、パフォーマンスを高めるのかを意識しながら働くことがますます重要になっています。

“キャンピングオフィス”という1つのあり方。空間が文化をつくる

私たちスノーピークビジネスソリューションズが提案する「キャンピングオフィス」は、まさにこの“偶発性”をデザインに取り込んだ仕組みです。


アウトドアギアを取り入れたロースタイルの空間は、肩書きや役職の壁を取り払い、心理的な距離を縮めます。焚火台の灯りが生み出す独特の温かみは、社員の緊張を解き、話しやすい雰囲気を演出します。

 

さらに、動線設計にも工夫があります。固定席をなくし、プロジェクトや気分に応じて自由に席を選べるフリーアドレスは、異なる部署や役職の人が自然に交わる確率を高めます。この“偶発的な接点”が、イノベーションの種になるのです。

 

ここで強調したいのは、これは単なる“見た目だけのおしゃれなオフィス”ではないということです。


オフィスは企業の価値観を映し出すメディアでもあり、そこで働く人の行動や意識のスタイルを方向づけます。つまり、オフィスのデザインは経営戦略であり、組織文化を形成するための投資なのです。

経営の“願い”を込めたオフィスへ。効率と対話の共存

経営の“願い”を込めたオフィスへ。効率と対話の共存

オンラインツールが発達したいま、単なる情報共有はリモートで十分です。

 

だからこそリアルなオフィスには「そこに集まる意味」が必要です。

その意味とは、人と人が出会い、信頼を深め、共に新しい価値を生み出すこと。

 

効率性と創造性は対立するものではありません。集中して作業するゾーンと、偶発的な会話を生むゾーンを併設することで両立は可能です。むしろ、そのバランスをデザインすることこそ、これからの経営に求められる視点です。

 

オフィスは単なる“場所”ではなく、組織の未来を形づくる「器」です。
 

オフィスのデザインが変われば、関係の質が高まり、思考の質が深まり、行動の質が変わり、やがて成果へとつながります。──これは、MITのダニエル・キム教授が提唱する「成功循環モデル」が示す考え方です。

 

効率化のための空間から、“人が集まり、対話し、未来をつくる場”へ。


その変化をデザインすることこそ、現代の経営者が取り組むべき挑戦であり、 “願いを込めて”社員へ伝え、空間を設計していく価値のある投資なのです。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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