スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
4月も下旬に差し掛かりました。
新卒の方が入社された環境もあれば、異動された方も新しい環境に少しずつ慣れてくる頃だと思います。
業務も動き始め、「まずは順調にスタートできた」と感じている組織も多いかもしれません。
一方で、この時期特有の“違和感”も、現場に存在しているように思います。
会話がどこか表面的だったり、本音が見えにくかったり、遠慮がちな空気が流れていたりする。
大きな問題ではないけれど、どこか噛み合いきっていない感覚です。
関係がまだ出来上がっていない時期でもあり、この状態をより良くしてチームのパフォーマンスを上げていきたいと感じているマネージャーの方も多いのではないでしょうか。
組織開発の観点では、MIT(マサチューセッツ工科大学)のダニエル・キムが提唱した「成功循環モデル」にあるように、組織は「関係の質 → 思考の質 → 行動の質 → 結果の質」の順番で変化していきます。(参考文献【1】)
つまり、行動や成果を高めるためには、その前提となる「関係の質」を整えることが欠かせません。
新しい環境で組織を運営していくとき、どうしても役割や目標、業務設計に意識が向きがちです。
ただ、その前に本来やるべきことは、「お互いを知ること」と「ウェルカムな空気感をつくること」だと思います。
私たちが大切にしている「Communication Philosophy(コミュニケーション哲学)」(コラムVol.44参照)でも、相手の背景を理解しにいく姿勢を重視しています。
どんな経験をしてきたのか、何を大切にしているのか。
そうした背景を丁寧に知ろうとすることで、単なる役割の関係ではなく、人と人としての関係性が育まれていきます。
この土台が整うと、驚くほど自然に人が動き出します。
指示や管理を強めなくても、自発的な行動や助け合いが生まれてきます。
とはいえ現実には、「まずは業務を回さなければ」と関係性づくりが後回しになるケースも多いと思います。
背景には、効率性を重視する働き方や、対話の時間を取りづらい環境があります。
特にリモートワークやオンライン中心のコミュニケーションでは、偶発的な会話や雑談が生まれにくくなっています。
ただ、心理学者デシとライアンの自己決定理論でも示されているように、人が主体的に動くためには「関係性」が不可欠です。(参考文献【2】)
関係性が十分でない状態では、どれだけ仕組みや目標を整えても、行動はどこか受け身になりがちです。
だからこそ、意図的に関係性をつくる時間と場を設計することが重要だと思います。
その一つの方法として、私たちが提案しているのがキャンピングオフィスの活用です。
オフィスの中にキャンプ用品を取り入れた空間で、チームでワークショップを行います。
例えば、まずはキャンプギアを使って空間レイアウトを一緒に組み立てるところから始めます。
「この配置の方が話しやすそう」
「次は円形にしてみようか」
そんな会話が自然と生まれ、場を自分たちでつくるプロセスそのものがコミュニケーションになります。
キャンプギアは軽く、自由に動かせるため、試行錯誤しながら空間をデザインできるのも特徴です。
このプロセスを通じて、発言のハードルが下がり、対話のストロークが増えていきます。
その結果、ワークショップ本体に入ったときに、すでに話しやすい関係性ができている状態になります。
自然の中であれば、この変化はさらに顕著に現れますが、オフィスの中でも環境と体験の設計次第で、同様の効果を生み出すことができると感じています。
4月のこのタイミングは、組織としてのスタートダッシュを切る大切な時期です。
その中で、目標設定や業務設計と同じくらい、「関係の質」に目を向けることが重要だと思います。
お互いを知ること。
ウェルカムな空気をつくること。
相手の背景に関心を持つこと。
こうした一つひとつの積み重ねが、組織の土台をつくっていきます。
そして、その土台が整ったとき、人は無理に動かされるのではなく、自ら動き始めます。
関係性が良い状態では、思考も行動も自然と前向きに変わっていくからです。
私たちは、その状態を
「自然と、仕事が、うまくいく。」
と表現しています。
この時期に感じる小さな違和感を見過ごさず、関係性に丁寧に向き合ってみることで、その先に組織が大きく変わるきっかけが生まれるのではないでしょうか。
【1】Kim, Daniel H. (1993). The Link Between Individual and Organizational Learning. Sloan Management Review.
【2】 Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000). Self-Determination Theory. Psychological Inquiry.