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コミュニケーションの質と量をマネジメントし、
拠点を超えて一つになる組織づくりを(前編)

コミュニケーションの質と量をマネジメントし、
拠点を超えて一つになる組織づくりを(前編)

スノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)は、“自然と、仕事が、うまくいく”組織づくりをさまざまな面からサポートしています。これまで、数多くの企業様の組織づくりを支援してきた中で、複数拠点をもつ組織において、「拠点が増えるにつれて関係性が希薄になる」「拠点を超えて一体感のある組織にするにはどうすればいいか」といったお声をたくさん聞いてきました。

 

拠点間コミュニケーションは、私たちSPBSが初めて複数拠点を構えた際にも生じた大きな課題でした。課題解決にはどのような手段があるでしょうか。そもそもコミュニケーションを活性化することは組織にどんな価値をもたらすのでしょうか?このコラムでは、組織づくりとコミュニケーションについて一緒に考えてみたいと思います。(後編

仕事がうまくいく組織づくりとは

仕事がうまくいく組織づくりとは

「良好な人間関係」が組織の好循環を生む

これまで多くの企業の組織づくりに関わってきた中で、“自然と、仕事が、うまくいく”組織の土台には、「良好な人間関係」があることが分かってきました。そして、私たち自身も「良好な人間関係」を構築するにはどうすればよいのか、自らさまざまな試行錯誤を繰り返してきました。

企業は経済活動を行う組織であることを考えれば、利益を追求すればよく、職場の人間関係構築にリソースを割くことが本当に必要なのかだろうかと疑問をもつこともあるでしょう。しかし、結論からいうと「良好な人間関係」は組織の生産性に直結します。

 

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する「組織の成功循環モデル」を参照してみましょう。

企業が目先の利益を優先して「結果の質」を求めると、指示命令や対立が生まれて「関係の質」が低下します。そうなると社員は受け身になって自ら考え行動しなくなり、「思考の質」「行動の質」が低下し、「結果の質」、つまり利益や生産性が低下していきます。

一方で、「良好な人間関係」が土台にある企業はどうでしょうか。お互いを理解し尊重する姿勢によって「関係の質」が向上すると、自発的な考え方、前向きな行動が増えて「思考の質」「行動の質」が向上し、「結果の質」が向上します。これがグッドサイクルです。「良好な人間関係」によって好循環が生まれ、持続的に結果を出し続ける組織になれるのです。人間関係の構築は組織の根幹に関わる重要課題であることが理解できるでしょうか。

 

ここまでは組織という枠組みで考えてみましたが、もっと広く人生という枠組みで捉えた場合にも、「良好な人間関係」が重要であることは誰もが頷けるのではないでしょうか。1日8時間、年間240日を費やす仕事の人間関係は、人生の幸福度に直結します。お互いを理解し尊重する姿勢のない職場で働くことに楽しさや幸せを感じる人はいないでしょう。良好な人間関係の中で人間らしく働く人を増やし、真に豊かな社会をつくること。それは、私たちが創業以来大切にしている企業理念でもあります。

コミュニケーションをマネジメントしよう

コミュニケーションをマネジメントしよう

コミュニケーションの質を高める3つのステップ

では、「良好な人間関係」を築くために必要なことはなんでしょうか。さまざまな施策がありますが、ここで提案したいのは、コミュニケーションの質と量のマネジメントです。まず、コミュニケーションの質を高めるために大切な3つのステップをご紹介します。私たちがこれまで多くの成功事例と失敗事例から学び確立させてきた独自の哲学で、コミュニケーションの基本となる考え方です。

ステップ1 思いやりと感謝の気持ちで相手の背景を理解する

異なる人間同士がコミュニケーションする場合、意見や要求を出す前にまずは相手の状況や事情といった背景を理解し、尊重することからはじめます。

 

ステップ2 お互いの考えを「場」に出す

自分の考えや意見を相手に向けて投げかけるのではなく、お互いの真ん中にある「場」におきます。ホワイトボードや付箋に書き出し、自分から一度切り離すようなイメージです。

 

ステップ3 長期にわたってお互いが幸せになる選択を一緒に行う

「場」に出した意見の中から、目標達成のために最も適しているものを一緒に選択します。選択によっては、一時的にどちらかが負荷や苦労を担うこともあるかもしれませんが、選択までのプロセスと目標を共有することで当事者としての自覚が生まれ、前向きに取り組むことができます。

 

このコミュニケーションの基本となる考え方は、SPBS社内にしっかりと根付いています。もちろん、その日のコンディションや仕事の状況などに左右され、ステップを飛ばしてしまったり、十分な配慮ができない場合もあるでしょう。それでも、自分の状態を自覚して認め、次はそうならないように心がける。折に触れて基本の考え方に立ち返る。それを繰り返すことで、良好な人間関係が構築されていきます。

コミュニケーションの量を増やす施策例

前項で紹介したのはコミュニケーションの質を高める考え方ですが、よい考えを掲げても、コミュニケーション自体が活発でなければ生かすことはできません。多くの組織では、コミュニケーションの量そのものが不足しているケースも多いのではないでしょうか。量を自然発生的に増やすのは難しく、仕組みづくりが必要です。私たちが実施している具体例を3つご紹介します。

(a)1対1のコミュニケーション:One to One

新しい社員が入社した際は、全員が1対1のコミュニケーションをもつことを推奨しています。手段は雑談でもランチでもよく、仕事の話をする必要はありません。お互いの人柄に触れるためのコミュニケーションです。1対1で話したことがない人がいない状態、つまり全員と1対1で話したことがある組織になると、心の距離はグッと近づき、ネガティブな感情は生まれにくくなります。理想は社長も含めた全員で行うことですが、組織の規模が大きい場合は部署やチーム単位から実施することをお勧めします。

(b)1対nのコミュニケーション:Ben to 0ne

複数人で弁当を持ち寄って行うコミュニケーションを、One to OneをもじってBen to Oneと呼んでいます。新しい社員と既存の社員、チームリーダーとそのメンバー、自然発生的に集まったグループなど、顔ぶれはさまざま。何気ない会話の中で親しみが生まれ、ときには仕事につながるアイデアが転がっていることもあります。

(c)n対nのコミュニケーション:Vision Sharing Day

年に一度、期初におこなっている「Vision Sharing Day」は、n対nのコミュニケーション施策です。全社員が集まって、今期の会社方針や各事業部のビジョンを共有します。会社側から一方的に伝えるのではなく、全員が意見を言える場を設けています。部署や拠点を超えて社員が集まりコミュニケーションが生まれる大切な機会です。

 

これらは一例ですが、日頃からコミュニケーションの量を増やすためにどんな施策があるとよいのか、社員から気づいたことや意見、要望を吸い上げる仕組みをつくっています。改善のプロセスに全員が関わることで、誰もが当事者意識をもってコミュニケーション課題に向き合っています。

「Conova」が生む拠点間コミュニケーション

「Conova」が生む拠点間コミュニケーション

拠点を超えて一体感を醸成するコミュニケーションを

ここまで、組織づくりにコミュニケーションの質と量のマネジメントが欠かせないことをみてきました。ですが、特に成長段階にある組織ではメンバーが増え、拠点が増えるにつれて、コミュニケーションは難しくなり、メンバー同士の関係性が希薄化する傾向にあります。同じオフィスで働いているメンバーとは、交流が少なかったとしても社内ですれ違ったり、視界に入ったりすることで、その人の気配を感じ無意識のうちに存在を認知しています。

しかし、距離の離れた別の拠点で働いているメンバーとは、そういった気配を感じる機会がないため、知らず知らずのうちに心の距離感も離れてしまうのです。

 

拠点を複数もつ組織に生じる課題として、お互いが困っていることをキャッチにしくい点もあげられます。会社の問題として把握していれば解決できたことでも、把握できなければ問題は拡大してしまいます。逆によい成果を生んだ事例も、キャッチできなければ会社の知見として積み上げ、組織力を強化することにつながりません。拠点間のコミュニケーションを活性化することは、人間の体に例えると血の巡りをよくすること。血が巡らない箇所があれば細胞は壊死します。血液が正常に巡る健康な状態を保つために、拠点間コミュニケーションは非常に大事であるといえます。

 

私たちが初めて支店をつくったときも課題に直面し、離れたオフィスのメンバー同士がつながりを感じ、関係性を維持していくにはどうしたらいいのか徹底的に考えました。SPBSが開発した離れた拠点同士をつなぐコミュニケーションツール「Conova」は、その際に生まれたアイデアが原型になっています。

 

>>『Conova』の開発秘話はこちら

 

>>後編に続く

 

 

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