これまで多くの企業の組織づくりに関わってきた中で、“自然と、仕事が、うまくいく”組織の土台には、「良好な人間関係」があることが分かってきました。そして、私たち自身も「良好な人間関係」を構築するにはどうすればよいのか、自らさまざまな試行錯誤を繰り返してきました。
企業は経済活動を行う組織であることを考えれば、利益を追求すればよく、職場の人間関係構築にリソースを割くことが本当に必要なのかだろうかと疑問をもつこともあるでしょう。しかし、結論からいうと「良好な人間関係」は組織の生産性に直結します。
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する「組織の成功循環モデル」を参照してみましょう。
企業が目先の利益を優先して「結果の質」を求めると、指示命令や対立が生まれて「関係の質」が低下します。そうなると社員は受け身になって自ら考え行動しなくなり、「思考の質」「行動の質」が低下し、「結果の質」、つまり利益や生産性が低下していきます。
一方で、「良好な人間関係」が土台にある企業はどうでしょうか。お互いを理解し尊重する姿勢によって「関係の質」が向上すると、自発的な考え方、前向きな行動が増えて「思考の質」「行動の質」が向上し、「結果の質」が向上します。これがグッドサイクルです。「良好な人間関係」によって好循環が生まれ、持続的に結果を出し続ける組織になれるのです。人間関係の構築は組織の根幹に関わる重要課題であることが理解できるでしょうか。
ここまでは組織という枠組みで考えてみましたが、もっと広く人生という枠組みで捉えた場合にも、「良好な人間関係」が重要であることは誰もが頷けるのではないでしょうか。1日8時間、年間240日を費やす仕事の人間関係は、人生の幸福度に直結します。お互いを理解し尊重する姿勢のない職場で働くことに楽しさや幸せを感じる人はいないでしょう。良好な人間関係の中で人間らしく働く人を増やし、真に豊かな社会をつくること。それは、私たちが創業以来大切にしている企業理念でもあります。