スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。
このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。
読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。
焚火を囲むと、人は不思議と素直になります。
炎のゆらぎはなぜかじっと見つめてしまい、自然と沈黙が心地よくなり、普段よりも少しゆっくりと話すようになる。同僚や組織のチームで焚火を囲むと、肩書きや役割を手放した「鎧を脱いだ」状態となり、等身大の自分としてそこに“いる”ことができる。
私たちは、この焚火の場を「人間らしく働く土壌をつくる場」として捉えています。
何かを急いで決める場でもなく、評価を受ける場でもない。だからこそ、心の奥にある本音や、小さな違和感、大切にしている価値観が、ぽつりと語られはじめるのです。
その“余白”にこそ、豊かな対話や関係性が育まれていく。
焚火の時間は、単なる癒やしではなく、組織や働き方において本質的な価値をもたらす「未来の働き方」そのものだと私たちは考えています。
現代の多くの企業では、成果と効率が第一に求められます。
目標に向かって最短距離で進むことが良しとされ、会議も短く、コミュニケーションも要件中心。オンライン会議は要件からはじまり、終わればすぐに退出ボタンを押す。便利なデジタルツールが普及した一方で、「人と人が心からつながる」時間は、どんどん減ってきているのが現状です。
また、リモートワークや多様な働き方が進んだ今、「孤独」や「関係性の希薄さ」を感じる社員が増えているという調査もあります。働く人が心理的に孤立してしまうと、意見を出すことを控えたり、挑戦を避けたりするようになり、結果として組織の創造性やエンゲージメントにも影響が出てきます。
そんな今だからこそ、人と人との「信頼」や「共感」から始まる関係性が、改めて注目されています。
では、なぜ余白があると関係性が深まるのでしょうか。
それは、人は“役割”ではなく“存在そのもの”を認められたときに、本音で話すことができるからです。焚火のような余白のある場では、急いで判断したり反論したりする必要がありません。相手の言葉にただ耳を傾け、沈黙すら受け入れられる。
そうした時間があるからこそ、人は「信頼できるかもしれない」と感じ、心の扉を少しずつ開いていきます。
共に焚火を囲んだあとは、いつもの会議や業務の中でも「互いの信頼がある前提」の関係性になっていることを感じるようになります。あの時、一緒に焚火を囲んだ「特別な時間」を過ごした「特別な仲間」という記憶と感覚。それが、チームの関係性をじんわりと変えていくきっかけになるのです。
これからの時代に求められるのは、個人の力だけでなく「つながりから生まれる力」です。
社会課題が複雑化し、先の見えない変化が続く中で、一人で答えを出すことには限界があります。多様な視点を持った人同士が、対話し、学び合い、補い合う——そんな関係性を持った組織が、これからの変化を乗り越えていくのだと思います。
また、若者を中心に「働く意味」や「人間らしさ」を重視する価値観が高まっており、金銭的報酬よりも「共感できる仲間」や「居心地のよさ」を重視する傾向が顕著になっています。
だからこそ、「人とつながれる余白のある時間」を、企業文化の中にいち早く取り入れていくことが企業の差別化、優位性を高めていくことにもなります。
私たちスノーピークビジネスソリューションズは、自然のなかで人が本来の姿に戻ること、そして人と人が本音でつながり直すことが、未来の働き方の鍵になると信じています。
焚火は、何も指示しません。ただ、そこにあるだけ。
でもその場に身を置いたとき、私たちは自分の言葉で話し、相手の話を聴き、チームの輪郭が浮かび上がってくる。
この「焚火のような働き方」が、これからの組織に必要とされる“人間性を回復する働き方”の象徴になると私たちは考えています。
効率と成果の先にある、人間らしさとつながりのある仕事へ——。
その第一歩は、まず火を囲むところから始まるのかもしれません。