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【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.18】
焚火が“自己効力感”を高める理由

【さぁ、そろそろ、焚火を囲んで話そう_Vol.18】
焚火が“自己効力感”を高める理由

スノーピークビジネスソリューションズ代表の坂田です。

このコラムでは、私たちの会社が大切にしている価値観や目指す未来について、みなさまにお伝えしていきたいと考えています。

読んでくださった方にとって、新たな「気づき」となり、日々の暮らしや働き方がよりイキイキとワクワクするものになれば幸いです。

焚火が“自己効力感”を高める理由

みなさんは普段のお仕事のなかで「自分ならできる」「なんとかなる」と自信と楽観的要素を持ちながら働かれているでしょうか。


自己効力感(self-efficacy)──これは、心理学者アルバート・バンデューラ氏が提唱した概念で、自分にはある行動を遂行する力があると信じる感覚のことを指します。
仕事で成果を出すには知識やスキルも重要ですが、この「自分ならやれる」という感覚があるかないかで、その人の行動の質も、挑戦する姿勢も大きく変わってきます。

バンデューラ氏は、自己効力感が高まるためには4つの要素が必要だと述べています。

 

1.成功体験(Mastery Experiences)
実際に挑戦し、乗り越えた体験を指します。例えば新しいプロジェクトを任されて最後まで遂行できたときに「このプロジェクトを成功させられた」という認識ができる体験です。

 

2.代理体験(Vicarious Experiences)
他者の成功を目の当たりにする体験です。身近なところでは、自転車で坂道を友達と一緒に頑張って登っている時に、友達も頑張っているから私も頑張って登れるはず、という力が湧いてきて登り切れるという他者を観察することで自分も成功できるイメージを持つ体験です。

 

3.言語的説得(Verbal Persuasion)
周囲からの励ましやフィードバックの言葉をもらう体験です。「あなたのプレゼンテーションはいつも分かりやすくてすごいですね」「この仕事は難しいけれど、一緒にがんばりましょう」といったような言葉をもらえると嬉しいですよね。こうした言葉の力によってきっとうまくいくと感じられるようになります。

 

4.生理的・情緒的状態(Physiological & Emotional States)
安心やリラックス、ポジティブな感情の状態を指します。緊張感や不安感の高い状態では失敗しやすいというのはみなさんも経験があるかと思います。何か本番で挑戦するときにはできるだけリラックスしてポジティブな感情の状態を維持しようと意識されたこともあると思いますが、うまくいくためにはそのような精神的な状態も不可欠です。

 

これら4つの要素を、私たちはどのように組織づくりに活かせばいいのでしょうか。

そのヒントが、実は「焚火」にあります。

焚火が育てる、自己効力感の土壌

焚火が育てる、自己効力感の土壌

自然のなかで夜、パチパチと音を立てて燃える焚火を囲みながら、社員同士が語り合う──
そんなアウトドア研修の風景は、私たちが大切にしているものの象徴です。

 

焚火の前では、心が開きます。
オフィスではなかなか話せないこと──普段から考えていることや、密かにやってみたいと思っていること。
そういった想いを言葉にし、仲間の前で共有することで、自分自身の内面と向き合う時間が生まれます。考えていることを言葉にするだけでも、自分の考えが整理され、ポジティブな感情が湧いてきます。さらに、それを仲間に共有したことで、思いがけないフィードバックをもらえた、なんて方も多いようです。

 

自然の中で行うグループワークやアクティビティでは、いつもの役割や肩書を超えた協働が求められます。
うまくいかないこともあれば、思わぬ成功を体験することもある。
この“成功体験”こそが、自己効力感の土台です。

 

また、焚火の前で誰かが語った挑戦や失敗の話に、「自分にもできるかもしれない」と感じる瞬間もあるでしょう。
それが“代理体験”です。

さらに、仲間からの「あなたのおかげで助かったよ」「やってみたら?」という言葉は、“言語的説得”の力になります。こうした言葉のやり取りが自然とそれぞれのメンバーから出てくる環境が焚火の良さだと感じています。

おそらく焚火の前ではみんながポジティブな感情になっているので、出てくる言葉もポジティブになっている印象です。

 

オフィスの蛍光灯に照らされて会話する環境や、居酒屋のガヤガヤとした雰囲気の中で話す環境とは、まったく異なる会話が焚火の前では繰り広げられます。

自然の環境に身体がちょうど調和しながら本来の無理のない自分が存在できている、という感覚を持って自然と自分の言葉が出てくるようなイメージです。

このように、自然の中で焚火を囲む時間は、人の緊張をほぐし、心を安定させます。
この“生理的・情緒的状態”の好転も、自己効力感を育む大切な要素です。

自己効力感が高い人材は、自走する

自己効力感が高い人材は、自走する

私たちが経営の現場でよく耳にする課題のひとつに「自律的に動ける社員が少ない」という声があります。
けれど、指示待ちが多いからといって、「もっと自分で考えろ」と言っても、それだけで人が変わるわけではありません。
人が内側から動き出すには、「自分ならできる」「なんとかなる」という体験、経験から得られる自己効力感が必要なのです。

 

自己効力感を持った人材は、困難に直面してもすぐに諦めず、試行錯誤しながら前に進もうとします。これは苦労した経験が成功につながったことがあるという成功体験と苦労した体験の紐づけが脳神経内で行われているとも言われています。
また、その姿勢が周囲に伝播し、チーム全体の活性化にもつながります。

つまり、経営者が本当に育てたい“自律型人材”とは、この自己効力感を内側に獲得している人なのです。

自然の力と、人の力

私たちスノーピークビジネスソリューションズは、ただの野外研修ではなく、
人の可能性を引き出すための“場”として自然と焚火を活用しています。

それは単に自然の中でアクティビティをする、ということではありません。
自然という非日常の環境が、人の緊張をほどき、素直な言葉と行動を引き出し、
チームの中に新しい信頼の回路を生み出します。

 

そして、焚火という原始的な炎を前にすると、人は本質的な問いと向き合い始めます。
「自分は何がしたいのか」「自分は何ができるのか」
──この問いに対する答えを、自分の言葉で語れるようになったとき、
その人の中には自己効力感が芽生えはじめています。

 

焚火の前で自分の火を灯すような体験を現代のビジネスパーソンに広げていきたいと思います。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile

坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

坂田 真也(さかた・しんや)
Profile 坂田 真也(さかた・しんや)

代表取締役社長

2009年に入社し、システム営業部に配属され1,000社以上の製造現場を回り、システム提案及び導入支援を行う。​
2015年よりクラウドソリューション事業の責任者となり、コンサルティング業務を確立させ、顧客の様々な業務効率化や働き方改革を支援。
その後、ビジネスにアウトドアを取り入れたキャンピングオフィス事業の責任者や、スノーピークグループのDX支援を推進する責任者を歴任し、2024年に代表取締役社長に就任。

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